第30回 沖縄県マルチメディア教育実践研究大会にHPが協賛
2026-03-24
2026年1月24日、那覇市にある松島小学校において第30回 沖縄県マルチメディア教育実践研究大会が開催された。HPはこのイベントに協賛、ブース展示やワークショップのサポートで会場を盛り上げた。GIGAスクール構想のもと、教育の情報化をすすめる教育DXが推進される中、デジタル教育だけでなく校務支援、働き方改革に至るまで、もはやICTはなくてはならないものになっている。今回は今後必要とされる教育におけるAI活用について発表した青山学院大学非常勤講師の安藤 昇 氏に密着してきたので紹介しよう。
取材:中山 一弘
青山学院大学 非常勤講師
スタディサプリ情報Ⅰ講師
安藤 昇 氏
バイブコーディングを使ってゲームを制作
「まず『バイブコーディング(Vibe Coding)』についてですが、これは簡単にいえば“ノリ”でプログラミングをしていくようなイメージのものです。これまではプログラミングといえば基礎の文法から学んで徐々に進めていくものでした。しかしバイブコーディングでは、そういったこれまでの考え方を無視して、なんとなく“ノリ”でゲームやアプリなどを作っていけるというものになります」と冒頭で解説する安藤氏。
ChatGPTなどのAIが社会に登場して、一般的に使われるようになってからすでに3年以上が経過している。日常的な文書の作成などに関しては、AIに任せているという人も増えており、現在は社会のインフラとして機能し始めているとみる向きも多い。
「例えば、AIに向かって『青山学院版の仮面ライダーを作って』という簡単な指示を与えるだけで、すごいクオリティの動画を簡単に作成させることができます。実際には存在しない映画の予告編はもちろん、テーマ曲でさえ簡単な指示で作成することが可能です」と安藤氏は語りながら、AIが作成したヒーロームービーを紹介すると、会場からはクオリティの高さに感嘆の声がもれた。
「簡単な手順で、生徒たちは授業中に様々なものを作成していきます。例えばカードバトルゲームを作ったり、Webサイトを作ったりというようなことを、生徒たち自身が積極的に行っています」と安藤氏。
同時に同氏は、今後はAIエージェントを活用するケースがますます増えてくると指摘する。「現時点でAIはIQ150相当だといわれています。これまで人間が命令したことをAIに実行させていましたが、最近では逆にAIの方が人間の命令に対して遠慮するようなこともあるように思えます。どういうことかというと、AIの方が高度なことを実現できるために、人間のレベルに合わせて質を落としているのではないかと感じるのです」と安藤氏。
そこで安藤氏はAIに命令するのではなく、「AIに相談する」というスタンスをとるようになったのだという。「そのようにすると、AIが自身の性能をフルに発揮していろいろとやってくれるようになりました。ですから、最近では児童生徒に『AIに相談した方がいいよ』とアドバイスをしています」と同氏は語る。
生成AIには命令せずに相談する
「AIを使うということは、検索などとはまったく違うことなので、先ほども述べたように最初にやってみるのは『AIに相談する』ことなのだと思います。AIに相談することによって、自分自身の思考をより高みにあげることができるのです」と安藤氏は繰り返し強調する。
特に2026年に入ってからの生成AIは、3年前のものとは比較にならないほど進んでいる。それはすでに「思考するAI」になっているのだと安藤氏はいう。「ですから、これからのAI活用はAIからヒントをもらう、あるいはAIと一緒に考えながら、作業を進めていくということです。このとき、余計なことをいうと逆効果になってしまいます。AIの能力を認めたうえで、使っていくことが大切だと思います」と安藤氏。
実際にAIに相談するにはコツのようなものがあって、それを覚えていくことでより質の高い回答を得ることができるようになるのだという。「限定的な質問をすると、それはAIの性能を縛ることになってしまうので、なるべくフルに能力を発揮してもらうような自由度を持たせた質問の仕方というのも、これからは必要なスキルになってくるのだと思います」と安藤氏は語る。
Google Antigravityについて
