生成AI / エッジAIの最新ソリューションが集合した「EdgeTech+ 2025」でHPワークステーション活用事例を公開
2026-01-16
2025年11月19~21日、パシフィコ横浜で製造業向けのイベント「EdgeTech+ 2025」が開催された。このイベントでは組込みシステムの発展を伝えてきたが、近年では生成AIやエッジAIが様々なシーンで広がりを見せている。HPはそのテクノロジーを提供するプラットフォームとしてHPワークステーションを提案。特にローカルSLM(Small Language Model)/LLM(Large Language Model)[1]を中心に生成AI活用の実例を紹介した。
さっそく当日の模様をお伝えしよう。
取材:中山 一弘
[1]SLM(Small Language Model)は軽量で高速、LLM(Large Language Model)は高精度で汎用性が高いという特性を持つ。
業務に最適なモデルが確実に見つかるHPワークステーション
EdgeTech+の会場に設けられたHPブースには、ハイエンドモデルの「HP Z6 G5 A Workstation」と「HP Z8 Fury G5 Workstation」、そしてMiniPCサイズの「HP Z2 Mini G1a Workstation」、さらにモバイルワークステーションの「HP ZBook Ultra G1a 14 / HP ZBook 8 G1a Mobile Workstation」などが展示されていた。
「業務を生成AIで効率化するという流れは製造業のみなさまにもおこりえるシチュエーションだと思います。特に社外へ持ち出せない情報が多い部署や部門では、安全なデータ運用をしなくてはいけませんから、ローカル生成AIを選択するケースが多くなるはずです。その際、サービスを提供するプラットフォームとしてワークステーションは最適な存在になってくれます。HPなら、サーバークラスに匹敵するハイパフォーマンスを提供するモデルから、場所を選ばず使い勝手の良いMini PCクラスのワークステーションまで、あらゆるニーズに最適な製品をお届けできます」と説明するHPの勝谷氏。
また、モバイルワークステーションについてはNPU(Neural Processing Unit)[2]を採用した最新プロセッサを搭載したモデルが登場しており、ローカル生成AI活用においては推論での利用が進んでいる。「このイベントでもよく聞かれますが、ローカル生成AI活用を想定した場合のコンピューターの使い方は、開発や学習、サービスの提供といった負荷の高い作業に使うのはワークステーション、ユーザーの手元で推論用として使う場合は次世代AI PC、Copilot+ PCと分けて考える必要があります」と勝谷氏は語る。
今回展示されている「HP ZBook Ultra G1a 14 / HP ZBook 8 G1a Mobile Workstation」は、推論はもちろん、ある程度の開発などもおこなえるパワフルな仕様が魅力の製品だ。持ち前のモビリティ性能を活かして、場所を選ばず、高度なコンピューティングをしたい場合にはこうしたモデルもおすすめだ。
[2] AI処理を低消費電力で高速に実行するために設計された専用プロセッサ
今回展示されていたワークステーションは、いずれも生成AIのデモが稼働中で、Z8 、Z6は当日おこなわれたパートナー企業のミニセッションで紹介されたソリューションを、モバイルワークステーションは推論用と、新たなソリューションとしてリリースが待たれている「HP Z Boost」のデモがおこなわれていた。
生成AIソリューションについては、ミニセッションの紹介コーナーで紹介するが、HP Z Boostについてはここで簡単に説明しておこう。これはリモート環境からベースとなるワークステーションに接続し、そこに搭載されているグラフィックスカードのリソースを自由に使えるようにするというテクノロジーだ。ディスクリートグラフィックス非搭載のモバイルワークステーションでも、まるでそのコンピューター上にGPUがあるかのようにHPワークステーションが持っているハイエンドグラフィックスが利用できるのだ。出張先での開発などはもちろんだが、急ぎ開発中のソリューションのデモを見せなくてはいけないようなシチュエーションでも、拠点にある環境と同じグラフィックスでプログラムを動かすといったこともできるようになる。
HP Z Boostに関しては近年正式リリースの発表があるので、もうしばらくお待ちいただきたい。ここからはHPブースでおこなわれたミニセッションの模様をお届けしよう。
HP ZBook Ultra G1a 14 Workstationを共同開発したAMD
コマーシャル営業本部
セールスエンジニアリング(HP PC担当)
キム ヒョンホ氏
HPの重要なパートナーであるAMDは今回、協同開発したプロセッサ「AMD Ryzen™ AI Max+ PRO 395 プロセッサ」を搭載する「HP ZBook Ultra G1a 14 Workstation」を紹介した。「HP様とAMDが手を組んで作り上げた、モバイルワークステーションとして最新かつ最も強力なモデルがこの『HP ZBook Ultra G1a 14 Workstation』です。モデル名の末尾にある『G1a』は第1世代のAMDプロセッサを搭載するモデルであることを示しています。モバイルワークステーションの場合、パフォーマンスを重視するとどうしても重く大きくなりがちですが、この「HP ZBook Ultra G1a」はたった1.5kg程度の軽量なボディでありながら、最高水準の性能を得ることができます」と説明するキム氏。
このモデルは最大128GBのユニファイドメモリ[3]アーキテクチャというシェアードメモリを採用しており、必要に応じてメモリリソースをCPU、GPU、NPUがシェアすることができる。GPUに関しては最大96GBまでVRAMとして割り振る[4]ことができるので、非常にパワフルな処理が可能となっている。
このスペックと同等の仕様を持っているのが「HP Z2 Mini G1a Workstation」となっており、デスクトップタイプが必要なユーザーにとっては最適な選択肢となっている。
