製造業を中心に設計・開発業務を支援する最新テクノロジーが集結するイベント「3DEXPERIENCE® WORLD JAPAN 2025」にHPが参加
2026-01-22
2025年11月14日、虎ノ門ヒルズフォーラムにてダッソー・システムズ株式会社が主催する「3DEXPERIENCE® WORLD JAPAN 2025」が開催された。同社がリリースする数々の製品を中心にしたソリューションがここへ集結。来場者にとってDXを促す最新情報を届ける内容となっていた。HPは製造業の設計・開発業務を支えるシステムのプラットフォームとなるHPワークステーションを展示。最新モデルの紹介を中心に、協力企業とのコラボレーションによるセッションなどを展開した。それではその内容をみていこう。
取材:中山 一弘
ワークステーションとGPUが創る未来の制作環境
豊富なラインアップを誇るHPワークステーションにおいて、それぞれの用途に見合ったパフォーマンスを提供するために用意されるパーツの中でも重要な要素となるのがGPUだ。中でもNVIDIAはグラフィックスカードを提供するベンダーの中では圧倒的なシェアを持ち、常に時代を創り続けてきたメーカーでもある。HPはこれまでも重要なパートナー企業として、NVIDIAと協力し合ってきた仲であり、今回の出展も「株式会社 日本HP / エヌビディア合同会社」という連名での参加となっている。
「本日お集まりのみなさまに、HPワークステーションとNVIDIAのコラボレーションによるセッションをお届けしたいと思います」と、HPブースに設営されたセミナー会場で宣言したのはHPの若宮氏だ。
続いて、30代の若手青年の動画をディスプレイ上に映しながら「実はこれ、私の10年ぐらい前の写真を使って生成AIで作成した動画なのです。HPのワークステーションとNVIDIAのGPUで生成AIモデルを動かすことにより、こうしたことも簡単にできるようになりました」と、当時はHPに勤め、現在NVIDIAで活躍している田中氏は語る。
こうしてHPとNVIDIAによるミニセッションが始まると会場には次々と来場者が集まってくる。「HPワークステーションで生成AIを動かすというイメージがあまりない方もいらっしゃると思いますが、コンピューターを構成する各パーツの進化により、これまで生成AIのプラットフォームとなっていたサーバークラスに匹敵するハイパフォーマンスを提供するモデルも出てきています。」と若宮氏は語る。
また、なぜ、ワークステーションで生成AIを動かすのかという疑問に対しては、「クラウドサービスへ接続して生成AIを使うとなると、クラウド上にデータや情報をアップさせる必要があり、機密情報が漏洩してしまうリスクが伴います。とはいえ、生成AIを活用しない手は無いので、オンプレミス環境にあるGPUを搭載したワークステーションで学習させ、会社内のイントラネット内でのみ使用するローカル生成AIに注目が集まっているのです」と若宮氏は解説する。
クラウドサービスのほとんどは課金制であり、初期投資が少なくても、いずれワークステーション購入代金を超えることは確実となっているため、コストメリットに関してもオンプレミス環境に分があることは確かだ。
「ワークステーション向けGPUの最新モデル、RTX PRO Blackwell世代は、前モデルのAda Lovelace世代とはかなり違っています。画像生成するAIで同じ富士山を描いたところ、6000 AdaはVRAM 23GBを使って20秒かかるところをFP4 をサポートする 6000 BlackwellだとVRAM10GBのメモリを使い3秒でできるのです」と圧倒的な処理能力の向上が実現できていることを強調する田中氏。HPの若宮氏も同様にモバイルワークステーションのHP ZBook FuryやHP Z2 Towerによる、オンプレミス環境でスケッチ画から数十秒で3DCGイメージを生成するAI事例を紹介した。
クラウドサーバとのパフォーマンス比較にしても、ローカル生成AIで人気のSLMなどにおいては遜色がなく、逆にローカル運用でもまったく問題ない結果が出ていることに触れる田中氏。「前世代と比較して大きな性能差が出る理由のひとつとしてBlackwell世代ではVRAMのメモリ容量が最大で96GBとなっているという点が挙げられます。Ada世代は最大で48GBでしたから大きな前進といえます」と同氏は補足する。
「今回のイベントに不可欠なSOLIDWORKSを活用する環境においても、HPワークステーションとNVIDIA GPUの組み合わせのほとんどが検証済みでISV認証もされています。これはWeb上で公開されていますから、ぜひみなさまもご確認ください」と、安心さをアピールする若宮氏。
続いて、詳細なマテリアルのデジタルスキャンを可能とした「HP Z Captis」には「NVIDIA® Jetson AGX Xavier™ モジュール」が搭載されている点などについて触れ、ミニセッションは終了となった。
製造業で人気のワークステーションはどれ?
ミニセッションが終了すると、聴衆はいっきにブースへと流れる。NVIDIAの最新グラフィックスの大幅な進化と、それを擁するHPワークステーションが実現する未来の制作環境について興味を持つのは当然だろう。
「Z1からZ8まで、HPワークステーションには豊富なラインアップがあります。今回のイベントにお集まりのみなさまは、製造業で開発や設計をおこなっている方々ですが、現場で扱いやすく導入実績が高いのはやはりZ2シリーズですね」と語る若宮氏。
現在のZ2シリーズには3つのデザインがあり、それぞれMini、Small Form Factor、Towerの各モデルに分かれている。「基本的には『HP Z2 Tower G1i Workstation』が人気です。このモデルにはRTX PRO Blackwellのフルサイズカードが挿せるので十分なパフォーマンスが期待できます。開発者が多い部門でも選択するスペックによってコストメリットが図れるので、リソースを無駄なく使い切りたいという企業のみなさまに最適な製品といえます」と若宮氏
「省スペースなMiniPCサイズの『HP Mini G1i Workstation』、『HP Z2 SFF G1i Workstation』もデスクを広く使いたい設計者にとっては魅力のある製品です。じつはこのサイズでありながらNVIDIA GPUのAda、Blackwell世代のハーフサイズのグラフィックボード、いわゆるロープロファイル版を搭載できるので、ディスクリートグラフィックスによるパワフルなGPU運用も可能です」と田中氏は説明する。
より高いパフォーマンスが必要な業務向けに人気なのは「HP Z6 G5 A Workstation」だ。「圧倒的なコア数を持つ『AMD Ryzen™ Threadripper™ PROプロセッサ』を中心に、グラフィックを3枚まで搭載することができます。Blackwellを3枚搭載すれば、ローカルLLMの運用も可能です。より高精度な生成AI活用を目指す際や、解析、3DCGといった高負荷な用途の業務効率化や生産性向上を実現できるモデルです」と若宮氏は語る。
「近年の製造業の現場ではSOLIDWORKSに追加してほかのソフトウェアを併用して作業を進める例も増えています。コンピューターにとっては負荷の高い環境が必要になっているので、ぜひ自社のコンピューター環境の見直しなどの際にはHPワークステーションに注目していただきたいですね」と最後に若宮氏は語ってくれた。
取材後記
製造業者の中でもDX促進や生成AI活用が始まっていることが非常によく表れていたのが今回のイベントの特徴だったように思う。HPとNVIDIAは企業にとって基本的な取り組みとなる業務効率化や生産性向上はもちろん、将来的に生成AIを取り入れる際にも適切なパフォーマンスを提供してくれるベンダーであることが来場者にもよく伝わったと思う。特に生成AIに関してはいち早く取り組んだ企業にアドバンテージがあることは確実なので、早期の対応が求められる。気になる方はぜひHPとNVIDIAに相談していただきたい。
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