2024.10.01
2024年9月3、4日に東京ミッドタウンで「Intel Connection Japan 2024」が開催された。「技術とビジネスをつなぎ社会を前進させる」をテーマとしたイベントで、「Bringing AI Everywhere」を基軸に、AI を活かした製品やソリューションを取り上げ、それらがビジネス、エネルギー、公共、そして教育の分野でどのように課題を解決し求める効果をもたらすのかを紹介。HPもこれに参加することとなった。さっそく当日の基調講演の内容と、HPブースの模様をお届けしよう。
「インテルでは『AI Everywhere』のビジョンを提唱しています。現在は多くの生成AIサービスがデータセンターから提供されていますが、私たちのビジョンはこれをパーソナルデバイスにまで広げようというものです」と冒頭の挨拶に立ったインテル株式会社 代表取締役社長 大野 誠氏が語るように、2023年末のインテル® Core™ Ultra プロセッサーの発表以降、同社は精力的にAI領域へと参入している。今回はさらに処理能力を向上させた「インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)」、コードネーム「Lunar Lake」の発表がトピックスになることもあり、会場は熱気に包まれていた。
Lunar Lakeをかざして見せる大野社長
「実は最新のプロセッサーの発表は日本からお届けしたかったのですが、ほんの数時間の差でドイツに先を越されてしまいました。ですが、その臨場感をみなさんにも味わっていただきたいということでスペシャルゲストをお迎えしてドイツ会場と繋いでまいりたいと思います」と語るのはインテル株式会社 執行役員 マーケティング本部 本部長の上野 晶子氏だ。
壇上からドイツの会場へ向かって呼びかける上野氏
IFA 2024の様子をレポートする笠原氏
同氏の案内でドイツから映像が届けられると、そこにはフリーライターの笠原 一輝氏の姿があり、欧州最大のデジタル展示会「IFA 2024」の会場より、最新情報を次々と発表してくれた。
笠原氏によると、ゲームを60フレームで走らせている状態で、シリーズ1のプロセッサーと比較すると、インテル® Core™ Ultra シリーズ2は圧倒的に消費電力が低くなっているのだという。「ここから言えることは、シリーズ1では10時間しか持たないPCがシリーズ2では20時間持つ、といったことが期待できます」と笠原氏。
続いて Stable Diffusion 3 のデモでは、シリーズ2のプロセッサーのGPUを使って高速化する様子や、CanBe というソフトウェアを使いローカルPC上でNPUを利用したリップシンクする編集画面などを伝えた。「こちらのイベントでは様々なチャレンジがなされており、先ほどお伝えしたようなデモが会場では繰り返し発表されていました。GPUもNPUもCPUも性能が上がっていますし、AIアプリケーションの機能も大きく向上していることが表現されていました」と笠原氏は伝えた。
続いて壇上にはインテル株式会社 技術本部 部長 工学博士 安生 健一朗が登場。インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)についてより詳細な情報が発信された。
インテル® Core™ Ultra プロセッサー登場以降、このプロセッサーを搭載するPCを「AI PC」と表現していることについて安生氏は、「AI PCはAIしかできないのですか?とよく聞かれるのですが、そんなことはありません。AIを扱うことはもちろんですが、PCとして正常進化しているということこそが大きなポイントになります」と語った。
「インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)」について語る安生氏
シリーズ2のプロセッサーにおいてはシリーズ1と比べ、CPUの電力効率が2.29倍、GPUの効率も2倍、スレッドあたりのパフォーマンスは3倍になっているのだという。「この数字はシリーズ2の8スレッドのプロセッサーでの数値です。シリーズ1は14スレッドモデルなので、スレッド数を減らしながらも性能を上げることに成功しています。それほど効率のよいモデルだといえます」と安生氏は説明した。
AI関連の情報としては、ソフトウェアに対して柔軟な設計となっており、どちらかのシリーズでしか動かないといったことがないようになっているという。また、NPUに依存するだけでなく、GPUにも演算を振り分けることがより自由にできるようになっていることも特長だという。
「また、シリーズ2では120TOPSという高いAI演算能力を示していながら、画期的な電力効率を実現しており、パッケージ全体の消費電力を最大で50%低減しています。シリーズ1と比較して最大2倍のワットあたりの性能、最大20時間のバッテリー寿命、他社のプロセッサーと比較しても20%の電力性能を実現しています」と安生氏は、シリーズ2のプロセッサーが電力あたりのパフォーマンス向上を狙った製品であることを強調した。
一方で、AI PCが主流に置き換わっていくにはソフトウェアの進化も非常に大切だ。実際にシリーズ2で上がったパフォーマンスを引き出そうと、各デベロッパーも積極的に開発を進めているのだという。「動画制作ツール、動画編集ツール、セキュリティツールなど、シリーズ2のプロセッサーのパフォーマンスを存分に引き出していただくようなソフトウェアもどんどん出てきます。これから発表されるAIアプリケーションの動きにご注目いただきたいと思います」と安生氏は語った。
