ビジネスの新しい可能性を探る一大イベント「CTC DISCOVER 2025」にHPが出展
2025-12-08
2025年10月17日、グランドプリンスホテル新高輪にて「CTC DISCOVER 2025」が開催された。今回のテーマは「AIを探る、AIで共創する」とされただけあり、ブース会場、セミナー会場共に、話題の中心はAI一色となった。様々なベンダーやSier、開発企業らによって最新情報が発表される中、HPも次世代AI PCをはじめ、パートナー企業らと共にイベントを盛り上げた。どのような内容だったのか解説していこう。
取材:中山 一弘
柔らかいピンクに染まったAIブースエリア
今年のCTC DISCOVER 2025は、照明による色分けが印象的で、とりわけ視線を集めたのは柔らかいピンクに染められたAIをテーマとしたブースたちのエリアだ。HPも次世代AI PCの HP EliteBook X G1i 14 AI PCやローカルAI・ハイブリッドAIを実現するHPワークステーションシリーズを中心に、AIを駆使した音声・映像技術を搭載した遠隔コミュニケーションソリューションとしてPoly製品群などを展示。パートナー企業とのコラボレーションによるAIソリューションを紹介していた。以下、ダイジェストで紹介していこう。
-株式会社WEEL
生成AIのローカル活用をメインに、あらゆる企業ニーズに合わせたサービス構築を得意としているのは株式会社WEELだ。「今回は2種類のシステムを紹介しています。ひとつはローカルRAGによるチャットボット、もうひとつがローカル環境で完結できる議事録生成システムです」と話すWEELスタッフ。
ローカルRAGによるチャットボットだが、本来であればChat GPTのようなクラウドベースの情報を活用するものがほとんどだが、今回はローカル環境にある情報のみを使用。企業がすでに保有している専門的なナレッジを使い、自社サービスに特化した回答が得られるセキュアなシステムとなっていた。
議事録の作成においては、顧客との商談中の会話を自動で文字起こしし、そこから特定のフォーマットに基づいた形で議事録として生成することで、より企業に必要な情報を得やすくなっているのが特長だ。商談対応中の社員はその情報を確認しながら、さらに聞きたいポイントなどを追加質問しやすくなり、その内容も抽出してまとめることができる。
「これらは一例であって、RAGやSLM/LLMの各モデルを使い、ローカル環境で使える生成AIを構築するのが私たちWEELの仕事です。HP様のPCを利用することで、回答が得られる速度も非常に早く、ローカル環境でも十分なレスポンスでご利用いただけるシステムが構築できます。特にクライアントとして利用できる次世代AI PCに関しては推論レベルなら十分な処理能力があるのでAI活用をする環境づくりには最適だと考えています」と語ってくれた。
―株式会社アドバンスト・メディア
自然言語によるAI活用に必須とされる音声認識において、国内シェアNo.1(※合同会社ecarlate「音声認識市場動向2025」音声認識ソフトウェア/クラウドサービス市場)の実績を持っているのが同社の「AmiVoice」だ。現在広く使われている「音声認識テクノロジーの多くは海外で開発されたものですが、私たちのAmiVoiceは日本のメーカーが開発している日本語の認識に強いシステムであるのが大きなポイントだと思います」と語るスタッフ。
AmiVoiceは音声のリアルタイム認識によるテキスト化はもちろんのこと、音声データを元にそれぞれの発言の話者をリアルタイムかつ高精度に識別する。例えばリアルタイム認識中に「発言者3」が山田氏であると入力すれば、以降の山田氏の発言はそのまま同氏としてテキスト化できる。話者識別のテクノロジーを持つ製品は他にもあるが、にぎやかな会場内においても高精度でそれを実行できる品質の高さで多くの来場者を驚かせていた。
「もちろんオフラインで完結する要約機能もありますから、ローカル環境においてもしっかりした音声認識と正確な議事録の作成が実行できます。議事録が必要であり、なおかつ会話の内容をクラウドに出せない自治体様などを中心に多くのお声がけをいただいております。HP様のPCはローカル環境で動作させた際に音声認識の速度が速いと感じました。音声認識はレスポンスが大切なのでAmiVoiceを使ったAIシステムに最適な環境が作れます」とスタッフは解説してくれた。
―Upstage AI 株式会社
HPワークステーションを使い、ローカルLLMの言語モデル「Syn」を紹介していたのはUpstage AI 株式会社だ。「HP様のワークステーション上にインストールされ、AI-OCRを使いRAGとして使えるデータを蓄積。企業様にとって再利用が難しかった非構造データを構造化しながら、それをLLMであるSynが読み取り、チャットUIとして利用できます」と説明するスタッフ。
多くの企業が所有している膨大な情報の中には様々な資料が点在している。それはテキストだけではなく、PowerPointやPDFの中に存在するグラフや図版、斜め文書、企業独自のフォームなど、従来の方法では再利用がとても難しい非構造化データといわれるものも多いのが現状だ。「それらの情報もLLMが利用できる形に整えて構造化できます。これまでは現場の方々が地道に入力しなおすなどの労力が必要でしたが、それが不要となるのです」とスタッフは説明する。
この仕組みがいかに効率的なAI活用を実現できるかを見る機会はそれほど多くはない。しかし、今回のようなイベントではそれをしっかり目で見て確認できるので来場者は感嘆の声をあげつつ、スタッフの説明に聞き入っていた。「HP様のワークステーションや次世代AI PCのパフォーマンスは本当に優秀で、ソフトウェアが実現できることとハードウェアの実力が近づいているのを感じています。ローカル生成AI活用はHP製品を購入する際の初期投資のみでランニングコストはほとんどかかりません。構築したAIシステムは会社の資産として残すこともできるので、ローカル生成AI活用はおすすめの方法といえますね」とスタッフは語ってくれた。
