製造業の導入を阻む2つの要因を打破 モバイルワークステーションの決定版
設計者向けワークステーション
2025-04-30


最新SoC「AMD Ryzen™ AI Max PRO」を搭載する「HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstation」は、国内製造業の設計開発者が待ち望んだ小型軽量かつ高性能の14インチモバイルワークステーションだ。「SOLIDWORKS」などの3D CADツールを自在に扱えるだけでなく、長時間の安定稼働やセキュリティ機能により安心して利用できる。
※本記事はMONOistにて掲載されたものです。
国内製造業の設計開発現場における3D CADツールの運用は、据え置き型のデスクトップワークステーションが主流であり、モバイルワークステーションの導入は限定的だ。コロナ禍を経てリモートワークや働き方改革が進んだ今もなお、設計者が「出社して自席で作業する」というスタイルが根強く残っている。外部顧客との打ち合わせや設計レビューといった場面でも、モバイルワークステーションではなく、一般的なノートPCから自社サーバにリモート接続し、3Dデータを閲覧するケースも多い。
しかし設計者は、社内に限っても、自身が所属する設計部門だけでなく、実験部門や生産技術部門、検査部門と連携するなど「電源を確保できない現場」に出ることは多い。だからこそ、本来的にモバイルワークステーションに対する需要は大きいと考えられる。
モバイルワークステーションの普及を阻む2つの要因
それではなぜ、製造業におけるモバイルワークステーションの活用が広がらないのか。日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 市場開発担当部長の川口剛史氏は「性能と携帯性の両立の難しさに加えて、セキュリティを最優先とする設計現場の文化が、モバイルワークステーションの普及を阻む要因となっていると考えられます」と説明する。
モバイルワークステーションは社外への持ち運びを前提とした製品だが、快適なパフォーマンスを実現しようとすれば、その分だけ重量も増す。ディスプレイサイズが16インチのモデルであれば重量は2kg前後、ハイエンドモデルでは3kgを超えることも珍しくない。一方で、軽量性を重視した14インチ、約1.5kgのモデルも存在するが、快適な動作に必要な処理性能が不足しがちだ。
加えて、セキュリティ面での懸念も根強い。製造業では、CADデータなど機密性の高い設計情報の取り扱いが極めて厳格であり、特に社外へのデータ持ち出しには慎重な対応が求められるため、モバイル端末の導入そのものに対する心理的なハードルが高い。
「AMD Ryzen™ AI Max PRO」搭載のモバイルワークステーション
これらのモバイルワークステーション特有の課題を解決するべく登場したのが、2025年1月に日本HPが発表した「HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstation」だ。最大の特長は、最新プロセッサ「AMD Ryzen™ AI Max PRO」を搭載した点にある。同プロセッサは、CPUとGPU、そしてAI(人工知能)処理に特化したNPUを1つのチップに統合したSoC(System on Chip)である。CPUは最大16コアで、NPUは最大50TOPSの処理性能を誇る。統合メモリアーキテクチャを採用しており、最大128GBのシステムメモリのうち96GBまでGPU用VRAMとして割り当て可能だ。3D CADツールやレンダリングソフトなど、大容量のVRAMを要求するアプリケーションにおいても、従来の16インチモバイルワークステーション以上のスムーズな処理を実現する。
日本HP エンタープライズ営業統括 ソリューション営業本部 ワークステーション営業部 市場開発担当部長の若宮明日香氏は「これまで14インチサイズのモバイルワークステーションは性能面の制約から、ミッドレンジ以上の3D CADツールを快適に動作させることは困難でした。これに対し本機は、柔軟なリソース配分とSoC設計による高度なグラフィックス処理能力により、『SOLIDWORKS』などの3D CADツールにおいてもその性能を余すことなく引き出せます」と強調する。製造業で重視されるISV認証についても積極的に対応を進めており、SOLIDWORKSについては2025年夏頃の認証取得を目指している。また、HPがISV各社と連携を進める中で、AMD Ryzen™ AI Max PRO 向けにアプリケーションの改善を行ったベンダーも多いという。
「HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstation」とディスクリートGPUを搭載するワークステーションによる「SOLIDWORKS」など設計開発ツールのベンチマーク結果。「HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstation」が、設計開発ツールの性能を余すことなく引き出せていることが分かる
「Copilot+ PC」にも対応、性能とスリムさを両立
HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationは、最大50TOPSのNPUを搭載していることから、マイクロソフトが提唱する「Copilot+ PC」の要件にも適合している。Copilot+ PC はクラウドに依存せず、PC本体内でAI処理を高速かつ安全に行えることから、操作の先読みや作業の自動補助など、設計業務の生産性を支援するさまざまな機能の活用が期待される。
