2019.02.20
パソコンがインターネットにつながっていると、外部からの不正アクセスの可能性が出てきます。不正アクセスがあると、情報を盗まれてしまうなどのトラブルに見舞われてしまうことも少なくありません。そんな外部からの侵入を防いでくれるのが、ファイアウォールです。この記事では、ファイアウォールの具体的な役割や設定方法と共に、トラブルの対処法について解説します。パソコンを安全に利用するために、ファイアウォールを有効活用していきましょう。
まずは、Windows 10 のファイアウォールがどんなものなのかについて詳しく紹介します。ファイアウォールを使う上での基礎知識として参考にしてください。
インターネットにつながった状態のパソコンは、重要なデータが盗まれたりデータが壊されたりするリスクがあります。インターネットを通じて、外部からの不正なアクセスを受ける可能性があるからです。この外部からの不正な侵入を防いでくれるのが、ファイアウォールです。インターネットでWebサイトを閲覧したりメールをやりとりしたりする際、そのデータはネットワークの通り道である「ポート」を通ることになります。ファイアウォールは、このポートを見張るガードマンのような役割を担っているのです。不審なデータのやりとりが行われそうになると、即座にポートを塞いで通信を遮断してくれます。これによって、不正なアクセスを受けないようになるのです。また、パソコン内のデータが流出してしまわないための防御策としても、ファイアウォールは大変有効です。
ファイアウォールには、主に2種類の仕組みがあります。1つ目は、「パーソナルファイアウォール」です。これは1台1台のパソコンを防御することを目的としたファイアウォールとなっていて、パソコンそれぞれを守る存在といえます。インターネットからの不正な侵入を防いでくれるほか、ウイルスの侵入を防御したり、自分のコンピュータを外部から見えなくしたりすることができるのです。Windows10のファイアウォールも、このパーソナルファイアウォールに含まれます。
もう1つは、「ネットワークに使用するファイアウォール」です。これはインターネットと社内のLANとの間に設置するファイアウォールとなっています。外部からの不正なアクセスを、社内のネットワークに侵入させないことを目的としたファイアウォールです。社内で使用するパソコンには、重要なデータが含まれていることが多くなっています。そんなデータを守るためにも、社内全体のパソコンを不正アクセスから守る仕組みが必要なのです。
ファイアウォールには主な機能が備わっていて、これによってパソコンを不正アクセスから守ります。機能の1つ目は、フィルタリング機能です。フィルタリング機能は、不正なパケットを遮断して許可されたパケットだけを通過させる機能となっています。2つ目はアドレス変換機能で、外部のネットワークと内部のネットワークにおいて相互にIPアドレスを割り当てる機能です。3つ目は、遠隔操作、監視機能です。遠隔操作では、別のコンピュータからファイアウォールの設定を行うことが可能となります。監視機能においては、インターネットのログを確認することができるのです。
インターネット接続したパソコンに不可欠ともいえるこのファイアウォールがないと、これらの機能を使うことができません。例えるならば、そのパソコンはカギのかかっていない建物のようなもので無防備な状態となってしまうのです。すると、外部からの不正な侵入を簡単に許してしまうことになります。不正な侵入を受けると、パソコンがウイルスに感染したりパソコン内のデータが流出したりする可能性が出てきます。それだけでなく、自分のパソコンからウイルスを送りつけてしまう場合もあり、意思に反して加害者になることもあるのです。
不正アクセスなどのトラブルを避けるためには、まずファイアウォールの状態を確認してみましょう。ここでは、Windows 10 に標準搭載されているファイアウォールでの確認手順を紹介します。自分のパソコンがインターネットを安全に使える状態かどうか、しっかりとチェックしてみてください。まずは、「スタート」ボタンから「Windowsシステム ツール」をクリックしてコントロールパネルを表示します。コントロールパネルの中から「システムとセキュリティ」をクリックし、続いて「セキュリティとメンテナンス」を選択します。そして、「セキュリティ」をクリックするとネットワークファイアウォールが有効になっているかどうかの確認が可能です。標準搭載されていても有効となっていなければファイアウォールは機能しないため、インターネットを接続する前にチェックしておけると安心となります。
次に、Windows 10 のファイアウォール設定方法を紹介します。順を追って設定を進め、安全なインターネット環境を整えましょう。
まずは、Windows 10 のファイアウォールを有効・無効にする手順を確認します。最初に「スタート」から「Windowsシステム ツール」をクリックしてコントロールパネルを表示します。次に「システムとセキュリティ」をクリックしたら、「ファイアウォールの状態の確認」をクリックしましょう。ここで、左メニューの「Windows ファイアウォールの有効化または無効化」をクリックすれば設定は完了です。ファイアウォールを利用する場合には、有効化に設定しておきます。
パソコンではさまざまなアプリケーションの利用が可能ですが、一部のアプリケーションはファイアウォールが有効になっていないと正常に動作しない場合があります。こうした場合では、例外設定を行います。設定手順は、「スタート」から「Windowsシステム ツール」をクリックしてコントロールパネルを表示することからスタートです。続いて「システムとセキュリティ」をクリックし、ファイアウォールの「Windowsファイアウォールによるアプリケーションの許可」を選択します。次に「設定の変更」をクリックし、「別のアプリの許可」をクリックしましょう。ここで表示される中から、使用するソフトウェア名を選択し「追加」をクリックすれば設定は完了です。念のため、「許可されたアプリおよび機能」欄に追加したソフトウェア名が表示されていることも確認しておくと安心です。
