PCの持ち出しに関してあらゆる環境を想定したMDMに「HP Protect and Trace with Wolf Connect」を採用
2025-11-14
ハイブリッドワークを採用する企業が増えると同時に、PCの社外持ち出しの機会が増えている。生産性向上や業務効率化を実現することと引き換えに、紛失や盗難といったインシデントの発生率の上昇も視野に入れる必要がある。そこで有効となってくるのが「MDM(Mobile Device Management)」だ。杏林製薬株式会社では数多くあるMDMソリューションの中から、HP Protect and Trace with Wolf Connectを採用し、外出先での効率的なPC管理を実現した。どのような背景があったのか、取材してきたので紹介しよう。
取材:中山 一弘
目的
- Windows 11 PC導入に伴い、新たな環境に適したMDMを導入する
アプローチ
- HP Protect and Trace with Wolf Connectの導入
システムの効果
- 電源オフ状態のPCでもリモート管理が可能
- シンプルな機能で運用効率が向上
- 海外持ち出しのPCにも適用可能 ※一部運用条件あり
ビジネスの効果
- 通信費の追加購入がないシンプルなコスト体系
- 管理者の負担軽減
- モバイルワークの活性化による生産性向上
社外利用PCをタブレットPCからWindows PCへ転換
1923年に創業し、2023年に100周年を迎えた杏林製薬株式会社(以降、杏林製薬)は日本を代表する医療用医薬品事業者だ。その事業領域は医療用医薬品、ジェネリック医薬品、ヘルスケア事業等におよぶ。「キョーリンは生命を慈しむ心を貫き、人々の健康に貢献する社会的使命を遂行します。」を企業理念として掲げ、理想の実現と社会貢献のために活動を続けている。
「私たちの部署は、キョーリン製薬グループ全体で利用するITシステムの導入・運用・保守やPCの管理、情報セキュリティ対策等を担っています」と説明するのは杏林製薬株式会社 ITソリューション部の大内氏だ。
多方面のITシステムの維持運用をしていく中で、ある課題が浮かんできたのだという。「以前はPCの社外への持ち出しを原則許可しておらず、MRは外出先で使う端末としてタブレットPCを使用していました。しかし、業務システムの利用などWindows PCでしかできない業務を行うため、社外でPCを使いたいという要望も増えていました。そこでWindows 11 PCの導入を機に、外出先でもPCを利用できる環境を作ることを検討し始めました」と当時を振り返る大内氏。
Windows PCを外出先でも使うには、やはりセキュリティが大きな課題になる。「個人情報や機密情報をデータとして残さない運用はもちろんですが、紛失・盗難のリスクも検討が必要です。MDMの必要性を感じてWindows PC対応でリモートロックや、リモートワイプができる製品を探しましたが、それらの機能はあるものの電源が入っていないPCに対してリモート操作ができるものはありませんでした」と語る大内氏。そのような中、偶然目にしたのが発売間もないころの「HP Protect and Trace with Wolf Connect(以降、HP Wolf Connect)」の紹介記事だったのだという。
効果的なPoC検証を実施
「HP Wolf Connectにご興味がおありだということをお聞きして製品について細かな説明をさせていただきました。HP Wolf Connectは非常に省電力で動作するLTE Cat-Mというモバイル通信モジュールを搭載することで、これまで難しかった電源が入っていない状態のPCへのリモートアクセスを実現しています。常時通信状態にあるため、PC位置の特定やBIOS/ファームウェアレベルのPCロック、サルベージ不可能なパージ(Purge)レベルのデータ消去などの機能に対して命令を送ることができます。まさに今回、杏林製薬様が必要とされている機能が備わったソリューションといえます」と説明するHPの澤田氏。
「製品のご説明を差し上げるとともに、PoC検証をご提案いたしました。HPでは2週間から最大2カ月間、ソリューションのPoC環境をご提供しており、各企業のみなさまのシステム運用の中で、実際にどのような効果があるのかご確認いただくことが可能です。実際に私たちの技術を体感された上でご活用いただきたいと考えています」と語るのは杏林製薬との窓口を担当するHPの三好氏だ。
