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2024.07.09

Microsoft Copilot+ PCとは

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各パソコンメーカーからのCopilot+ PCの受注・出荷が始まっています。Microsoftが定義するAI活用のために設計された新カテゴリのWindowsパソコンです。今、もっとも注目されている存在だといえるでしょう。

日本HPも個人向けに「HP OmniBook X 14 AI PC」を、法人向けには「HP EliteBook Ultra G1q AI PC」(2024年7月販売開始予定。プレスリリースはこちら)を提供します。
また、この先も、Copilot+ PC準拠の多くの製品が発売されるでしょう。ここでは、Microsoft Copilot+ PCとはいったい何なのかを検証していくことにしましょう。

フリーランスライター:山田 祥平

Microsoft Copilot+ PCの出荷が始まった

Microsoft Copilot+ PCは、AI活用を前提に最適化されたWindowsパソコンのハードウェアで、Microsoftが定義する各種要件を満たした各社製品がそれを名乗ることができます。国内販売は日本時間2024年6月18日(火)午前9時から開始されると発表され、このタイミングで世界中のパソコンメーカーがMicrosoft Copilot+ PC準拠の製品の受注、順次、出荷を開始しました。

Copilot+ PCのロゴ

Microsoftによれば、Copilot+ PC はシリコンから OS、そしてアプリケーション層からクラウドに至るまで、AI を中心に PC 全体を一から再構築したハードウェアなのだそうです。

CPU、GPU に加え、AI を処理するためのNPU(ニューラル プロセッシング ユニット)のパワーを最大限に引き出すために、 Azure クラウドで稼働する大規模言語モデル (LLM) と、デバイス上の小規模言語モデル (SLM) を連携させる新たなシステム アーキテクチャを導入し、ハイブリッドな AI 活用で、かつてないレベルのパフォーマンスを実現、Windows プラットフォームに最近数十年間における最も大きな変化をもたらしたとしています。1995年のWindows 95をモダンなWindows環境の始まりと考えれば、今はあれから約30年です。つまるところは、Windows始まって以来の大改革ともいえそうです。

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MicrosoftがWindowsを供給するパートナー各社が自社のパソコン製品をMicrosoft Copilot+ PCと称するためには、そのハードウェアがMicrosoftが定める最小要件をクリアし、Microsoftがそれを認証する必要があります。Copilot+ PCはWindows 11を想定したパソコンですが、そのハードウェア要件は、Windows 11の最小要件の増分として規定され、その内容は下記のようになっています。

  1. 承認されたリストのプロセッサーまたはシステム オン チップ (SoC)。 承認された一覧には、ニューラル処理ユニット(NPU)と 40 兆以上の 1 秒あたりの操作(TOPS)が組み込まれているプロセッサーまたは SOC のみが含まれる。
  2. RAM: 16 GB DDR5/LPDDR5
  3. ストレージ: 256 GB SSD/UFS 以上のストレージ デバイス

2と3はともかく、1については現在市場にあって各パソコンメーカーが自由に使える1の条件に合致するシリコンは限定されています。ローンチのタイミングでは実質的にQualcomm® Snapdragon® X シリーズのプロセッサーだけです。

これまでのパソコンは搭載されているCPUとGPUの処理性能でシステム全体の処理性能をほぼ把握できましたが、今後は、それに加えてNPUの処理能力が必須となり、その能力がシステム全体の処理性能や消費電力に少なからず影響を与えるようになります。

ちなみに、電力効率のことを考えなければ、既存CPUとGPUだけの組み合わせだけで、Qualcomm® Snapdragon® X シリーズプロセッサーの処理性能を超えることは可能です。でも、40TOPS超のNPU搭載という要件を満たすことはできません。システム全体ではなく、具体的に40TOPS超のNPUの実装が求められているからです。つまり、既存のハードウェアがCopilot+ PCになることはありません。

さらに、MicrosoftはCopilotキーの搭載も要件のひとつとしています。

こうしたことから、現時点でのCopilot+ PCはバッテリ駆動のモバイルノートPCが、最初のターゲットとして想定されていることは想像に難くありません。

オンデバイスでのAI処理

Copilot+ PCは、最先端のAIモデルをオンデバイスで実行できるようにすることを目指しています。AIがオンデバイスで実行できればスピード、コスト、プライバシーといった従来の制限から開放され、より創造的で効果的にAIとのコミュニケーションが実現できるとMicrosoftはいいます。

これは同社の小規模言語モデル(SLM)をオンデバイスで、そして既存の大規模言語モデル(LLM)をクラウドサービスとして利用するハイブリッドなAIの活用です。今後のパソコンにおけるAI活用は、こうしたかたちで浸透していくことになるでしょう。

もっとも、これらのハードウェアもそれを活用できるアプリやサービスがなければその性能を発揮することができません。そこで、MicrosoftはCopilot+ PC用のWindows 11に、追加でいくつかのAI機能を実装し、Copilot+ PCであることを検知したハードウェアだけで実行されるようにして、そのAI Readyがエンドユーザーにもわかりやすく伝わるようにしました。

読み書きソロバンのためにパソコンを使うとき、アプリを自前で調達しなくても、Windows OSが稼働していれば、IMEとメモ帳やブラウザ、電卓といった標準アプリだけで、とりあえずのことはできるというようなものといってもよさそうです。NPUをフル稼働させるアプリが登場し、AI利用の環境が整備されるのはこれからだということです。

