高度な処理や負荷がかかることも多いCAD設計者の端末に求められるものは第一に安定性。不安定なハードで、設計者や関係者の時間・工数を無駄にしたくない。
HPは、1980年代のUnix ワークステーション提供から30年以上にわたり、選任の事業部を設けて開発に専念している。PC ワークステーション時代へと移り変わって以降の2009年には、他社に先駆けて専用設計を突き詰めたHP Z800をリリースし、ワークステーションの新たな潮流を作った。
HPは、1980年代のUnix ワークステーション提供から30年以上にわたり、選任の事業部を設けて開発に専念している。PC ワークステーション時代へと移り変わって以降の2009年には、他社に先駆けて専用設計を突き詰めたHP Z800をリリースし、ワークステーションの新たな潮流を作った。
HP Z800は、それまでHDDやメモリー増設時に煩雑になることが多かったケーブル配線を隠すという、当時としては斬新な構成で設計された。また筐体内部の冷却効果に配慮した吸気排気の設計により安定稼働・静音性を約束。この筐体内部レイアウトのデザインに協力したのは、自動車メーカーBMW グループの Designworks USA。ワークステーションの吸排気へ配慮した優れた設計と洗練されたフォルムは、自動車のエンジンルームにも通じる。
メモリー、拡張カード、ドライブはツールレスで入れ替えが可能。電源ユニットや冷却ファンなどまでモジュール化し、容易に着脱できる利便性も備えた。
Z840の筐体内部イメージ。上から、電源ユニット、CPU(冷却ファン)グラフィックカード、全面下部にはストレージと別々のパートにレイアウトされ、各パートの熱源が常にフレッシュになるよう配慮されている。
最新機種のHP Z8 G4 Workstationの吸・排気イメージ。より高い冷却効果を得るため、筐体前面だけでなく、角や底面からも吸気している。
HP Z800の後継となる、現行モデルのHP Z8 G4では、内部コンポーネント・電源効率・熱効率も向上。各分野のソフトウエアベンダーとの連携によるソフトウエアの最適化も行い、トータルなパフォーマンスアップを実現。CADやCAE、VRも可能にする最高峰のハイエンドワークステーションとなった。
HPのワークステーションは、専任部門の研究から設計がされているが、そこには必ず利用者の声が採り入れられている。グローバルに展開するHPでは、各地域の業界ごとに、ユーザー企業とコミュニケーションを図り、実際の利用者のニーズをくみ取るための施策「アドバイザリー・カウンシル」を実施している。
「アドバイザリー・カウンシル」は、製造業や建築業だけでなく、金融やクリエイティブなど、さまざまな業界の利用者と対話をして要望を集めるイベントだ。そこで集められた意見が、数年後にリリースする製品やサービスに採用されることも多い。
たとえば大柄な筐体にある、持ち運び用のハンドル。これも「アドバイザリー・カウンシル」でのヒアリングから生まれたものだという。
さまざまな企業や個人が関わるプロジェクトでは、その開発が終了すると、担当者は利用していた機器とともに、次のプロジェクトに移る。大きな筐体でも持ち運びやすいようにとの要望に応え、ハンドルがデザインされた。
日本の利用者を対象にした「アドバイザリー・カウンシル」も、各種業界別に行われている。日本では、ワークステーションを設置する場所が限られた事業所も多く、より小さな筐体を求める声が多かった。そこで省スペースのワークステーション製品を開発・販売したところ、日本のみならず世界中で支持される結果となったという。
筐体についたハンドルは、プロジェクト終了後の機器の移動を容易にしたいというニーズを反映したものだ。
日本の利用者を対象にした「アドバイザリー・カウンシル」も、各種業界別に行われている。日本では、ワークステーションを設置する場所が限られた事業所も多く、より小さな筐体を求める声が多かった。そこで省スペースのワークステーション製品を開発・販売したところ、日本のみならず世界中で支持される結果となったという。
日本国内で行われた「アドバイザリー・カウンシル」の声を反映し、省スペースタイプのワークステーションもラインアップに加えられた(写真はHP Z2 SFF G4 Workstation)。