HPから説明とPoC検証の提案を受けた杏林製薬はこれを受諾。さっそく検証を始めたのだという。「実際に、対応PCの場所の特定やPCロック、最後にご返却のタイミングでリモートワイプも体験させていただきました。どの機能も電源オフの状態で動作することが確認できたので非常に安心感がありましたね」と検証の経緯を語る大内氏。これにより、杏林製薬では外出が多いMRを中心に、HP Wolf Connectの採用を決定した。
「また、以前のタブレットPC環境ではSIMカードによる携帯事業者回線を利用した通信を使っていました。Windows PCを使う際にはテザリングという選択もありますが、これまでのタブレットPCは常にネットワークに接続されている環境だったため、Windows PCも同様に通信環境を付けたいと考えていました。HPには5年間データ通信が使い放題となる『HP eSIM Connect』があるため、こちらも同時に導入したいと考えました」と大内氏は語る。こうして、杏林製薬ではHP Wolf Connect、HP eSIM Connectのダブルコネクトを採用することになったのだ。
海外利用も視野に
杏林製薬が今回導入したダブルコネクト対応PCは導入当初のフラッグシップ「HP Dragonfly G4」で導入数は約1,000台となっていた。2024年秋から段階的に導入をはじめ、2025年2月には予定していた全台の配布が完了している。導入に際してはキッティングをHPがおこない、利用に必要な管理画面のセッティングを大内氏のチームが行う流れになっていた。「ダブルコネクトに関して、初期設定で難しいところはなかったので私たちがやることはほとんど無かったほどです。また、運用の初期段階ではやはりPoC検証を経験していたことが大きく、実際にどのようなことができるのかイメージできていたので負担をほとんど感じずにスタートを切ることができました」と振り返る大内氏。
また、杏林製薬では現在、学会参加など、海外出張も多いのだという。「HP Wolf Connectはグローバル対応なのでその点でも安心しています。もともと、海外出張時にはデータが入っていない貸出用PCを持っていくことを前提にしています。その貸出用PCもHP Dragonfly G4としていますので、現地でも安心して利用できると思います」と大内氏は語る。リスク管理の面で、徹底的なルール設定をしているところに杏林製薬の企業姿勢を垣間見る思いだ。
さらなる業務効率化を目指す杏林製薬
ダブルコネクトによる外出用PCの運用フェーズが続いている杏林製薬。半年以上の期間でどのような手応えを感じているのだろう。「HP Wolf Connectに関しては、管理する我々も、エンドユーザーも意識することはほとんどありません。できるだけその機能を使わなくて済むようにしたいですし、我々としてはいつインシデントが発生しても良いように定期的なテストをするぐらいなので、運用負荷はそれほど変わらず、セキュリティ的に強固になったと思います」と評価する大内氏。
「また、HP eSIM Connectですが、こちらは直接エンドユーザーの生産性に直結する機能なので、評価も得やすく、とても好評です。HP Wolf Connectも同様ですが、通信費に関して追加料金などの発生がないので、コスト面での負担や手間が大きく削減されたと思います」と語る大内氏。杏林製薬では、タブレットPCの時代にスマホによるテザリングを使用するケースもあったというが、人によっては通信容量上限の増加申請を総務部に出す必要があるなど、モバイル環境にあるPCに対してコスト面で細かな負担があったのだそうだ。それがダブルコネクト導入後はゼロになったのだから、大内氏のチームはもちろん、総務部にとっても負担軽減に貢献しているといえる。
「次のPCの入れ替えが4年後には始まると思いますが、HP様には安定して5年間使い続けられるPCを今後もご提案いただきたいですね。その頃になるとAIはさらに進化していると思いますし、AI PCのようにAIに特化したPCも形を変えていると思います。弊社でもクラウドサービス型のAI活用が進んでいますし、どの部署も積極的にAIを試している状況です。AI PCの性能向上によって今後はローカル環境でのAI活用も増えていくでしょうから、HP様にはその辺の情報を常に共有していただき、今後もよい関係を続けていただけるとうれしいです」と最後に大内氏は語ってくれた。HPは今後も杏林製薬のさらなる発展のため、全力のサポートを続けていく。
杏林製薬株式会社 ITソリューション部 システムプロジェクトグループ 課長 大内 幸一氏
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