2024.11.20

アドビに聞く生成AIのビジネス活用

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生成AIが広く浸透し、すっかり身近な存在になってきています。その活用に欠かせないハードウェアとしてのパーソナルコンピューターの領域でも、先日のインテルによるCore Ultraシリーズ2の発表などで、選択肢に富んだAI Readyな環境が急速に整いつつあります。

ここでは、着々と体制が整うAI環境をビジネスの視点からどう考えていけばいいのかを知るために、アドビ株式会社を訪ね、澤田諒介 氏(同社アドビプロフェッショナルサービス事業本部アーキテクト統括本部部長)と河合康太朗 氏(同社デジタルエクスペリエンスデマンド&フィールドサービスマーケティングシニアサービスマーケティングマネージャー)にお話をうかがってきました。

フリーランスライター:山田 祥平

デジタルエクスペリエンス デマンド&フィールド サービスマーケティング シニアサービスマーケティングマネージャー 河合 康太朗 氏(左)
アドビプロフェッショナルサービス事業本部 アーキテクト統括本部 部長 澤田 諒介 氏(右)

アドビというと、PhotoshopやIllustratorといったクリエイターを強力に支援するアプリ群としてのAdobe Creative Cloudや、PDFを核としたドキュメントプラットフォームなどを想像するかもしれません。でも、それらに加えて、マーケティング支援のリーディングカンパニーとして世界的に知られている企業であることを忘れるわけにはいきません。

―― 最初にアドビプロフェッショナルサービスとサービスマーケティングについて、その事業の詳細を教えてください。

澤田:アドビプロフェッショナルサービスは、デジタル変革の複雑な要件に対応し、デジタルビジネスを運営するためのシステム、戦略、テクノロジーの将来を見据えた改善を支援します。今年からは、コンテンツサプライチェーンとその設計にも支援領域を拡張しています。

河合:サービスマーケティングは、コンサルティングサービスやプロフェッショナルサービス、アルティメットサクセスのサポートなど、サービスビジネスのマーケティングを担うことを目的に、コロナ直前の6年ぐらい前からグローバルで立ち上がった部門です。
コンサルティングサービスのブッキングの最大化がミッションで、いわゆる営業販促に近いフィールドマーケティングというところで、例えば四半期に1回といったタイミングでミートアップやセミナーなどのイベントを開催してお客様に集まっていただき、そこで案件を促進するといったことを主な業務としています。

―― AIの活用がビジネスに欠かせないものとなりつつあることで、アドビのサービスもそこに注力していくということでしょうか。

河合:AI活用は、あくまで支援領域のうちのひとつです。われわれはクリエイティブ領域のみならず、マーケティング領域のAI活用を支援してきました。
アドビとAIは10年以上前から関わりを保ってきています。よく知られているのは
Adobe Senseiですね。このAI(人工知能)サービスは、ジェネレーティブAI(生成型AI)のクリエイティビティと統合ワークフローを融合します。それによって、マーケターがイノベーションを加速することができ、顧客が求める優れた体験を提供するために役立ちます。その取り組み、研究を含めてやってきた経緯があります。

2023年3月にはアドビの年次イベント「Adobe Summit」でAdobe Fireflyが発表されました。翌年にはそのパブリックベータ版を提供し、現在は、Adobe Creative Cloudユーザーなら誰もが利用できるようになっています。

ここで大事なことは、アドビが人間のクリエイターをテクノロジーで置き換えようとしているわけではないということです。どうすれば人間のクリエイティビティをより発揮できるかを第一に考えて、Adobe Creative Cloudの各種製品からAdobe Fireflyによる生成AIを使えるようにしてきました。Adobe Fireflyは順調にアップデートを重ね、現在はAdobe Firefly Image 3として、モデル自体が飛躍的に進化しています。

もちろん、こうしたソリューションを利用するのはクリエイターだけではありません。アプリから気軽に生成AIが利用できるようになることで、たとえば、Photoshopで写真の背景を消したいなら、背景を選択して指示するだけで生成塗りつぶしによって背景が消えるのです。「背景を夕方にして」とプロンプトを打つだけで、光景が夕方になります。こうしたことは、プロのクリエイターならそれなりの手間暇をかければこなせた作業かもしれません。でも、ノンクリエイターには難しかったのではないでしょうか。

アイディアをカタチにするのが難しかったわけです。だからこそ、プロンプトひとつでそういうことができるようになってきたのは画期的なことだといえるでしょう。
現在では、Adobe Expressでも同様の機能がサポートされ、モバイルやウェブ用のメディアの作成で、誰もが簡単にAIを活用できるようになっています。

澤田:更にクリエイターさんのクリエイティビティを促進する以外のアプローチとして、そのワークフローを最適化し、よりクリエイティビティを発揮しやすいようにする事も重要です。意外にマニュアルワークが多いなど、いろいろなアプリをホッピングしていくような局面ではやっぱりクリエイティビティが阻害されてしまっているといったこともあります。制作ワークフロー環境もAIを使うことによって楽にして、クリエイターさんにクリエイティブに集中してもらえる仕事環境を作りたいというような考え方も重要ですね。

河合:クリエイターを直接支援するというよりも、環境周りで土俵のように持ち上げてあげるみたいな。そんなイメージです。結果的にはそういう形にはなっていますし、直接クリエイターを支援する必要があれば、コンサルティングサービスのような形で、その企業の中でクリエイティブのワークフローとかプロセスをコンサルティングでいっしょに変えていきましょうという話になります。

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