AMDブースでもHPワークステーションが大活躍
市場でシェアを伸ばし続けているAMDのブースでは、プロセッサーの最新情報を伝えるほか、HP ZBook Ultra G1a 14inch Mobile Workstation を利用したデモンストレーションを実施。モバイルプロセッサーシリーズで最強となる「 AMD Ryzen™ AI Max+ PRO 395 」によって、話題のLLM “Open AI gpt-oss-120B” とAMD、CTC両者が出資している効率的なSLM “LiquidAI1.2B” をローカル環境で運用している様子を紹介していた。
「ご覧の通り、HP様のモバイルワークステーションというラップトップ型のPCでもしっかり動作しています。このマシンには128GBのメモリを搭載していますが、この領域はシェアードメモリになっていて、適切にメモリリソースを割り当てることで様々な生成AIモデルに最適な環境を構築できます。AMDとしては、このようなモバイルPCから、データセンターまで、あらゆる環境に最適なプロセッサーを提供できるオールラウンドな点でアドバンテージがあると考えています」とAMDスタッフは説明してくれた。
聴衆が聞き入る最新AI情報のアップデート
セミナー会場では、株式会社 日本HPエンタープライズ営業統括 営業戦略本部 本部長 松本 英樹氏によるセッション「Copilot+PCで今できる事、ローカルLLMの取り組みについて」もおこなわれた。予定人数を大幅に超えて満席となった講演の概要も伝えておこう。
「実は昨年も同じCTC様のイベントで『これからはローカルLLMの時代が来る』とお話しさせていただきました。HPはPCメーカーなのでポジショントークかと思われた方もいらっしゃったかも知れませんが、1年経過した現在、実際にその時代が訪れていることを実感している方も多いと思います」と急激な進化を続ける生成AIのビジネス活用シーンについて振り返る松本氏。
続いて同氏はクラウドベースの生成AIサービスが膨大なパラメーター数を維持するためにデータセンタークラスのコンピューティングが必要なのに対し、ローカル生成AIにおいては圧倒的に少ないパラメーターで高効率運用が可能なうえ、必要なリソースもワークステーションと次世代AI PCにより環境構築ができるメリットを伝えた。
「ローカル生成AIの特長として低コストで運用できる点があります。クラウドベースの生成AIではサブスク、従量課金など方法は様々ですが、必ずシステム使用料が発生します。もちろん、ローカル生成AIにおいてもワークステーションやクライアントとなる次世代AI PCなどの初期投資は必要ですが、ランニングコストを考えればいずれトータルコストでローカル生成AIが有利になります」と松本氏は説明した。
一方、ローカル生成AIが自社を中心とした情報活用に優れている点を挙げつつ、より広範囲な情報を参照できるクラウドベースの生成AIのメリットを鑑み、「いずれにしてもクラウドベースの生成AIも併用していくことになると思います」と松本氏はハイブリッドローカル生成AI活用という新たな選択肢がニーズとして出始めている現状について語った。
続いて松本氏は次々と実装されるビジネス環境の中にあるAIアプリケーションに触れ、「AI活用によってユーザーがより多くの時間を手に入れられるようになることが大切です。つまり生成AIによって『アクセシビリティ』の点でより使いやすい環境を生み出せるようになると私は考えます」と松本氏は持論を語った。
例として、手話をAIが理解、翻訳し、障がいを持つ人とのコミュニケーションにおいてリアルタイムのWeb会議がおこなえるAIアプリや、HPブースで展示をしているローカルRAG、SLM/LLMサービスなどを紹介。「生成AIを活用することで実際にアクセシビリティが向上している例は実際に増え続けています。そのうち、生成AI活用が進むとキーボードを使わなくてもPCが使える時代が来るのかも知れません」と松本氏は語る。
その後、松本氏はHPの幅広いポートフォリオの中でも生成AI活用についてポイントとなる「AIワークステーション」「次世代AI PC/Copilot+ PC」の解説に続き、自社が展開しているあらゆる業種におけるPoCの成果を紹介。「私たちが展開している数々のPoCにもみられるように、各企業、組織において様々な形で生成AIの使い方を模索している状況があります。これから生成AIを使ってみようとお考えの企業の皆様におかれましても、手書きの書類などを含めれば膨大なデータをお持ちかと思います。それらのデータを整理するにしても生成AIは役に立ちますし、生成AIが利用しやすいように非構造化データを構造化データへと変換することで情報を財産にすることもできるわけです。HPの製品群なら生成AI活用に最適なモデルが必ず見つかりますし、予算規模に応じてお選びいただくことも可能です。最新情報を手に入れるためにもぜひ、私たちにご相談ください」と松本氏は最後に語り、セッションは終了となった。
―取材後記
CTC DISCOVER 2025は大盛況のうちに幕を閉じた。実際に稼働している様子や、リアルタイムでのスタッフの説明を受けることが、生成AI活用の大きなヒントになることは確かだ。HPでは今後も様々なイベントを通じて、生成AI活用の最新情報を伝えていく予定となっている。積極的に参加し、いち早く生成AIを使いこなして自社の成長やDX促進につなげていただきたい。
また、過日10/3にHP主催で開催されたHP Future of Work AI Conference 2025のイベントレポートや当日の講演内容をまとめた動画も確認してみてはいかがだろうか。
WEEL社やアドバンスト・メディア社が登壇しているセッションもあり、きっと、さらなる発見があるだろう。
「HP Future of Work AI Conference 2025」のイベントレポートはこちら
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