AI World 2025にHPワークステーションが登場!ローカルSLM/LLMに確実な手応え
2025-11-18
2025年7月23日~25日、幕張メッセにてビジネスイノベーションJapan実行委員会の主催によるイベント「AI World 2025【夏】」が開催された。本イベントには、あらゆる業界が先を争うように活用をはじめているAIテクノロジーの最先端が集結。連日、最新ソリューションやデバイス、アプリケーションなどが展示されていた。HPもこのイベントに参加。コンピューターベンダーとして、AI活用になくてはならないプラットフォームであるHPワークステーションを提案した。ここではその模様をお届けしよう。
取材:中山 一弘
会場の注目を集める数少ないハードウェアベンダー
イベント会場のほぼ中央に位置するHPブース。今回はAIをテーマにしたイベントだけに、周囲はアプリケーションやソリューションなどのソフトウェアを展示する企業や組織がほとんどだ。その中で、HPは異色ともいえるワークステーションを展示。AIをローカル運用する機運が高まるビジネス界において、その重要性をアピールした。
「一番目立つところにあるのはHP Z8 Fury G5 Workstationです。片方はNVIDIA RTX™ 6000 Adaを4基、もう一方は同じくHP Z8 Furyに、まだ未発売ですが最新のNVIDIA RTX PRO™ 6000 Blackwellが搭載されています」と語るのはブースを案内してくれた勝谷氏。
ローカル生成AIによる画像の自動生成のデモがおこなわれていたが、両者において驚かされるのは音の静かさだ。「排熱はそれなりにありますが、プロセッサーやグラフィックスの使用率を考えるととても静かです。生成AIをローカル運用する際に、サーバではなくオフィスなどに設置されたワークステーションを使うことを考えるとこれは革新的な特長だと思います」と勝谷氏は語る。たしかに、フル稼働を続けるプロセッサーとグラフィックスを想像するとファンの音が大きくなることも予想できるが、静音性を保ったままでいるのはエアフロー性能と、ファンコントロールの効率性がとても高いことの証だといえる。ローカル運用時にデスクサイドにワークステーションが置かれることを考えれば、どれだけ快適なのかが容易に想像できる。
また、今回注目されたトピックスとして「HP Z Boost」を取り上げた勝谷氏。「これを使うとローカルLAN経由で、HPワークステーションに搭載されているグラフィックスのGPUリソースを使用できる機能を付与することができます。例えば4枚のグラフィックスがあったとして、3枚を本体で使い、1枚分をモバイルワークステーションに割り当てるといったことが簡単に実現できるようになります」と同氏は説明する。HP Z Boostは夏以降に正式発表が予定されており、年内のリリースが想定されている。グラフィックスも高性能化するにしたがい価格も高騰している。限られたリソースを有効活用したいという企業や組織にとって必須のテクノロジーとなる可能性があるので、ぜひ注目していただきたい。
このほか、モバイルワークステーションをはじめとする人気モデルを展示していたHPブース。一方で、ブースの一角ではHPおよびパートナー4社によるミニセッションも開催され、小さなスポットながらも注目を集めていた。ミニセッションの模様をダイジェストで紹介しておこう。
HPブース ミニセミナー概要
■ 日本HP
HPの勝谷氏は、AIワークステーションの活用例を中心に、昨今の生成AI導入状況、業界動向、投資額、導入プロセス、HPワークステーションのメリットや事例、今後の展開予定について説明。AI疲れや業界の導入タイミング、投資割合、具体的な導入事例、HPの新サービス「HP Z Boost」など、AIワークステーションの現状と今後の展望を網羅的に解説した。
「特にAI技術の進化の早さから、導入延期が増えており、同業他社の事例や動向といった情報の数が重要な判断材料になる」と語り、「AIに特化した話ではなく、現在は当たり前となっているクラウドなどのテクノロジーが通ってきた道なので、今後の再燃のスピードと熱量が普及のカギとなる」と話した。また、AI活用においては、「データ漏洩リスクの観点でローカル環境での運用にニーズが集中しはじめている」と現状を語った。
■ AMD
