「Microsoft 365 AIエージェントを業務で使おう!」シリーズ
第1回「Microsoft 365 エージェント事始め」編
2026-03-18
MKTインターナショナル株式会社CEO/代表取締役社長:赤井 誠
この連載では5回にわたって、話題のAIエージェントの活用方法について紹介します。筆者は、全国で年間100回以上、マイクロソフト製品である Windows 11 や Microsoft 365 の販売支援セミナーや研修を行っています。そうした活動を通じて寄せられる企業の現場の疑問や課題の声を踏まえ、本連載では、特別なシステム構築をすることなく、マイクロソフトが提供する Microsoft 365 エージェントを中核に、すぐに活用できる情報として、「AIエージェントとは何か」的な入門から、具体的な活用事例までを『Microsoft 365 AIエージェント活用への第1歩』として紹介することになりました。
初回となる今回は、Microsoft 365 Copilot にビルトイン(組み込み)されたAIエージェントを解説し、ぜひ仕事に活用していただきたいAIエージェントとして「リサーチ ツール」と「アナリスト」を紹介します。
「リサーチ ツール」は、インターネット上にある情報を調査、整理し、今までだと1週間以上かかっていた内容を短時間でレポートにまとめます。
また、「アナリスト」を利用すれば、分析するための数式を知らなくても、ビジネスデータを分析、グラフ化でき、経営層が求める洞察を得られます。
「リサーチ ツール」と「アナリスト」は、双方ともに Microsoft 365 Copilot を契約していれば、追加費用なく利用できるAIエージェントです。
AIエージェントとは?
2025年は、AIエージェント元年と言われたように、AIエージェントの話題が急速に拡大した1年でした。この数年、Copilot を中心としたセッションを提供してきましたが、現場では「Copilot を使ってプレゼン資料を作れます! すごい!」という反応はすでになくなっています。結果的に、業務に使うアイデアが出ない場合などに、チャットを面白ツールとして利用する状況に陥りがちになっています。そういった中、「これなら業務にすぐに使えるね」という評価をよく受けるのが、Microsoft 365 に組み込まれたAI エージェントです。
AIエージェントは、自律的に膨大な情報を短時間で整理・分析し、複雑な課題に対応します。また、外部システムやAPIと連携することで、業務の自動化を行うこともできます。これにより、ユーザーは専門知識がなくても高度な分析や資料作成が行えるようになることから、ビジネスの現場での活用価値はますます高まっています。
大きく期待される一方で、さまざまなベンダーから、多くのAIエージェントが一気に発表されたこともあり、導入から運用まで、セキュリティを保持しながら、どのように導入するかに悩んだ企業もありました。
このような背景を前提に、ここでまず紹介したいAIエージェントのカテゴリが、Microsoft 365 Copilot にビルトイン(組み込まれた)「エージェント」です。
Microsoft 365 Copilot で利用できるAIエージェント
マイクロソフトが提供するAIエージェントのカテゴリには、図のように、Microsoft 365 Copilot から利用できるマイクロソフトが開発した「エージェント」、サードパーティが提供するエージェント、およびユーザーが独自に作るカスタムエージェント、そして、Azure サービスを活用したカスタムエージェントなどがあります。
Azure サービスを活用した複雑なカスタムエージェントに比べて、Microsoft 365 Copilot ですぐに利用できるCopilot組み込み型エージェントは、あらかじめマイクロソフトが作成したもので、カスタムエージェントといえども、プログラミングをしたりすることなく構築できます。
また、運用管理についても、Microsoft 365 管理センター(下図)で行うことができるため、今まで Microsoft 365 を導入していた企業にとっては、活用の難易度が低いものになっています。
「Microsoft 365 Copilot エージェント」は、日々利用するOffice製品などの業務アプリに統合された「従業員向けの助っ人」です。次のような(管理者が設定していれば)すぐに利用できるエージェントが組み込まれています。
| エージェント名 | 説明 |
|---|---|
| リサーチ ツール | 市場調査、競合調査や顧客分析を、わずか数分〜数十分で完了 |
| アナリスト | 売上分析、利益分析や予測、異常検知などデータを分析 |
| Writing Coach | ライティングに関する詳細なフィードバックを提供。メッセージのトーンの変更、テキストの翻訳、ライティング タスクの支援 |
| Idea Coach | ユーザーのブレインストーミングやアイデア整理を支援 |
| Prompt Coach | Copilot 用の効果的で適切に構成されたプロンプトを作成できるようユーザーを支援 |
| Career Coach | 役割の理解、スキル ギャップ分析、学習機会、キャリア移行計画など、パーソナライズされたキャリア開発の提案を提供 |
| Learning Coach | 複雑なトピックをシンプルな要約、中程度の要約、詳細な要約に分割して、ユーザーが理解できるようにする。ガイド付きの練習およびラーニング プランを提供 |