「このモバイルワークステーションをお使いになるお客さまの場合、AI開発者などでAIをファインチューニング[5]する作業にお使いになることも多いと思います。まさにそういった方々にも、最適なプロセッサだということがいえます」とキム氏は語ってくれた。
[3] 共有メモリの一部をGPU専用のメモリとして確保しAIやグラフィックス処理に使うこと。
[4]ユニファイドメモリは、CPU・GPU・NPUが同じメモリを共有し処理内容に応じて柔軟に使い分ける仕組み。
[5]既存の生成AIモデルを自社データや用途に合わせて追加学習させること。
日本向け生成AIを開発・販売しているUpstage AI
米国に本社を持つUpstage AIからは日本支社の織田氏が登壇。「日本HP様と共同で開発した『SolarBox』というソリューションをご紹介します。HPワークステーションの潜在能力を存分に活かすサービスをご提供します」と織田氏。
セールスディレクター
織田 淳嗣氏
このソリューションは2つのAI機能を統合したもので、ひとつはAI OCRの「Document Parse」で、企業内に蓄積されているフォームや斜めになってしまった文書、複数ページにまたがる表、画像付き文書などの非構造化データを構造化データに変換する機能を提供する。
もうひとつはUpstage AIが独自に開発したLLMで、グローバル展開していた製品を日本向けにチューニングしたものになっている。「グローバルモデルと同様に軽量で高速になっており、製品名は『Syn』となっています」と織田氏は語る。このふたつの機能を統合することで、非構造データを構造化データへと変換しながらAI処理をLLMが受け取り、サービスに活かすことが可能となっている。
「多くの日本企業さまのお話を伺うと、文書からの情報抽出に多くの時間を費やしているのが実情だといいます。本来であればこれらの作業時間はなるべく減らして、その情報を元にした意思決定などに時間を使いたいはずです」と課題を語る織田氏。
文書処理の部分で確実に正しいデータをAI処理にまわすことができれば、基本的にAIは正しい判断ができるようになる。もし間違ったデータをAIに与えてしまうと、そこでは結果的にハルシネーション[6]を起こしてしまうことになってしまう。それを防ぐ意味でも、「SolarBox」は非常に役立つ機能を提供してくれるのが特徴だ。
「いくつかの課題に対して、ワンストップで機能を提供できるソリューションとして、『SolarBox』にはさまざまなメリットがあると思います。ぜひPoCなどで実際の性能を試していただきたいと思います」と織田氏は最後に語ってくれた。
[6] 生成AIが事実ではない内容をあたかも正しいかのように出力してしまう現象。
セールスディレクター
織田 淳嗣氏
企業に本当に必要なAIエージェントを届ける調和技研
調和技研は北海道大学のAI研究室から始まったスタートアップ企業で、本社は札幌にあるが、東京にも支社を持っている。スタートアップというカテゴリにはなるが、社員数は約90名になり、開発業務を中心に多大な実績があるのが特徴だ。
ビジネス開発部事業推進G マネージャー
武藤 悠貴氏
「弊社は日本HPさまと共同で『オンプレミス環境で生成AIを活用する』というテーマを実現するために活動を続けています。HPワークステーションのラインアップをみるとよく分かりますが、ここ5年間くらいでマシンの性能が急激に向上しています。生成AIにしても2019年に1kのトークン数であったものが、現在では1Mのトークン数にまでなっています。トークン数でいえば1000倍にもなっています。まさにワークステーションの可能性は大きく広がっているのです」と武藤氏は語る。
「ワークステーション+ローカル生成AI」の環境であれば、いままで導入をためらっていたような企業でも、予算設定がしやすく見通しも立ちやすくなる。初期コストに加え、電気代などのランニングコストを積み上げていけば、一定期間に必要な予算上限額もすぐに計算できるのが大きなメリットといえる。
調和技研では、製造業の場合に生成AIを活用していくことについては、いくつかのプロセスがあると考えているのだという。「最初は生成AIの準備と、それに対応する人材の育成や準備です。個人の利活用でも業務での小さな活用からでもよいのですが、この2つに対してきちんとアクションを取ってから、次の段階に進むことになります。こういうステップを踏まえて進めていくことで、専門業務に生成AI(AIエージェント)の利用を広げていくことになります。せっかく環境を用意しても、そもそも社員が対応できなくて現場が混乱するようなことがあっては本末転倒です。仕組みをきちんと作ったうえで、社員が意思決定していけるようにしていく必要があります」と語る武藤氏。実際の導入に際しては、調和技研によるPoCサポートを通じ、企業の環境にフィットするローカル生成AIのシステムを構築していくので安心だ。
「実際のローカル生成AI(AIエージェント)システムは企業ごとに状況・環境が大きく異なります。調和技研の知見と技術力があれば、みなさまが効率化したい業務を最適な状態にしていくためのお手伝いができると思います。それぞれの企業さまのお悩みなどを聞くことも重要だと思っていますので、なにか機会がありましたらいつでもご相談いただければと思います」と武藤氏は最後に語ってくれた。
取材後記
EdgeTech+ 2025は連日盛況のうちに幕を閉じた。広大な展示場の中でも生成AIやエッジAIを扱う企業ブースは特に人気となっており、AIを取り巻く時流の早さを十分に感じさせるものだった。HPブースにも非常に多くの来場者が訪れ、ワークステーションを活用したローカル生成AI活用のデモに熱い視線を送っていた。
HPワークステーションはもちろん、パートナー企業による最新のソリューションを見る機会はそれほど多くはない。こうしたイベントは貴重な経験を得るのに最適な場所となるはずだ。今後もHPは全国で開催されるイベントに積極的に参加していくので、みなさまの近くに来た際にはぜひ会場に足を運んで、HPのテクノロジーとソリューションに触れていただきたいと思う。
イベント・セミナー情報
https://jp.ext.hp.com/techdevice/event/
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