AMDの秋葉氏は「持ち運びできるAIを身近に安全に」をテーマにプレゼンテーションをおこなった。AMDの歴史の紹介から始まり、ゲーム機や自動運転システムを含む、多岐にわたる製品やクラウドインフラにテクノロジーを提供している点に触れた。また、AMDのAI戦略については、3つの柱(先進的なコンピューティングエンジンの提供、オープンエコシステムへの取り組み、フルスタックソリューションの実現)を軸に説明し、最新のZenアーキテクチャや、NPU搭載の最新プロセッサーの紹介、ベンチマーク比較など、具体的な製品仕様とパフォーマンス向上の数値を使いながら解説した。
特に秋葉氏は最新の「AMD Ryzen™ AI MAX PROシリーズ プロセッサ」における優位性について、モバイルワークステーションにおいてもローカル環境でのAI活用に最適なパフォーマンスを提供できるように、内蔵GPUに対応する最大96GBの広いメモリ空間を実現しており、Windows、Linux環境でのサポートも強化されると語った。
■ NVIDIA
NVIDIAの高橋氏は、最新のNVIDIA RTX PROシリーズ(Blackwell)を中心に、ワークステーションベースでのAI開発をテーマに解説。AIの進化トレンド、GPUアーキテクチャの進化、AI開発環境、HPワークステーションへの搭載状況、具体的な性能向上やベンチマーク、今後の展望などを網羅的に紹介した。
NVIDIA RTX PROシリーズでは、AI推論・画像生成・物理シミュレーションなど多様なAIワークロードにおいて、前世代比で2倍~6倍の性能向上を実現していると語り、Windows環境でもGUIベースでAI開発が可能となり、ローカルでの大規模モデル運用や社内LLM構築が現実的になったと説明。こうした背景から、AI開発の現場におけるワークステーションの重要性が増していると語った。
■ 調和技研
調和技研の武藤氏は、企業がクラウドではなくローカル環境でAIを活用するメリットや、そのためのハードウェア導入、運用コスト、カスタマイズ性、セキュリティについて詳しく説明。近年、AI技術のトレンドがLLMやRAGからAIエージェント、そしてローカルLLMへと変化している現状が示された。
また、実際のワークステーション上でのAIのレスポンスや、Googleのオープンソースモデル、中国のDeepSeekによる小型で高性能なモデルの登場など、技術の進化とそれに伴う業務効率化の可能性が示され、各業界(自治体、不動産、金融、製造)での具体的な利用シーンにも言及した。
さらに、AI導入における活用課題(人材教育、活用アイデア不足、データ不足)や、ITビジネスにおける「万が一」が致命傷となりうるリスクについても言及。最後に、HPとの連携によるPoCプロジェクトへの参加呼びかけが行われた。
■ メタデータ
メタデータの野村氏は、極秘情報を含む大規模RAGシステムの高精度・高セキュリティ運用の秘訣について、HPの高性能ワークステーションを活用したオンプレミス環境での事例や、専門知識・ローカル情報の活用、特許技術であるデータセットプロンプト、社内用語の多義性への対応などを紹介。特に、25年前の自身の博士論文で研究した普遍辞書理論や日本語の言語学的分析が、現代のRAGシステムの高精度化に直結していると述べた。
また、ローカルLLM(大規模言語モデル)の導入・運用に関する実践的な事例、特に医療現場や航空自衛隊での活用、セキュリティやコスト、精度、運用上の利点・課題について詳細に語り、外部API利用時の課題として、API利用料の変動、応答速度の低下、バージョン管理の難しさ、ライセンスリスクなどを挙げ、これらに対するローカルLLMの優位性を強調。実際の導入現場で直面する具体的な問題とその解決策が中心に議論された。
まとめ
「NVIDIAのグラフィックスがBlackwell世代になり、生産性が大きく向上しました。これをワークステーションに搭載することで試算すると、70BのLLMを運用することも可能になってくると考えます。これまでラックサーバでないと対応できないと思っていた中規模のLLMがワークステーションで運用できる時代がやってきます。サービスやソリューションがメインのこのイベントでも、非常に多くの方がHPワークステーションに興味を持っていて、次々とローカルSLM/LLMについてご相談くださいました。生成AIのローカル活用を真剣に考えている企業や組織が広がっているのを強く感じました。非常に手応えのあるイベントでしたね」と勝谷氏は総括してくれた。HPワークステーションは今後も様々なイベントに参加していく予定だ。ワークステーションはなかなか店頭に置かれることがないので、こうしたイベントに参加してぜひ手に取って体感していただきたいと思う。
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