| アンケート | 調査エージェントにより、アンケートの作成、配布から分析を支援 |
第1回となる今回は、「リサーチ ツール」と「アナリスト」を利用して、インターネット上の膨大な情報を瞬時に収集・整理し、PowerPointなどの資料作成やビジネスデータの分析・グラフ作成を行う方法を紹介しましょう。
リサーチ ツール
市場動向や競合調査、顧客分析などの市場調査では、数多くのウェブサイトや社内ドキュメントを手作業で検索し、その結果を吟味した上でレポートとしてまとめる必要があります。調査の期間も数日以上かかることも少なくありません。
リサーチ ツールは、そのような市場調査作業を効率化し、わずか10分~15分程度でまとめ、レポートとして完成させます。調査時間を短縮できるのはもちろん、深く、また広範囲に取得した情報からレポートが作成されるため、初めてふれたユーザーは、感心し、すぐに業務で使い始めるケースも多いようです。
例えば、競合他社の最新の決算資料、製品ラインナップ、価格戦略、ユーザーレビューを網羅的に調査し、SWOT分析や比較表を自動作成することができます。市場参入戦略についても、業界の規制、市場規模、トレンド、主要プレイヤーを調査し、参入の実現可能性を評価することもできます。さらに、大口の顧客の経営方針や課題を深く分析し、その企業に最適化された提案の「切り口」を見つけ出すといったことも可能です。
調査結果は、Word/PowerPoint/PDF/インフォグラフィックとして、出力することができます。
レポートは、Copilot ページにまとめることもできます。Copilot ページは、編集可能で共有可能なコンテンツのWebページです。リンクを共有するとチームメンバーと共同編集ができます。
使ってみましょう
- Microsoft 365 Copilot (https://m365.cloud.microsoft/) にアクセスします。
- 左ペインに、「エージェント」パートが表示されます。このとき、下図のように、リサーチ ツールが表示されていることを確認します。
表示されている場合は、4に進んでください。 - 左ペインに表示されていない場合は、「すべてのエージェント」をクリックします。エージェントストアページが表示されます。
【Microsoft によるビルド】パートに、リサーチ ツールがあることが分かります。リサーチ ツールをクリックして、「追加」ボタンをクリックします。 - リサーチ ツールのプロンプト欄が表示されます。
今回は、2026年下半期から開始される経済産業省の「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」について、調査することにします。
プロンプト例
経済産業省が進める「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」について、推進の背景、方向性、スケジュールを調べてください。また、業界の有力企業の取り組みについても、調べてください。
リサーチ ツールは、調査にあたり、不足した情報や条件、調査の方向性を確認します。ユーザーはそれらの質問に回答すると、調査が始まります。
15分程度すると調査がまとまります。
最下部に、Word、PowerPoint、PDF、インフォグラフィックなどの変換を実行するボタンが表示されます。対応ファイル形式は契約されているテナントごとに展開時期が異なります。
今回は、PDF に変換しました。作成されたPDFはこちらからダウンロード可能です。
有益な情報がまとまっていると感じられたのではないでしょうか。さらにリサーチを進めたい場合は、調査したい項目をプロンプトで追記していくと、望む情報がまとめられた詳細なレポートが完成します。
アナリスト
多くの企業では、データ分析が重要だと指摘されますが、特定の担当者に依存したり、適切な担当者がいなかったり、スキルが不足しているということがよくあります。Excelを活用して分析をしたいと思っても、煩雑な分析を手作業で行うと、日々増える膨大なデータを集計・分析する場合には、非効率でミスが発生しやすくなります。結果として、優れた分析結果を得ようとすると、経営層や現場が必要な情報を得るまでに時間がかかり、結果的に意思決定が遅れてしまいます。
こうした課題を解決するAIエージェントが、「アナリスト」です。Excelファイルなどのファイルをアップロードすることで、数式の知識がなくても直感的に操作できるのが特長です。
AIドリブン分析で拡がるアナリスト活用
アナリストを利用すると、次のような活用が可能になります。
- 「売上の前年同期比を教えて」「地域別の利益率を比較して」など、専門知識不要で分析
- ダッシュボードやレポートの自動生成。KPIやトレンドを自動で可視化し、意思決定を支援
- 予測分析・シナリオシミュレーション。過去データを基に、売上予測や需要予測を提示
- 異常検知・リスクアラート。在庫過剰や売上急減など、異常値を自動検出して通知
アナリストを利用する際の注意点として、デフォルトでは、生成されたグラフの日本語ラベルが文字化けするケースがある点に留意してください。この不具合を回避するには、プロンプトで「視覚化は日本語フォントを利用してグラフにしてください」といった言葉で日本語フォントを利用することを伝える必要があります。
プロンプト例
アップロードされたファイルに表示される内容にはどんな傾向がありますか? どの変数が相関し、どの程度の変数が関連付けられているか? これらの相関関係を視覚化できますか?