AIに相談しながらプログラミングを行っていると、ひとつではなく複数のコードを使うケースも出てくるのだという。「そういうときに必要なのが『Google Antigravity』です。これはGoogleが最近公開したものですが、単なるコード作成用の生成AIではなく、AIが高度な操作やターミナル操作、さらにブラウザの操作を自律的に実行してくれるというものです。MacでもWindowsでも動くので、ダウンロードして簡単に使い始めることができます」と安藤氏は解説する。
例えばストーリーと動画と音楽のデータがあることをAIに認識させるイニシャライズという作業を行うことで、それを元に様々な作品を作成してくれるようになる。生徒たちは作品のイメージについてAIと相談しながらイニシャライズを進めるのだ。
「映画の宣伝サイトを作りたいという相談をすれば、簡単に高品質なWebサイトを作り上げることが可能です。また、こうして作成したWebサイトのイメージを変えたい場合には、追加の指示を与えるだけで簡単に変更することができます。さらにGeminiの最新モデルで利用できる『NotebookLM』を利用すると、PDF・Webサイト・YouTube動画・音声ファイル・Googleドキュメントなどからそれらを要約し、トピック間の関連性を導き出すようなことも可能です」と安藤氏。
こうしたテクノロジーの進歩により、従来のプログラミングの学び方とは逆のことが起きている。「現在、青山学院大学中等部の生徒たちが、3学期に何を学んでいるのかというと、こういった作業を一通り経験したうえで、プログラミングの基礎を学んでいます。順番が逆だと思われるかもしれませんが、生成AIによってこうしたことができるようになった後に、ではどうすればより最適なものになっていくのか基礎から学ぶということです。従来は基礎から学んで創造性につなげるのが通常の流れでしたが、それとは逆になっているということです」と安藤氏は説明する。
また、著作権に関する問題も、生成AIについて考えなければならない問題だ。これに関しては、生成AIで作成したものに著作権があるかどうかも含めて、様々な判例なども常に変化している。安藤氏は、既存のキャラクターの使用などについても、問題点を伝えながら授業を行っているのだという。
新しい評価の指標が必要
「教育現場において、青山学院大学は最も早くAIを取り入れて活用してきたと思います。もちろんそのとき、保護者のみなさんにも通達を出して了解を得ながらいろいろとやってきました。そこで気づいたことがあるのですが、知識や知能といったことがどのようなものであるかということです」と語る安藤氏。
生成AIの進化により、従来の教育システムの物差しでは測れない分野が現出している。「例えばすでに生成AIが東京大学の理科3類の入試に合格するような性能を獲得しています。これまで東大理3といえば、一部の天賦の才を持った子どもたちがようやくたどり着くようなところだったと思います。それを生成AIが合格できる時代になってきたのであれば、これからの生徒たちには感情や感性といったところが、非常に重要になってくるのではないでしょうか」と安藤氏は語る。
さらに児童生徒を評価するときには、ワークショップやフィールドワークの結果やコミュニケーションを重視しながら評価していく必要があるのではないかと同氏は訴えかける。「そのような評価を行っていけば、学生・生徒たちも納得してくれます。大学で多くの学生がレポート作成に生成AIを使っている状況ですから、そのような取り組みが大切になってくると思います。これまでは『どれだけ賢いのか』ということが問われてきたと思いますが、これからは『どのように賢いのか』が問われてくる時代になっていくのではないかと思います」と安藤氏は最後に語り、ワークショップを終了とした。
取材後記
生成AIを使った動画や様々な媒体を作るデモンストレーションを交えながらの1時間はあっという間に過ぎ去り、満員の聴衆の中、安藤氏は壇上を後にした。安藤氏が語った青山学院大学中学部の児童生徒が生成AIを使いこなす様子は非常に先進的で、今後のデジタル教育の近未来像を見させてもらったように感じた。ワークショップに集まった多くの関係者も大きなヒントを持ち帰ることになったと思う。今後もHPは様々なイベントを通じてデジタル教育や学校DXの推進を支えていく。
※本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。
※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。




