中小企業が活用すべき補助金とは?パソコン・プリンター・セキュリティソフトに使える補助金まで解説!

※記事内容は、記事更新日時点の情報です。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認ください。
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補助金は、個人事業主や中小企業にとって、事業の立ち上げ・拡大・継続を支援する大きな力となりますが、制度の種類や申請方法が複雑で、初めての方にはわかりづらいこともあります。

この記事では、補助金制度に詳しい公認会計士の専門家監修のもと、補助金を取り巻く背景・メリットという観点から、各団体が公募している補助金までわかりやすく解説していきます。

中小企業庁の「中小企業白書」を基に、各業種の労働生産性を大企業と中堅・中小企業で比較すると、労働生産性に約2倍程度の差があることがわかります。中小企業の生産性向上のためには、利益を確保するために価格転嫁力をつける必要がありますが、昨今の原材料費の高騰や従業員に対する継続的な賃上げなど、様々な資金面の課題に直面しています。

【大企業と中堅・中小企業における労働生産性の差(業種別)】

(出典:中小企業庁『2024年版中小企業白書』付属統計資料2表・5表よりStayway作成)
(出典:中小企業庁『2024年版中小企業白書』付属統計資料2表・5表よりStayway作成)
(出典:中小企業庁『2024年版中小企業白書』付属統計資料2表・5表よりStayway作成)

こうした現状を受け、国も主に中小企業に対する経済対策として補助金に力を入れています。コロナ前~現在までの補正予算額の推移を確認してみると、コロナ前(~2019年度)とコロナ後(2023年度~)では予算額が約4倍になっていることがわかります。

【各年度の補正予算額の推移】

(出典:財務省 各年度の補正予算資料よりStayway作成)
(出典:財務省 各年度の補正予算資料よりStayway作成)
(出典:財務省 各年度の補正予算資料よりStayway作成)

また、補助金の規模も大型化しており、経済産業省が昨年度より実施している『中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(通称:大規模成長投資補助金)』では、補助上限額が50億円となっております。

こうした補助金を上手く活用していくことが、今後の企業の成長を加速させるには不可欠な存在となりつつあるのです。

(出典:大規模成長投資補助金 リーフレット)
(出典:大規模成長投資補助金 リーフレット)
(出典:大規模成長投資補助金 リーフレット

補助金を活用するメリットは以下3つが挙げられます。

  1. 資金負担を軽減し、事業に余裕が生まれる

    補助金は返済不要の公的支援金です。設備投資や新たな取り組みにかかる初期費用の一部をカバーすることで、負担を減らすことができます。その結果、手元資金に余裕が生まれ、他の運転資金や事業改善にも使えるようになります。

  2. 将来のさらなる投資を促進できる

    補助金によって得た経済的余裕を活かすことで、次の段階の投資(新サービスの開発、人材育成、販路拡大など)に取り組みやすくなります。短期的な支援にとどまらず、中長期的な事業成長の足がかりとなるのが補助金の大きな魅力です。

  3. 事業の信用力向上につながる

    補助金は通常審査があり、審査を通過しなければ補助金を受け取ることができません。しかし、補助金の審査に通ることは、事業計画の妥当性や将来性を公的に認められた証でもあります。金融機関や取引先からの信頼を得やすくなるため、その後の資金調達やビジネス展開にも良い影響を与えます。

このように、補助金にはさまざまなメリットがありますが、実際には国や地方自治体など多くの団体がそれぞれ異なる補助金を公募しており、どれが自社に合っているのかを見極めるのは簡単ではありません。実際に中小企業機構の調査では、約半数の事業者の方が「自社に合った補助金を見つけられていない」と回答しています。

そこで本記事では、特にパソコン・プリンター・セキュリティソフトといった、事業に欠かせないIT機器の導入に活用できる具体的な補助金について、いくつかご紹介していきます。

【全国対象の補助金】

全国:IT導入補助金(インボイス枠(インボイス対応類型))

中小企業が行う業務効率化やDX等に向けた指定のITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。

<対象設備>

  • 会計・受発注・決済ソフト(必須)
  • 会計・受発注・決済ソフトと併せて導入する、PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機等のハードウェア導入
    ※ソフトウェアの購入先として選定したIT導入支援事業者からの購入に限る

<主な申請要件>

  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」または「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと など

<補助額>

  • 会計・受発注・決済のうち1機能以上を有するソフトの導入
    上限額:50万円(PCやプリンターは計10万円まで)
    補助率:3/4(PCやプリンターの経費は1/2)
    ※小規模事業者の場合は4/5
  • 会計・受発注・決済のうち2機能以上を有するソフトの導入
    上限額:350万円(PCやプリンターは計10万円まで)
    補助率:2/3(PCやプリンターの経費は1/2)
(参照:IT導入補助金2025 公募要領 インボイス枠(インボイス対応類型)
IT導入補助金 チラシ
IT導入補助金 チラシ
(出典:IT導入補助金 チラシ

全国:業務改善助成金

中小企業が事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、併せて行う生産性向上に資する設備投資等の一部を助成する制度です。

<対象設備>

  • 生産性向上・労働能率の増進に資する設備
  • パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入

<主な申請要件>

  • 原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同期に比べ、3%以上低下している事業者
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること など

<補助額>

  • 上限額:600万円
    ※賃上げを行う従業員数、最低賃金の引き上げ額によって異なります
  • 補助率
    申請前の最低賃金が1,000円未満:4/5
  • 申請前の最低賃金が1,000円以上:3/4
(参照:厚生労働省 業務改善助成金
業務改善助成金 チラシ
業務改善助成金 チラシ
(出典:業務改善助成金 チラシ