分析対象ファイルとして、以下の図の内容が記載されたExcelファイルを利用します。
アナリストは、次のようなグラフを自動的に視覚化します。
製品別売上
地域別売上
さらに、次のようなプロンプトを入力すると、求める結果が出力されます。
基本統計量の確認
「売上データの行数・列数・データ型を確認し、売上金額と数量の平均・中央値・標準偏差を計算してください。」
時系列分析(年・月別)
「日付をdatetime型に変換し、年別・月別の売上合計と数量合計を算出し、棒グラフで可視化してください。」
地域別分析
「地域ごとの総売上を集計し、売上の大きい順に並べた棒グラフを作成してください。また、地域ごとの平均単価(売上金額÷数量)も求めてください。」
製品別分析
「製品ごとの売上合計・数量合計を比較し、棒グラフや箱ひげ図で可視化してください。」
顧客セグメント別分析
「顧客セグメントごとの売上分布や数量分布をヒストグラムや箱ひげ図で表示し、個人・企業・公共の違いを確認してください。」
まとめ
「Microsoft 365 AIエージェントを業務で使おう!」シリーズ の第1回として、「Microsoft 365 エージェント事始め」編をお届けしました。
次回は、プログラミングなしで構築できるカスタムエージェントの作成方法を紹介します。ご期待ください。
コラム:Microsoft 365 Copilotとデータ漏えい
生成AIが当初注目を浴びたとき、企業の機密情報が漏えいするなどの問題が発生しました。また、多くのAI サービスはクラウド上で提供されることから、情報漏えいなどのセキュリティに対する不安を持つ企業が依然として存在します。
こうした背景から、生成AIの導入を検討する際に「自社のデータがAIの学習に使われてしまうのではないか」、「情報漏えいやセキュリティのリスクはないのか」などといった不安を抱く方も少なくありません。
マイクロソフトは、Microsoft 365 Copilot のユーザーに対して、エンタープライズデータ保護(Enterprise Data Protection, EDP) というセキュリティ、プライバシーに対するコミットメントを行っています。
EDPでは、Microsoft 365 Copilot を利用する際にアップロードされるドキュメントやメール、チャット内容などを、AIモデルの品質向上や再学習のためのデータには使わないことを宣言しています。ユーザーが Microsoft 365 上でやり取りする情報は、あくまでその企業組織内だけで利用され、他社や外部と共有されることはありません。
また、Microsoft 365 Copilot の利用時には、データの暗号化、アクセス管理、監査ログといった高度なセキュリティ対策も利用できます。
これらの対策によって、データ漏えいのリスクを減らし、日々の業務で安心してAIを活用できる環境が提供されています。
HPは、ビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします。
Windows 11 は、AIを活用するための理想的なプラットフォームを提供し、作業の迅速化や創造性の向上をサポートします。ユーザーは、 Windows 11 のCopilotや様々な機能を活用することで、アプリケーションやドキュメントを横断してワークフローを効率化し、生産性を高めることができます。
組織において Windows 11 を導入することで、セキュリティが強化され、生産性とコラボレーションが向上し、より直感的でパーソナライズされた体験が可能になります。セキュリティインシデントの削減、ワークフローとコラボレーションの加速、セキュリティチームとITチームの生産性向上などが期待できる Windows 11 へのアップグレードは、長期的に経済的な選択です。旧 Windows OSをご利用の場合は、AIの力を活用しビジネスをさらに前進させるために、Windows 11 の導入をご検討ください。
※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。
また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。
ハイブリッドワークに最適化された、Windows 11 Pro+HP ビジネスPC
ハイブリッドなワークプレイス向けに設計された Windows 11 Pro は、さらに効率的、シームレス、安全に働くために必要なビジネス機能と管理機能があります。HPのビジネスPCに搭載しているHP独自機能は Windows 11 で強化された機能を補完し、利便性と生産性を高めます。
詳細はこちら











