エレクトロ機器の進化を支える最先端技術を一堂に会するイベント「名古屋 ネプコン ジャパン」内「生成AI World」にHPが出展

2025年10月29~31日、アジア最大級のエレクトロニクス開発・実装展となる「ネプコン ジャパン」がポートメッセなごやにて開催された。同イベントは東京、大阪でも開催されたが、今回は名古屋がその会場となった。産業界向けのイベントのイメージが強いが、今期から「生成AI World」が新設され、生成AI活用をけん引するHPも出展となった。それでは当日の様子をお届けしよう。

イベント風景
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取材:中山 一弘

イベント風景
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今回出展しているネプコン ジャパンは従来と客層が大きく違う側面もあったが、勝谷氏のセッションには多くの来場者が集まり、ほぼ満員の聴衆となった。そんな中、「これまで先進的な企業が生成AIを先取りしていましたが、今年の5、6月あたりからビジネス業界でかなり反応が変わってきた実感があります」とローカル生成AIのプラットフォームとなるワークステーションの普及へ向けエバンジェリストとして活躍する勝谷氏は語る。同氏によれば、実際の現場でAIへの投資や他社動向などについて聞かれることが多くなっているのだという。

そんな中、現在のビジネスシーンでは、生成AIを社内の閉じたネットワーク内で使用するローカル生成AI活用に注目が集まっている。「なぜワークステーションが求められているのか。基本的に生成AIをオンプレミスで使うことを想定しているユーザー様が多いからです」と勝谷氏は言い切る。

イベント風景
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ワークステーションをプラットフォームとする生成AI活用にはいくつものメリットがあるという。「中長期的な観点でみると、大きくコストメリットがあります」と勝谷氏。クラウドサービスを利用する場合、サブスクであれ、従量課金であれ、ランニングコストが積み重なっていく。一方のローカル生成AI活用の場合は、初期投資としてワークステーション購入費はあるものの、以降は電気代程度の出費だけに抑えることができる。つまり、短期的にはクラウドサービスにコストメリットがあるように感じるが、中長期的にはいずれどこかでコストは逆転し、ワークステーションを使った方がコストメリットは大きくなるのだ。

「また、クラウドサービスの場合はサーバダウンやシステムメンテナンス等で停止してしまう期間が稀にあり、その間は使えません。同様に混雑するような時間帯だとレスポンスに影響がでるケースも多いうえ、データのやり取りが煩雑になり、セキュリティリスクも大きくなります」と勝谷氏は説明する。

続いて勝谷氏は、クラウドベースの生成AIとローカル生成AIの性能差についても指摘する。「クラウドベースの生成AIの方が性能は高いのですが、ローカル生成AIに追加学習をさせると約7カ月で追いつくという見解[1]もあります。つまりここでも短期的な視点だけでなく中長期的な視野に立てばワークステーションを使ったローカル生成AI活用にもメリットがあるのです」と勝谷氏。

[1] [Epoch AI -Frontier AI performance becomes accessible on consumer hardware within a year-]
https://epoch.ai/data-insights/consumer-gpu-model-gap

勝谷氏はここでHPワークステーションのラインアップについて説明する。「ローカル生成AI活用のためのワークステーションですが、HPでは様々なモデルをご用意しています。NVIDIAの高性能GPUを搭載したハイエンドモデル、AMDのサーバクラスに匹敵するコア数を持つプロセッサを搭載したモデルなど、お客様の用途に合わせてお選びいただくことが可能です。ハイエンドモデルでは1,000万円クラスになるモデルもありますが、そちらに関してはGPUサーバに匹敵、あるいはそれ以上の性能を実現できる構成も可能であることからもサーバ導入時のコストや管理費との比較もしていただければと思います」と勝谷氏は語る。

イベント風景
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勝谷氏は具体的なモデルとして、ハイエンドグラフィックスであるNVIDIA Blackwell[2]シリーズを搭載し、マルチプロセッサ構成も可能な「HP Z8 Fury G5 Workstation」や、ミニマム構成でのPoC(Proof of Concept)[3]などで使用しやすいエントリーモデル「HP Z2 Tower G1i Workstation」などを紹介した。

「ワークステーションはGPUサーバに匹敵する性能を持つモデルでも100V電源で動きますし、静音性も高いのでオフィス周りに設置することも可能です。あらゆる業種の方々がすでにお使いのように個別の状況にも対応させることができます。隣のHPブースでは実際にスタンドアロン状態のHPワークステーションで生成AIのデモをおこなっていますので、ぜひご自身の目で体験していってください」と勝谷氏は会場に語り掛け、セッションを終了させた。