ファイアウォールは不正アクセスのブロックに有効ですが、同時に外部からのアクセスもブロックされてしまいます。そのため、ファイアウォールが有効になっているとファイルやプリンターを共有できなくなってしまうのです。これを共有するためには、「すべてのアプリ」で「Windows Defenderセキュリティセンター」をクリックして設定をしていきます。「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリックしたら、表示された「ファイアウォールとネットワーク保護」画面の「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリックします。「アプリにWindows Defender ファイアウォール経由の通信を許可する」と表示されたら、「設定の変更」をクリックしましょう。すると、「許可されたアプリおよび機能」の一覧が出てくるので、「ファイルとプリンターの共有」にチェックを付けて「OK」をクリックすれば設定が完了します。
ファイアウォールが有効になっていると外部からのアクセスがブロックされるため、「ファイル共有ソフト」や「ビデオメッセンジャー」「インターネットラジオ配信」などが使えなくなってしまいます。これらを使える状態にするためには、特定のポート番号の通信を許可する方法で対処しましょう。特定のポート番号の通信を許可するためには、まず「スタート」から「Windowsシステム ツール」をクリックしてコントロールパネルを表示します。次に「システムとセキュリティ」をクリックして「Windows ファイアウォール」を選びます。ここで、左メニューの「詳細設定」をクリックして「セキュリティが強化された Windows ファイアウォール」画面を表示しましょう。「受信の規制(または送信の規制)」をクリックしたら、右メニューの「新しい規制」を選択します。すると、「新規の受信の規制ウィザード」が起動するので「ポート」を選択して「次へ」をクリックです。規制を適用する TCP/UDP のどちらかを選択したら、特定のポートの場合は規制を適用するポート番号を入力して設定は完了します。
ファイアウォールの設定を進めていくと、アプリの動作に不具合が発生することも出てきます。そんな場合には、ファイアウォールの設定を一度規定値に戻すのがおすすめです。手順としては、「スタート」から「Windowsシステム ツール」をクリックしてコントロールパネルを表示します。「システムとセキュリティ」をクリックしたら、「Windows ファイアウォール」をクリックです。ここで左メニューにある「既定値に戻す」をクリックし、「既定の設定の復元」という画面が表示されたら「既定値に戻す」をクリックして完了となります。この手順で設定を規定値に戻すと、今まで設定したものがすべて削除されてしまいます。そのため、アプリの動作やプリンターの共有などに影響を与える可能性があることも覚えておきましょう。
Windows 10 のファイアウォールでは、トラブルが起こることも少なくありません。そこで、トラブルの対処法についても詳しく解説します。
ファイアウォールを有効化できないケースでは、セキュリティソフトと競合している可能性が高いと考えられます。この場合は、一度セキュリティソフトをアンインストールしてWindowsファイアウォールが有効にできるかどうかをチェックしてみましょう。これでセキュリティソフトのファイアウォールがきちんと機能しているのであれば、基本的に問題はないといえます。
ファイアウォールが勝手に有効化してしまうケースでは、無線LANネットワークアダプタが省電力状態から復帰する際にファイアウォールの構成を有効にしてしまっている可能性が考えられます。そこで、デバイスマネージャーで無線 LAN の省電力設定を変えてみると解決する可能性があります。また、ネットワークドライバーを更新するなどの対処法も試してみるといいでしょう。
Windows 10 のアップグレード後に特定のプログラムが作動しなくなることもあります。この場合は、ファイアウォールによるプログラムの許可を試してみましょう。手順は、まず「スタート」から「Windowsシステム ツール」をクリックしてコントロールパネルを表示します。次に「システムとセキュリティ」をクリックして、ファイアウォールの「Windowsファイアウォールによるプログラムの許可」を選択します。続いて「続行」をクリックし、許可したいプログラムのチェックボックスにチェックを入れたら「適用」をクリックして設定完了です。
Windowsファイアウォールを有効にしようとすると、エラーメッセージ「0x80070422」が表示される場合があります。このケースではいくつかの対処法が考えられるので、順に試していきましょう。最初に試したい対処法は、マルウェアをスキャンする方法です。スキャンしてもエラーメッセージが消えない場合には、Microsoftのサイトからファイルをダウンロードして問題を自動的に修正する方法を試します。自動修正でもエラーが表示されるようであれば、最新のWindowsアップデートをインストールする方法に進みます。最終手段は、パソコン起動時にWindowsファイアウォールを有効にする方法を試していきましょう。
ファイアウォールとウイルスソフトは、どちらもセキュリティ対策を目的にしています。そのため、両者は同じようなものとして認識されがちですが、明確な違いがあることを知っておきましょう。ファイアウォールは、パソコンを守るための防火壁に例えることができます。外部との通信を監視し、不正な侵入をブロックする役割を果たしてくれるからです。ただし、ウイルスそのものを検知することはできないというデメリットがあります。その点ウイルスソフトは、受信またはダウンロードしたファイルにウイルスがあると警告を発したり自動的に削除したりしてくれます。悪意のあるプログラムから、具体的な方法でパソコンを守る役割を果たすのがウイルスソフトなのです。この2つの機能を併用すれば、パソコンを不正なアクセスやウイルスから守ることが可能です。ちなみに、Windows 10 に標準搭載されているWindows Defendeにはどちらの機能も備えられています。安全にパソコンを使っていくためには、これらを有効に使っていくことが大切なのです。
ファイアウォールはインターネットを安全に使うために役立ちますが、例外設定を多くするとハッカーに攻撃されるリスクが高まってしまいます。せっかくパソコンを保護する目的で使用しているファイアウォールも、これでは意味がありません。そこで、例外設定で許可したソフトウェアなどはバージョンアップ情報をこまめにチェックして常に最新の状態にしておきましょう。こうしたケアをしてこそ、ファイアウォールは効率的に働き安全にインターネットを使うことができるのです。
もう困らない!Windows 10 移行ガイド