全国:人材確保支援助成金(テレワークコース) 制度導入助成

中小企業がテレワークを制度の導入にあたり、就業規則などの整備を行い、一定の目標を達成した場合に助成が受けられる制度です。
※テレワークを既に実施している事業主も対象です

<対象設備>

  • 要件を達成した場合、一律で助成金が支給されます。そのため、直接的にPCやプリンター等の導入経費を対象とすることは不可能ですが、設備の導入と併せてテレワークを検討されている事業者様の場合は、間接的に助成金を活用して導入することができます。

<主な申請要件>

  • 新規実施の場合、以下の①、②か③のいずれか(必須)及び⑥~⑧のいずれか1つ以上を実施
  • 実施済の場合、以下の①、②か③のいずれか、④(必須)及び⑤~⑧のいずれか2つ以上を実施
    ①以下に定める、労働者がテレワークを実施しやすい職場風土作りの取組
    • テレワーク実施促進について企業トップ等からのメッセージの発信及び社内呼びかけ
    • テレワーク実施を促進するための資料配布等及び社内周知
    • テレワーク導入又は実施の事例収集及び社内周知
    ②テレワーク実施対象労働者全員が1回以上テレワークを実施
    ③テレワーク実施対象労働者のテレワーク実施回数の週間平均が1回以上
    ④テレワーク実施対象労働者の延べテレワーク実施回数を評価期間の初日の前日から起算した前3か月間と比して25%以上増加
    ⑤就業規則等の拡充
    ⑥外部専門家によるコンサルティング
    ⑦労務管理担当者に対する研修
    ⑧労働者に対する研修 など

<補助額>

  • 支給額:20万円
(参照:人材確保等支援助成金(テレワークコース) 支給要領
参照:人材確保支援助成金(テレワークコース) リーフレット
参照:人材確保支援助成金(テレワークコース) リーフレット
(参照:人材確保支援助成金(テレワークコース) リーフレット

【自治体が公募をしている補助金】

愛知県豊田市:令和7年度 豊田市働き方改革推進支援補助金(働く場所・時間の多様化促進事業)

豊田市内の中小企業が、テレワークの新規実施に関連して行う設備導入を支援する補助金です。

<対象設備>

  • パソコンやWEB会議機器などテレワーク新規導入に必要な機器(単価が税抜2万円以上20万円以下のもの)
  • テレワーク導入に必要な勤怠管理もしくはセキュリティ対策のためのシステムやソフトウェア など

<主な申請要件>

  • 市内に設置する事業所に常時使用する従業員が在籍し、かつ市内に主たる事業所を置く中小事業者 など

<補助額>

  • 上限額:50万円
  • 補助率:1/2
(参照:愛知県豊田市 令和7年度 豊田市働き方改革推進支援補助金

東京都江東区:ICT等導入支援事業

江東区内の中小企業が、業務効率化・合理化のために行うITツールなどの導入を支援する補助金です。

<対象設備>

  • ソフトウェアの導入(クラウドサービス、サブスクリプション型も対象)
  • IoT機器の導入(IoT関連機器含む)
  • テレワーク関連機器の導入(PC、タブレット等の汎用機器はソフトウェアの導入に伴い、最低限必要となるものが対象)
  • キャッシュレス端末機器の導入(キャッシュレス端末関連機器含む)

<主な申請要件>

  • 区内に本店及びICT等導入を行う事業所を有する中小企業であること
  • 導入設備が、事業の効率化その他の生産性の向上に資するものであること など

<補助額>

  • 上限額:50万円
  • 補助率1/2
(参照:東京都江東区 ICT等導入支援事業

東京都:サイバーセキュリティ対策助成金

都内に本店又は支店を有する中小企業が サイバーセキュリティ対策を実践するための設備等の導入に活用可能な補助金です。

<対象設備>

  • 統合型アプライアンス(UTM等)
  • ネットワーク脅威対策製品(FW、VPN、不正侵入検知システム等)
  • コンテンツセキュリティ対策製品(ウィルス対策、スパム対策等)
  • アクセス管理製品(シングル・サイン・オン、本人認証等)
  • システムセキュリティ管理製品(アクセスログ管理等)
  • 暗号化製品(ファイルの暗号化等)
  • サーバーOS 及びインストール作業費用(サーバー入替に伴うOS更新を含む)
    ※最新OSであること
  • 標的型メール訓練
  • 上記製品群と同内容のサービスの利用

<主な申請要件>

  • 申請日までに、IPAの定めるSECURITY ACTION の2段階目(★★二つ星)を宣言し、 宣言済みであることを自社ホームページ等で確認できること
  • 都内に本店又は支店を有する中小企業であり、金融業・保険業(保険業の保険媒介代理業を除く)、農林水産業を営んでいないこと など

<補助額>

  • 上限額:1,500万円(下限額10万円以上)
  • 補助率1/2
(参照:東京都 サイバーセキュリティ対策助成金
参照:サイバーセキュリティ対策助成金 チラシ
参照:サイバーセキュリティ対策助成金 チラシ
(参照:サイバーセキュリティ対策助成金 チラシ

この記事では、補助金を取り巻く背景、メリットから、パソコン・プリンター・セキュリティソフトの導入に活用可能な補助金をいくつかご紹介しました。この記事をご覧の皆様の、今後の事業展開における一助となれば幸いです。

また、本記事の内容は更新日時点の情報となります。最新の情報は、必ず省庁や自治体の公式HPをご確認いただくようにお願い申し上げます。

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