このように、信頼性を第一に、利用者の意見も取り入れて設計されるHPのワークステーション。HPのワークステーション担当者から、安定して動作するハードウェア構成の基礎知識を提供していただいたので参考にしてほしい。
設計データは、設計室だけでなく、製造や施工の現場で活用されることを目的として作られる。会議で共有されることもあるだろう。設計者は、設計データについてさまざまな関係者と共有・議論し、業務を遂行していくはずだ。
設計データの共有のために、高性能のワークステーションを社内外のさまざまな現場に導入したり、わざわざ持ち出したりすることは現実的ではない。
そこで活躍するのが、さまざまな現場において、ワークステーションのデータを参照可能なリモートデスクトップ環境「HP Remote Graphics Software」(以下「RGS」)。HPのワークステーションには無償でバンドルされる。
たとえば、離れた事業所や外出先からでもほかのPCやタブレットからワークステーションを操作し、その画面をリアルタイムに表示できるのだ。
「RGS」は、HPが開発した圧縮技術により、転送データを170:1の高い圧縮率で高速にエンコードできる。これは、米航空宇宙局(NASA)の火星探査の画像転送にも採用されたテクノロジーをベースにしている。
バンド幅の狭いネットワークでも差し障りのないデータ転送ができ、データ容量の大きい3Dデータや動画も、オリジナルとほぼ同等のイメージクオリティで円滑に表示する。
「RGS」は、HPが持つ画像の高度な圧縮解凍技術から NASAの火星探査プロジェクト向けに開発されたシステムから生まれた。
「RGS」の利用で、離れた場所であってもリアルタイムで 2D、3Dデータ、ビデオ、アプリケーションを表示および共有できる
お茶の葉を乾燥させる工作機械で国内シェア70%を誇るカワサキ機工は、HPのワークステーションと「RGS」を有効活用している企業。
同社は、全国各地の離れた拠点同士、あるいは得意先で3Dデータを共有したいというニーズの一方で、機密情報の漏えいも防止したいといった課題を抱えていた。
「RGS」なら、データ自体を設計室の外に持ち出す必要がないため、情報共有やプレゼンでのリモート活用を積極的に推進できるようになったという。
ワークステーションとタブレットの連携で、機密を守りながらリモート業務推進をできるようになった
高性能のハードウェアを設計者だけでなくすべての関係者が活用したい……子育て中や介護中の在宅勤務でも設計に携わりたい……災害や悪天候で出勤ができない場合に外部からアクセスしたい……これまで不可能と思われた設計や解析の業務に従事する方の働き方改革を実現する、新たな利便性を実現できるのも、HPのワークステーションならではだ。
性能も利便性も高い製品であっても、万一のトラブルの可能性はぬぐいきれない。HPは、そんな不安を解消するべく、高品質の製品づくりとともに、サポートや保証などのサービスも充実。より安心できる体制を提供している。
HP製品の高い信頼性と安心感を裏付ける要素のひとつが、国内生産・国内配送。東京工場では、HP標準の生産管理プロセスに加え、日本独自の耐振動・耐荷重テストなどの品質チェックを採用。より高品質な製品を、注文から最短で5営業日で出荷する体制を実現している。
東京でつくって国内輸送。
だから高品質の製品がすぐ届く
また、ワークステーション製品においては、専任のテクニカルサポート部署が東京に組織されている。万一のトラブル発生時でも、エンジニアによる適切なサポートを迅速に提供できる体制を整えている。
機器の標準保証として3年保証サービスを提供。設置場所に翌日赴く修理対応では、修理の日が土曜日や日曜日であっても対応する体制を敷いている。
製造業や建築業界には、独自のカレンダーや業務シフトにより、土日祝日でも営業する事業者も少なくない。土日も関係なく修理対応可能な点は、こうした顧客から高い評価を得ているという。
専任設計による信頼性の高さ、リモートアクセスの利便性による業務改革、万一のトラブルでも安心のサポート体制。HPのワークステーションは、ハードウェア構成や価格の単純比較では見えないさまざまなメリットを提供している。
Windows10移行などIT環境変更の大きな節目には、単なる数値比較で製品を選ばす、投資効果の高い製品やサービスを導入し、環境改革を実現したい。