HP with インテル

2024.10.08

北海道に根差す企業のDXを進化させるイベント「道新BIZ DXと北海道のミライ」にHPが登壇(前編)

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2024年9月11日、北海道札幌市において株式会社北海道新聞社主催、インテル株式会社および株式会社 日本HP協賛によるイベント「道新BIZ DXと北海道のミライ」が開催された。

DXの実現に何が必要なのか、そしてDXにより北海道ビジネスがどのように変化していくのかをハード、ソフト両面で考察する講演を実施。DXを検討している企業や思ったような効果が得られていないという企業が、その一歩を踏み出せるようなキッカケ作りになるような内容となった。それではさっそく当日の模様をみていこう。

取材:中山 一弘

基調講演:企業DXで北海道の未来を切り開くには

株式会社Revitalize
CEO
片桐 豪志氏

「個別の企業の話であるとか、あるいは生産性向上なのか、DXが北海道の未来というところにどのように繋がっていくのかご説明したいと思います」と語り、基調講演をスタートさせた片桐氏。

そもそもDXを始める要因としては、人材不足や後継者不足といった、とにかく人が足りないことを挙げる企業が多いのだという。「現在、北海道の労働人口は約300万人です。それが2050年になると、200万人を切るという予測が立っています。働ける人口が2/3になってしまうという大変危機的な状況になるのです」と片桐氏は説明する。

そのような状況が予測される中、業務の自動化、省力化を進めることで人材不足対策とし、リモートワークなどの働き方改革で人手を確保することが大切だという片桐氏。同氏は「北海道全体でいうと企業がどんどん進出していますが、全体的にうまく回らなくなるということが想定されます。少ない人数でも回せる組織を増やすことで、人材不足にも耐えられる社会を作ることが必要になると考えています」と語った。

北海道の例にもあったが、日本全体を見ても人口減少は止まる気配がない。近い将来には1億人を切るという予測もある中、人材不足を嘆く割には事業における生産性は世界的にみると日本は下位にあるというのが現状だ。

「人口減少が続けば社会の機能はますます低下し、生産性向上も難しくなります。例えば警察、消防、自衛隊といった社会の基盤となるインフラを支える組織が弱くなれば、救急車を呼んでもなかなか来ないといった状況もあり得ます。そのような影響を緩和し、社会を作り変えるまでの時間稼ぎをするというのもDXを進める大きな理由になると考えます」と片桐氏は語る。

「ここまでは、人材がいない、人口も減っていく、縮小の先には縮小しかないというネガティブな話でしたが、そんな状況から反転攻勢していくために、いかに売上を伸ばすのかというお話をしたいと思います」と片桐氏。

人材、人口が減っていくのはいわゆる少子化が最大の原因であることは当然の原理だ。その原因を様々なデータから、いわゆる結婚適齢期と呼ばれる20~30代の平均収入が減っていることが原因だと指摘する片桐氏。国家的な施策も期待されてはいるがそれだけでは不足とし、「民間企業の場合、給料は当然売上から出ています。経済成長期には売上が伸びていましたが、それ以降は伸びていません。失われた30年などといいますが、そろそろ経営力をつけて成長に転ずるべきだと思います」と片桐氏は語る。

同氏は続けて「そのためにはDXを進めて企業の付加価値を高め、新規事業を開発してイノベーションを増やすことが求められます。従業員の所得を増やすことで結婚・出産が増え、結果として人口減少に抗うことができます」と片桐氏。つまりDXの先には企業の売上向上があり、その先は日本が抱える少子化問題の解決にもつながっているということなのだ。

「北海道のすべての企業・組織は、ぜひDXを進めて売上を伸ばすということに取り組んでいただきたいと思います」と語る片桐氏は、その後DXを進めて成功を続けている企業の事例などを紹介し、基調講演を終えた。

企業講演:今ビジネスシーンに求められるPCとは

インテル株式会社
インダストリー事業本部
シニア・ソリューション・アーキテクト
坂本 尊志氏

インテル株式会社
ビジネスクライアント・テクニカル・セールス・スペシャリスト
佐近 清志氏

株式会社 日本HP
エンタープライズ営業統括 パブリックセクターDX推進営業部
本部長
松本 英樹氏

遅れがちといわれる地方のDXについて、人材不足がその最大要因となるのはほとんどのビジネスマンが感じているところだろう。IT人材の不足が著しい地方において、今その対策のカギとなるであろう「生成AI」の導入について聞かれた松本氏は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を逆さにすると、トランスフォーメーション・バイ・デジタルになります。ここでいう『デジタル』が最近では『AI』に置き換わっているのではないかというように感じています」とよりAIが身近になっていることを強調。「そして実際に導入も進んでいるようにも見えますが、『もっとチューニングしたい・カスタムしたい』といったバリエーションの話も出始めています」と解説する。

