2021.11.16
さあ使おうと思ったらバッテリー残量がほぼゼロ。パソコンはいやおうなしに休止状態に移行。絶望の瞬間です。そんなときに、スマホの充電用に使っているACアダプターがあれば、なんとか急場をしのげます。
今、市場にある多くのモバイルバッテリーはUSB Power Delivery対応です。ただ、その出力は、ほとんどの場合18Wとちょっと非力です。ちなみに、このところバッテリーの運用評価に使っている日本HPのHP Elite Dragonfly G2は、18Wのような小さな電力での充電には対応していません。
いろいろ試してみると30Wのものならなんとかなるようです。ACアダプターの場合も同様で30W超の出力があればHP Elite Dragonfly G2を充電できました。
パソコンに同梱されている純正の電源アダプターは出力が大きく、HP Elite Dragonfly G2同梱のものも65Wです。必然的にサイズも重量も大きくなり、毎日気軽に持ち歩くというにはちょっと抵抗があります。その点、スマホの充電に使うアダプターは30W程度のものなら、サイズもコンパクトで軽く、カバンの中でもかさばりません。
ただしどんなアダプターでも大丈夫というわけではありません。充電規格のUSB Power Delivery(USB PD)に対応している必要があるのです。この規格は、両端がUSB Type-Cプラグのケーブルを使ってパソコン本体と接続したときに、充電される側と給電する側との間で相談して大きな電力をやりとりするためのものです。現在の多くのパソコンはこの規格を使って内蔵バッテリーを充電します。
内蔵バッテリーの残り容量が5%を切ると、Windowsの初期設定にしたがってパソコンは休止状態に移行します。その状態に陥ったHP Elite Dragonfly G2に、30Wのアダプターを接続して給電すると、充電ランプが点灯し、充電がスタートします。18Wのアダプターでは充電ランプは点灯しませんでした。
これ幸いにと、電源ボタンを押して復帰させようとすると、バッテリーが不足しているか、もっと高出力のアダプターを使うようにというメッセージが表示されてまた電源が切れた状態に戻ります。
10分ほど待ってもう一度電源を入れると、見事に起動、確認するとバッテリーの残り容量は10%でした。どうやら5~10%未満の残り容量では起動ができないようになっているみたいです。
休止状態から復帰したところで、そのままバッテリーベンチマークテスト用のソフトウェア「BBench」を使い、10秒に一度のキー入力をエミュレートしながら充電を続けます。会議中のメモならその程度の負荷だと思われます。
うれしいことに順調に充電が継続し、4,088秒後に50%、11,898秒後に100%となりました。つまり1.1時間で半分、3.3時間で満充電です。2.3時間で満充電になる同梱のACアダプターと比べ、倍とはいわないまでも1時間ほど余分に時間がかかっています。でも、30Wでは出力が半分以下ですから仕方がないことです。
30分でHP Elite Dragonfly G2の内蔵バッテリーを50%充電するというHP Fast chargeは電力が足りず、機能しませんでした。
30W超の出力ができるならモバイルバッテリーでも充電ができます。ただしACアダプターと違って充電すればバッテリーは消費されます。無限に給電できるACアダプターとはちがって、容量に限りがあることを忘れてはなりません。また、バッテリーでバッテリーを充電することになるため効率も悪いことを覚悟する必要があります。
仮にバッテリーが空っぽになってしまっても1時間の会議中に半分の充電ができれば、そのあとはなんとかなるでしょう。こうした非常事態に備えて、スマホの充電用ACアダプターは、最低限の18Wのものではなく、少し欲張って、30Wのものを選んで持ち運ぶようにしておくとよさそうです。
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