AI PCがあっても日本においてはソフトウェアが追い付いていない現状に対し、積極的に技術者や開発者を育てようと活動しているインテル。「例えば、その中には『AI PC GARDEN』があります。このイベントでは、11のアプリケーションのデモンストレーションをしました。その結果、いつもはPC売り場には足を運ばないであろう若い人たちにも来ていただけました。AI PCがどんな可能性を持っているか、どのように育っていけるか、私たちは若い世代の人たちにそんな未来を語りたかったのです」と思いを語るのは、再び壇上に戻った上野氏だ。
未来は予測するものではなく、創り上げるものだという上野氏。同時にそれを創り上げることは一人ではできないとし、上野氏と同じく、これから未来の市場を築いていく役目を担っている、日本の主要PCメーカーのマーケティング担当者を壇上へと招いた。
上野氏に促され壇上に登る日本HP 柳澤氏
次々と壇上に担当者が呼ばれる中、日本HPからは、マーケティング本部 本部長 柳澤 真吾氏が登場。壇上に集った多数のPCメーカーのマーケターらと合流し、フォトセッションをおこなった。
主要PCメーカーが集った華やかなフォトセッションを最後に基調講演は終了。会場から発せられる鳴りやまない拍手の中、ステージに集まった一同は壇上を後にした。
錚々たるメンバーのフォトセッションとなった
講演会場とは別に、本イベントでは各メーカーのブースも用意されていた。特にHPブースには常に来客があり、会場の盛り上がりを支えていた。「今回は、HPのAI PCをメインに展示しています」とブースを案内してくれたのは、HPの法人PCのマーケティングを担当する日笠 修氏だ。HPももちろん、インテル® Core™ Ultra プロセッサーを搭載する「AI PC」を多数リリースし、市場をリードしている。
常に人が立ち止まるHPブース
「基調講演にもあったように、今後AI PCが主流になることは間違いありません。ローカルPC上で動作するAIアプリケーションも増えていますし、ビジネスにも応用されていく流れはすでに出来上がっています」と日笠氏は語る。
今回の展示では法人向けPCの最上位シリーズ「HP EliteBook」から、フラッグシップモデルとなる「HP EliteBook 1040 G11」がいよいよお披露目となった。
このモデルは14インチディスプレイを採用したモバイルノートPCで、AI PCであることはもちろん、ハイブリッドワークに最適であることを示すインテル® Evo™ エディション準拠、高いセキュリティとリモート管理を実現するインテル® vPro® プラットフォーム準拠という、まさにビジネスモデルの最高峰にふさわしいパフォーマンスを提供。AIによる、消費電力予測と自動最適化や、周囲の明るさを感知して画像を自動補正する機能などを実装し、快適な作業環境を実現している。
インテルのブースに出張展示中のHP EliteBook 1040 G11
「AI PCも出揃った感がありますが、これらのラインアップと一緒に使っていただきたいソリューションとして『HP eSIM Connect』があります。このサービスはすでに多くのお客様への導入実績もあり、数千台規模の大型案件も決まっています。GIGA端末への導入も決定し、企業だけでなく自治体、教育関係の皆様からのお問い合わせも増えてきています」と日笠氏。
HP eSIM Connectは、PCを購入すると5年間使い放題のデータ通信が付属するサービスで、発表以来、大きな注目を浴び続けている人気のソリューションだ。PCをオフィス以外の場所で使うことが増えている現在、外出先であっても安定した通信環境でAIを使い続けるにはこのサービスは最適な選択肢といえる。
「そういう意味では『HP Protect and Trace with Wolf Connect』にもぜひご注目いただきたいですね。MDMソリューションですが、電源が入っていないPCに対しても、『探す』『PCをロックする』『データを消去する』の3つの命令を、リモート環境から出すことが可能です。これによりセキュリティは大きく向上し、特にハイブリッドワークを採用しているケースに最適なソリューションとなっています」と日笠氏は語る。HP eSIM ConnectおよびHP Protect and Trace with Wolf Connectに関しては、対応モデルがあるため興味のある方はぜひお問い合せいただきたい。
このほか、Web会議に欠かせないサウンドとカメラ機能を提供する「Poly」ブランドからもヘッドセットやビデオバーを展示。「Polyの高性能な部分やWebカメラの高機能は、こういったイベントなどで実際に体験いただくことで、その素晴らしさに気づいていただけるかと思います。興味のある方はぜひ、HPが参加するイベントに足を運んでいただけるとうれしいですね」と日笠氏は語る。Poly製品に関してはまさに百聞は一見にしかずで、会場では具体的な相談も飛び出すなど、活発な質問が飛び交っていた。
基調講演への出演を終えた柳澤氏(左)とブースの解説をしてくれた日笠氏(右)
「基調講演では『インテル® Core™ Ultra プロセッサー(シリーズ2)』の話が出ましたが、シーズン1のこれらのプロセッサーもインテル様のお話にも出てきたとおり、今後も使い続けることができる製品です。シリーズ2の製品も順次発表となりますが、早期導入によりノウハウの蓄積を始めることにもメリットはあります。AI PCに関して、分からない、あるいは知りたいことなどがありましたら、いつでもお気軽にお問い合せいただければと思います」と日笠氏は最後に語ってくれた。今後のインテル、HPの動向には要注目だ。
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