より深い製品への理解を演出する立体視を採用した新しいプロモーションにHPワークステーションを採用
株式会社荏原製作所
2025-11-19
製品のプロモーションは企業にとって非常に重要な役割を持った施策のひとつだ。ごく短時間の中で該当製品の特長を適切に伝え、それを利用するベネフィットを感じさせる必要がある。それを顧客のみならず、社内に向けても展開していくには説得力のあるソリューションが必要だ。株式会社荏原製作所ではその取り組みを加速させるために、HP Z2 Mini G1a WorkstationとSONYの空間再現ディスプレイ(Spatial Display)、Ultraleap社のLeap Motion Controller 2を組み合わせることで、自由視点での立体視を取り入れたプロモーションソリューションを構築している。今回は開発を担当したプロジェクトチームに話を伺ってきたので紹介しよう。
取材:中山 一弘
目的
- 立体視を取り入れたプロモーションを実現するシステムの構築
アプローチ
- ハイパフォーマンスと省スペース性を両立するHP Z2 Mini G1a Workstationと立体視ディスプレイ「SONY LF-SR2」およびハンドトラッキングセンサー「Ultraleap Leap Motion Controller 2」を導入
システムの効果
- 省スペースでありながら高い演算能力と高性能グラフィックスを両立
- 可用性が高く、長時間の高負荷運用を実現
- 豊富なポート類を搭載し、システムの拡張にも対応
ビジネスの効果
- リリース前の状態でもモック不要で製品理解を促進
- 社内外へのプロモーションに即時対応できる高い汎用性を実現
- 表現手法の多様化にも対応する高い将来性
社内外へ向け製品理解を深めるプロモーションを目指す
株式会社荏原製作所(以降、荏原製作所)は、1912年に創業した「ゐのくち式機械事務所」を前身に持つ企業だ。当時の最先端技術だった20tクラスの「渦巻ポンプ」の自社製造を可能としたことをはじめ、そのノウハウを徐々に広げ、産業設備や建設設備、エネルギー、水インフラ、固形廃棄物処理、半導体製造装置などへ市場を広げ、現在ではマリン事業やバイオ事業、水素事業、さらには航空宇宙事業にまで事業領域を拡大している。
それぞれの事業分野において、人々の暮らしに必要不可欠なインフラを提供し、社会問題の解決や先端技術の発展に貢献してきた同社は、DXも積極的に進めている。その中の施策のひとつとしてプロモーション体験の拡張を図ることになったのだという。「弊社のCIO組織内にあるデータストラテジーチーム デジタルテックR&DアンドプロモーショングループにてプロモーションDXの推進を目指しています。バーチャルテクノロジーを駆使し新しいプロモーション手法を通じて成果創出に取り組んでいます」と語るのはグループリーダーの島﨑氏だ。
従来のプロモーションは経験と勘に基づいて進められる傾向があり、合意形成や意思決定に時間が掛かり進行に遅れが生じやすいという側面もある。「定量、定性両面からのデータドリブンなアプローチによって、効率的かつ効果的なプロモーションが実現できると考えました」と島﨑氏は言葉を続ける。
デジタルテックR&Dアンドプロモーショングループでは3DCGデザイナーやXRエンジニア、UI/UXデザイナーといった専門人材を擁しており、内製による新たなプロモーション方法の確立とテクノロジーによる具現化を可能としている。「彼らの知見を総動員することで、新しい技術の発掘とスピード感のあるPOC制作、社内提案を経て様々なプロジェクトを積極的に創出することができるようになりました」と島﨑氏は明るい表情で語る。
3DCADデータを利活用した立体視コンテンツがカギに
複数のPOCから検討を重ねソリューション化されたのが、各部門から届く製品の3D CADデータを活用した立体視ソリューションであった。それを実現することで、図面のみで実機のない製品を立体視することが可能となる。今回のソリューションでは手の動きをセンシングするセンサーと連動することで、製品を自由視点であらゆる角度から見ることができるようになっている。2025年7月のXR/メタバース総合展のHPブースの一角にも展示をしたこの立体視ソリューションは同社の水素昇圧ポンプ内部を透過したり、拡縮・回転など自由視点でブースに訪れたお客様の目を楽しませたとのこと。
「プロモーション用のチラシや販促物といったインフォグラフィックを担当しています」というUIデザイナーの齋藤氏。「私は製品を見せるための3Dオブジェクトを作りつつ、Unityを扱うエンジニアと共に表現方法について試行錯誤をする役目を担っています」と語る3DCGデザイナーの三宅氏。「齋藤さん、三宅さんが作ったデータを訴求する上でどのように動かせば良いのかをエンジニアの立場から考えています」と語るXRエンジニアの丸山氏らを中心にプロジェクトは進められた。