[2]Blackwell:生成AI向けに設計されたNVIDIAの最新GPUアーキテクチャ。

[3]PoC(Proof of Concept):本格導入前に技術や効果を検証するための試験的な取り組み。

今回用意されたHPブースではHPワークステーションの展示はもちろん、それらを使った生成AIデモが稼働。デモの内容は主に3つ用意されていた。

イベント風景
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ローカル生成AI活用において注目されているのはこの2つのモデル。右が勝谷氏のセッションでも話題となっていた「HP Z8 Fury G5 Workstation」、左はAMD Ryzen™ Threadripper™ PROシリーズを搭載する「HP Z6 G5 A Workstation」だ。HP Z6 G5 Aは最大3基のグラフィックスカードを搭載可能なモデルで、圧倒的な物理コア数により驚異のプロセッサーパワーを提供する。下で説明している「PointLLM(3Dデータを理解して検索できるLLM)」Qwen3-Coder(プログラムコード生成に特化した大規模言語モデル)」はHP Z8 Fury G5、MetAIバーチャルヒューマンはHP Z6 G5 Aで動作していた。

イベント風景
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miniPCタイプの筐体にAMD Ryzen™ AI Max+ PROプロセッサを組み合わせることで、デザインからは想像できないほどのハイパフォーマンスを実現しているのが、こちらの「HP Z2 Mini G1a Workstation」だ。扱いやすさと非常に高い演算能力が両立していることから、現在売り上げを伸ばしている注目の製品だ。

また、当日おこなわれていたデモの概要は以下の通り。

MetAIバーチャルヒューマン
MetAIバーチャルヒューマン

リアルの人間を撮影した2分間のデータを使い、生成AIでバーチャルヒューマンを構築する。商品比較サイトのデータを学習させて、パソコンが欲しい人向けに自然言語による応対を実現している。これを応用すれば医療の事前診療や、診療後の説明、あるいは企業の受付といった用途に広げていけると考えている。

PointLLM
PointLLM

過去の3DデータをLLMで分析する。企業内資産の中には3Dデータも含まれるがこれを利活用するためにLLMに認識させ、キーワードやベクトルをデータベース化[4]させたうえでRAG(Retrieval Augmented Generation)[5]検索を可能にしている。過去の3Dデータを分類し、差別化の学習データにするために必要なプロセスを自動化するので、これまで眠っていたデータ資産を人間が中身を見ない状態でも必要なデータだけを抽出できるようになる。

[4]ベクトルデータベース:文章や画像を意味ベースで数値化し似た内容を高速に検索できるデータベース。

[5]RAG(Retrieval Augmented Generation):社内文書やデータを検索してから生成AIに回答させることで正確性を高める仕組み。

Qwen3-Coder
Qwen3-Coder

NVIDIA Blackwell 4基により、480Bの生成AIモデル(約4,800億パラメータ規模の生成AIモデル)がMCP(Model Context Protocol)[6]サーバとして動作してい る。LM Studio[7]をMCPサーバ化させ、VSCode[8]にアクセスし、テキストで質問するという流れだ。将来、製造業で使うソフトウェアがMCPに対応してくると予想されているので、この仕組みを使うことで、それらに対してテキストで指示がくるようになる。

[6]MCP(Model Context Protocol):生成AIが外部ツールやアプリ、データと安全に連携するための共通ルール。

[7]LM Studio:ローカル環境で大規模言語モデルを実行・管理できるツール。

[8]VSCode(Visual Studio Code): プログラマーがコードを書くために使う無料の専門的なテキストエディタ。

ネプコン ジャパンに新たに設定された「生成AI World」は終日大勢の来場者で賑わいつつ、イベント期間を終えた。HP勝谷氏に今回のイベントの感想を伺ったところ、「自動車メーカーの製造部門をはじめ、あらゆる産業部門の方々が生成AIに興味をお持ちであることが非常によくわかりました。これまでいろいろと調べた中でも480Bの生成AIモデルがワークステーションで動作することを知らなかったという方も多く、今回のイベントに参加したことで私たちの製品のパフォーマンスの高さをお伝えできたかと思います。クラウドやGPUサーバといった選択肢と比較しながら、ローカル生成AIにはワークステーションという『第3の選択肢』があることをお伝えできたイベントでした。ロ ーカル生成AI活用についてはまだ手探りの企業様が多いと思うので、ぜひこうしたイベントに参加した際に私たちにお声がけいただくか、担当のHP営業にお問い合わせいただけると幸いです」と答えてくれた。HPは今後も様々なイベントに出展していくので、ぜひ参加していただきたい。

イベント風景
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HPワークステーション
https://jp.ext.hp.com/prod/workstations/

イベント・セミナー情報
https://jp.ext.hp.com/techdevice/event/

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