筐体設計においても、ユーザー目線の細やかなアップデートが施されている。従来の14インチモバイルワークステーションの「HP ZBook Firefly 14inch G11 A」と比べてサイズと厚みの両面でコンパクト化が図られており、横幅で約3.6mm、奥行きで約9.3mmの小型化、そして最大で約6mm以上の薄型化を実現している。16:10のディスプレイは、上部および左右の三辺にフレーム幅を抑えた「三辺ナローベゼル」構造を採用。これにより、本体サイズを抑えながらも広い表示領域を確保しており、CAD図面や3Dモデルの閲覧時にも高い視認性と操作性を提供する。
さらに、モバイルワークステーションにおいて重要なバッテリー性能も強化されている。大容量の74.5Whバッテリーを搭載していることに加え、AMD Ryzen™ AI Max PRO のTDP(熱設計電力)も55Wと低く抑えられていることから、長時間の安定稼働を実現。これは外出先での設計レビューや移動中の作業において、大きなメリットとなる。
「HP Wolf Security」でBIOSレベルからデータを保護
セキュリティ面においても、製造業の現場で求められる高い要件に応える構成となっている。HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationには、HPが法人向けノートPCに標準搭載しているセキュリティソリューション「HP Wolf Security」が採用されており、OSレベルの脅威だけでなく、一般的なセキュリティソフトではカバーしきれないBIOSレベルからの多層防御を実現している。さらに、オプション機能としてPC紛失時のリモートロックやデータ保護にも対応しており、モバイル端末の持ち出しに伴うリスク対策も万全だ。
若宮氏は「HP Wolf Securityは、ゼロトラストを前提とした設計思想に基づいており、マルウェアの侵入やファームウェア層への攻撃といった高度な脅威にも対応可能です。重要なCADデータや設計図面を取り扱う製造業の現場において、ハードウェアレベルでも情報を保護できる点は、大きな安心材料になると考えています」と述べる。
高い性能と拡張性が特長の「HP Z2 Mini G1a Workstation」も発売予定
さらに日本HPは2025年夏、AMD Ryzen™ AI Max PRO を搭載した据え置き型のミニワークステーション「HP Z2 Mini G1a Workstation」の発売を予定している。同機は、前述のHP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationと同等のグラフィックス性能を備え、Copilot+ PC の要件を満たす日本HP初のデスクトップ型ワークステーションとなる。筐体サイズは従来のZ2 Miniシリーズと同様に縦横約20cmのコンパクトな設計を維持しつつ、新たに電源を内蔵した点が大きなポイントだ。これによりACアダプターが不要となり、設置の自由度が大幅に向上。デスク下やモニター背面へのマウントはもちろん、サーバルームにおけるラックマウント運用にも対応する。
「4Uサイズのラックに5台まで搭載可能な設計となっており、高密度な運用が求められる現場にも適しています。“Mini”という名称ではありますが、その実力はフルサイズのデスクトップワークステーションに引けを取りません。限られた設置スペースで、設計や解析といった高負荷な作業を行いたいお客さまのニーズに応える製品です」(川口氏)
SOLIDWORKSとCopilot+ PC、両方のAI機能を活用できる
日本HPは、SOLIDWORKSを展開するダッソー・システムズが出展した「第10回 ものづくりワールド[名古屋]」(2025年4月9~11日、ポートメッセなごや)に協賛し、来場者に向けてSOLIDWORKSとHP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationの組み合わせが設計者の可能性を大きく高めることをアピールした。
ダッソー・システムズ シニアマネージャー CRE営業本部 SOLIDWORKS事業 パートナー営業部 第3セールスグループの大坪陽介氏は「SOLIDWORKSでは、次に使うであろうコマンドの予測や穴開けなどの繰り返し作業の自動化、作図支援、3Dモデルから2D図面の生成といったAI機能の提供を始めています。HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationを使えば、設計者はSOLIDWORKSに加え Copilot+ PC のAI機能も活用できるので、これは非常に大きなメリットになると思います」と語る。
SOLIDWORKSのAI機能による繰り返し作業の自動化では、処理負荷が大きく掛かる可能性がある。しかし、HP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationであれば、最大周波数5.1GHzという AMD Ryzen™ AI Max PRO のCPU性能により、処理負荷を意識することなくサクサクと動かすことが可能だ。「この小型軽量の筐体に高い性能が詰め込まれていますので、設計を行うための道具として長い期間利用し続けられるのではないでしょうか」(大坪氏)
若宮氏は「Copilot+ PC の要件を満たすHP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationと併せて、AI機能を利用できる最新版のSOLIDWORKSも導入していただければ」と意気込む。川口氏も「今後、東京、大阪で開催されるものづくりワールドでも、SOLIDWORKSと連携して、設計者にHP ZBook Ultra G1a 14 inch Mobile Workstationの利点を訴求していきたい」と述べている。
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