「プロジェクトが発足した当初はエンジニアが日常の作業で使っているHPのモバイルワークステーションと立体視対応のディスプレイでプロモーション用のコンテンツを動かしていました。しかしコンピューターにエンジニアの開発環境もあるため、機材が展示で使用される度にエンジニアも都度それに付き合う形になってしまいます。その状況を受け、やはり業務分離はしなくてはならないということになり、安定稼働が期待でき、3DCGがストレスなく動作するコンピューターを別途用意しようと考えました」と三宅氏は語る。
超小型ワークステーション「HP Z2 Mini G1a Workstation」を採用
新たなプロモーションの実現へ向けたコンピューターの選定の際の要件として、場所を取らない小型筐体であり、3DCGを中心としたコンテンツがストレスなく動作することが挙げられた。そして数ある候補の中から最終的に選ばれたのは「HP Z2 Mini G1a Workstation」だった。
「HP Z2 Mini G1aは次世代AMD Ryzen™ AI Max+ PRO 395プロセッサを搭載し、3D処理を強力にサポートするRadeon™ RX 8060Sグラフィックスと最大128GBのグラフィックスメモリとを割り当て可能なメモリ、ストレージも最大で8TBまで搭載可能です。大変コンパクトな筐体であり、しかも速度や省電力性能に優れハイパフォーマンスを発揮しますので、これまで以上に活躍の幅が広がったワークステーションといえるでしょう」とHPの新井氏は解説する。
また、チームがコンテンツ開発を進める際に、デザイナーやエンジニアは実に様々なアプリケーションを活用する。HPのワークステーションは主要なアプリケーションが安定稼働することが確認済みであるISV認証を取得しているケースがほとんどとなっており、この点も導入決定のポイントになったのだという。
プロモーションの進化に成功した荏原製作所
立体視ディスプレイは、Sonyの空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」が選ばれた。立体視を使ったデジタル描画は、サイズにはよるもののワークステーションへの負担はかなりのものになる。
「描画するデータはCADで描かれた各種パーツが大量に表現された3DCGです。これをインタラクティブな形で、空間上に手をかざして操作するリープモーションなどを含めて表現させた場合、コンピューターに与える負荷もかなり大きくなります。Mini筐体のワークステーションに触れたのは初めてということもあり、こんな小さな筐体で?という不安もありましたが、実際に動かしてみるとまったく問題なく描画され、操作もストレスなくおこなうことができました。様々な手法での開発を試みていますが、まだまだ底が見えていないので非常に頼もしく思っています」と丸山氏は導入初期時を振り返る。
「HP Z2 Mini G1aとELF-SR2を専用に制作したオリジナル什器にセットして使っています。什器にアクリルの窓を取り付けることで、稼働中のMini筐体のワークステーションが見えるようにしています。システム構成を説明できるようにとこのような什器構造にしているのですが、Mini筐体の小ささに驚かれる方も多いです。小型のため什器内部にスペースが取れるのが冷却性の面で優れていますが、さすがにマシンへの負荷が高く什器内は高温になります。XR/メタバース総合展では途中で熱暴走も想定していましたが、3日間フル稼働でも安定稼働してくれたので驚きました」と導入の手応えを語る島﨑氏。
立体視ディスプレイソリューションは効果的なプロモーション手法として社内各所からのリクエストも急増しているとのこと。開発と運用の業務分離もHP Z2 Mini G1aの導入により実現でき、プロジェクトは次のステージへと歩みを進めている。
「現在の立体視ディスプレイでは体験は1名ずつとなりますが、社内からは複数名で見ることができるようにして欲しいというニーズも多いので、今後は65インチサイズのディスプレイや、複数のディスプレイを用いた疑似3D展示へとソリューションの拡充を検討しています。HP Z2 Mini G1aはポート類が豊富で拡張性が高いので、今後のソリューション拡充における強力なパートナーとなるでしょう。また、高負荷状態でも可用性が高いことはこれまでの運用で証明されているので、様々なシーンでこれからも期待に応えてくれると確信しています。今後もこのワークステーションを中心に、プロモーションを進化させていきたいと考えています」と最後に島﨑氏は語ってくれた。HPは荏原製作所ならびにプロモーションDXの推進を今後もサポートしていく。
HP Z2 Mini G1a Workstationはオリジナル什器と一緒に長時間稼働しても、熱暴走などもなく、安定性も抜群でした。
デジタルテックR&Dアンドプロモーショングループ
ビジネスディベロップメントマネージャー 島﨑 さくら氏
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