ちなみに、現時点でのCopilot+ PCのWindows 11には、次のような機能が含まれています。

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Copilot キーを押すだけで、AI アシスタントCopilotがスタート

すべての Copilot+ PC に Copilot キーが導入され、このキーを押すだけでAIエージェントとしてのCopilotを呼び出せます。今後、OpenAI の GPT-4o 等の最新 AI モデルの導入が予定され、より直感的な音声でのやりとりなどができるようになる予定です。ただし、Copilot、そしてCopilotキーはすでに既存のWindows用にも展開されていますから、Copilot+ PCだけのものではありません。

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AI と画像を作成、編集 する「コクリエイター」

NPU とオンデバイスの小規模言語モデルを組み合わせることで、ほぼリアルタイムに手描きと文字によるプロンプトで画像を生成します。最初のコクリエイターは、Windows標準アプリのペイントから利用できます。

今後、Microsoftは、Adobe、DaVinci Resolve Studio、CapCut、Cephable、LiquidText、djay Proなどの各種アプリケーションの AI機能を オンデバイスのNPU 向けに最適化するために各社と連携していくということです。

「あれどこで見たっけ?」を解決する「リコール」(プレビュー版)

近日公開予定の「リコール (プレビュー版) 」では、欲しいコンテンツを見つけて、再びアクセスできるようになることをお手伝いします。この機能を有効にすると、Windowsは、3~5秒ごとにアクティブな画面のスナップショットを定期的に保存します。リコールを利用することで、スナップショットから欲しいファイルを簡単に探し出して、編集作業を再開したり、閲覧していたWebページに再度アクセスしたり、他のアプリケーションでも利用するためにスクリーンレイで、画像やテキストをハイライトしてコピーすることができるようになります。ユーザーは、Webサイトやアプリがスナップショットに保存される挙動を設定から一時停止、削除、停止するなどの制御ができるため、プライバシーを常に管理できます。また、リコールはスナップショットの保存を開始するためにオプトイン (ユーザーによる意思表示) が必要で、いつでも設定を変更できます。さらに、Microsoft はスナップショットにはアクセスできない仕組みになっています。

Recallは、2024年6月18日にCopilot+ PC向けに広く提供されるプレビュー体験から、今後数週間以内にWindows Insider Program(WIP)から提供されるプレビュー体験へと移行します。Windows InsiderコミュニティからのRecallに関するフィードバックを受けた後に、すべてのCopilot+ PCでRecall(プレビュー)を利用できるようにする予定です。

Copilot+ PCのRecallプレビューに関する最新情報 - Windows Blog for Japan

強化された Windows スタジオ エフェクト

Windows スタジオ エフェクトは、デバイス内蔵のカメラやマイクに特殊効果を適用することで、外観とサウンドの最適化を実現します。ノイズキャンセルなどでのサウンド最適化、映像については暗い環境の照度を改善し、前景のピクセルの明度をあげるように自動調整するなどAIによる最適化制御機能を提供します。また、新たに加わった3つのクリエイティブ フィルター(イラスト、アニメーション、水彩画)に加え、オンライン会議での自画像を調整し、不自然な視線を抑制するアイ コンタクト、テレプロンプターが、画面の文書を読みながら、アイコンタクトを維持するのに役立ちます。これらの効果を、カメラやマイクを利用するあらゆるアプリケーションから利用することができます。

コミュニケーションの効率を高めるライブ キャプションで

あらゆるアプリによってパソコンから出力されるすべてのオーディオをその言語、または、英語に翻訳した字幕としてリアルタイムで画面上に表示します。また、アプリやビデオプラットフォームにおいて、デバイスがオフラインでもNPUを使ってオンデバイスで英語字幕に翻訳します。他言語への展開も予定されています。マイクからの入力をその対象にすることもできるので、他言語を話す相手と向かってリアルタイムで相手の話す内容を字幕表示してコミュニケーションするといった使い方もできれば、オンライン会議を音声抜きで目で追いかけるようなことも可能です。

始まったばかりのCopilot+ PC合戦

すでに書いたように、現在市場にあって各パソコンメーカーが自由に使えるMicrosoft Copilot+ PCの最小要件を満たすシリコンはQualcomm® Snapdragon® Xシリーズだけです。Copilot+ PCが発売された2024年6月18日現在、Windows OSが稼働する既存のシリコンに実装されたNPUに40TOPS超の処理性能を持つものはありません。

Windowsパソコン用のプロセッサーの供給元としてはIntelやAMDが以前から知られています。でも、両社ともに、出荷済みの製品にMicrosoft Copilot+ PCの最小要件を満たす製品はありません。

IntelはコードネームLunar Lakeで知られる最新プロセッサーの技術詳細を発表し、2024年第二四半期の出荷を目指しています。また、AMDも最新製品としてStrix Pointを2024年後半に投入予定です。

Snapdragon®から半年遅れのスタートとなりますが、Qualcomm® Snapdragon® Xシリーズを超える性能も伝えられ、期待は高まるばかりです。もちろんQualcomm®も黙ってそれを見ているはずがありません。

おそらくは、今年の年末商戦には、これらのメーカの新プロセッサー、SoCを搭載したパソコンがMicrosoft Copilot+ PCとして量販店頭にも並び、さらには、2025年春以降の企業向け環境を支えるAI PCとして積極的に導入されていくことになりそうです。

企業で従業員用のPCを調達する業務に関わるシステム管理者の方々は、こうした背景をしっかりと把握して予算組みや導入時期を慎重に検討してください。その決断次第で、組織の将来が決まるかもしれません。

※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。

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