そもそも生成AIの使いこなしに苦労している企業が多いというのが現状だが、ChatGPTを代表とする生成AIはクラウド型であり、そこへ向かって会社の機密情報を「質問(プロンプト)」として投げかけることをためらう企業も増えているという実情が見えてくる。「つまり、生成AIを会社の中のローカルPCの上で使いたいというニーズが増えているのです。実際にあるシステム開発事業者の資料によると、ローカルPC上で動かす生成AIについての質問が10倍に増加しているというデータもあります。それだけ、企業が外部に出すことができないデータを多くもっており、それを生成AIによって活用することに躊躇しているのが今の状況だということです」と松本氏は説明する。

クラウド型の生成AIとローカル型の生成AIの違いについて聞かれた坂本氏は「ChatGPTは安い旅行やおすすめ食べ物といった一般的な質問には的確に応えてくれますが、自分の会社のことを聞いても何も答えられません。会社の情報は表に出せないものですから、その質問をするにはもう一人、会社専属の生成AIが必要なのです。それが先ほどから出てきたローカルPCや自社のサーバ、ワークステーション上などで動作するローカル型の生成AIです。ネットワークがなくても答えてくれる、個人のアシスタントがそこにいるという感じですね」と解説する。

また、「AI PC」という用語について聞かれた坂本氏は「昨年末から言われるようになりましたが、インターネット黎明期のようなインパクトがある存在だと私は感じています。それだけ人の生産性を大きく変えていく可能性があると思います。従来のPCとの一番の違いは『NPU』と呼ばれる新しいプロセッサーを搭載している点です。これまではAIの処理にはGPUを使って計算を使っていましたが、より低消費電力で動作させられるのがNPUです。これを搭載したプロセッサーを使えば、CPU、GPU、NPUの3つを効率よく利用しながら効率よくAIを使っていくことができます」と語った。

続いてAI PCがどのようなことができるのかを聞かれた松本氏。「例えば、金融機関ではプログラミングコードをエンジニアが制作しますが、それを人間に代わって提案してくれるといったことや、組織の中にあるメールやそれに対する回答などのテキスト情報を生成AIが学習し、個別の質問に応えるといった使い方もあります。また、日報などのレポートの作成の効率化や、商談時にリアルタイムに知識を提示してくれる補助機能なども期待できます」と説明した。

「松本さんがおっしゃった生産性向上の部分や、もっと身近なところでいうとビデオ編集などの制作物のサポート機能などもあります。インテルのWebサイトでは、開発会社のパートナー様から数百を超えるAIを使った新しい機能が発表されており、その数も増え続けています」と左近氏も補足を加える。その後、ローカル型の生成AIを実装したAI PCのデモが発表され、会場が沸くシーンもあった。

話題は変わり、ローカル型の生成AIをAI PC上で使う際のセキュリティへの不安について聞かれた左近氏は「例えば現在はランサムウェアが席巻している状況ですが、実はハードウェアレベルでPCの中のチップセットの中にあるセンサーを使って、いち早くAIがふるまい検知をして、パートナー様のアンチウイルスソフトウェアと連携して駆除をするといった機能が含まれています。また、つい最近ニュースになりましたが、全世界を対象にPCが一斉にブルースクリーンになって大混乱になったことがありました。インテル® vPro® プラットフォームにはOSに依存せずにリモート接続できる機能があります。これを使えば、IT管理者がどのようなブルースクリーンが出ているのか確認することができるので正しい対応が可能です」と説明する。

会場がAI PCについて理解が進む中、発表されたのがHPのAI PCの最新モデル「HP EliteBook 1040 G11」だ。「こちらはHPの最上位モデルとなっており、様々な特徴を持っています。もちろんAI PCの要件となるCPU、GPUに加えてNPUを搭載した『インテル® Core™ Ultra プロセッサー』を採用しており、先ほど説明のあったインテル® vPro® プラットフォームにも対応しています。WebカメラにもAI機能を使って目線をカメラに合わせる機能や、被写体が移動してもカメラが追いかけてくれる機能などもあります。サウンドに関しても『Poly Studio』により、高品質なサウンドを提供します。特にWeb会議などでは、生活音をカットするノイズキャンセルなども搭載しているので、ミーティングの品質も向上します」と説明。

加えて、松本氏は電源が入っていない状態でも「探す」「PCをロックする」「データを消去する」といったMDMが可能となる「HP Protect and Trace with Wolf Connect」や、5年間のデータ通信使い放題がバンドルされる「HP eSIM Connect」対応モデルであることも解説した。

クラウド型、ローカル型問わず、生成AI活用についてはあらゆる企業が検討をはじめている状況の中、会場も固唾を飲んで聞き入っていた様子が印象的だったが、セッションはここで時間切れとなり終了となった。

後編はこちら

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