2024.11.20
安定した通信環境はPCを効率的に運用するには欠かせない大きなポイントだ。オフィスやビルなどの拠点であれば、高速なWi-Fiの敷設なども容易だが、採用率が高まっているハイブリッドワークをはじめ、屋外でPCを扱うことが多い企業や組織などにとっては、いまだに課題となっていることが多い。HPでは安定した通信環境が提供できる「HP eSIM Connect」と、モバイル環境では必須となるデバイス管理ソリューション「HP Protect and Trace with Wolf Connect」を用意している。これらのサービスが特定の環境下でどれほどのメリットがあるのか、パートナー企業によって実証実験をおこなってもらった。今回は鹿児島県を舞台にその模様をクロストーク形式でお届けする。
株式会社エム・エム・シー 営業部 課長
新園 恵太氏
株式会社エム・エム・シー 営業部 主任
平 太樹氏
株式会社 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 CMIT製品部長
岡 宣明
HP 岡氏:今回は対応PCをご購入いただくだけで、5年間のデータ通信上限なしで使い放題のサービスが利用できる「HP eSIM Connect」の実証実験をおこなっていただいたとのことですが、株式会社エム・エム・シー(以降、MMC)様は普段どのような活動をされているのですか?
MMC 新園氏:私たちは鹿児島県を中心に九州地方で活動をしている企業です。システムインテグレーション、ソリューションプロバイダの両方を主軸としており、ネットワーク構築からセキュリティ、ソフトウェアやパッケージ開発、ICT支援など、ITに関する様々な商品やサービスを提供させていただいております。
鹿児島県という地域を大きく分けると、県北と言われる地域と、錦江湾を挟む形になっている大隅半島、薩摩半島および大小たくさんの離島からなる特殊な地勢があります。各地域の多種多様なニーズに合わせて最適なソリューションをお届けできるよう、日々尽力しております。
HP 岡氏:地域的な特性があるということですが、例えばどのようなニーズがあるのでしょう。
MMC 平氏:私は屋久島や種子島などの離島も担当させていただいているのですが、地域的な特性でいうと台風などの自然災害が多く、そのたびに通信環境が被害を受けてしまうという傾向があります。
たとえば島にある学校でも、インターネットの固定回線がたびたび使えなくなるようなこともありますし、復旧するまで1~2週間かかってしまうことも珍しくありません。通信事業者様も懸命に復旧工事をしてくれてはいるのですが、島全体で被害を受けるような大規模災害では、順番が回ってくるのに時間がかかるようなことも多いのです。
直近の大型台風の際には、復旧まで2週間程度を要しました。そうなると学校の場合は校務に関してもそうですが、PCやタブレットを使った子どもたちの授業もできないということになってしまいます。
地勢的な理由による環境の違いはどこにでもあるが、鹿児島県のように、本土、半島、離島など、様々な環境が点在するエリアではより顕著にその差が現出する
HP 岡氏:自然災害と学校というところでは通信環境の維持が課題なのですね。自治体においてはどのようなニーズがありますか?
MMC 平氏:最近では役場の職員様も外で作業をすることが多いようですし、支所・出張所などの出先機関で作業することも日常的にあります。いままでは役場のパソコンを持ち歩くことができなかったので、出先ではそこにあるパソコンを使うということになっていたようです。
また地域的な特性でもありますが、森の中などの自然環境で調査をしながら、デジカメで写真を撮ってアップしていくようなニーズもあります。
MMC 新園氏:もちろん屋久島などでは通信環境がよくない地域も多いですし、雨が多いなどの気候的な問題もあるので、どこでも気軽に使えるような状況ではないかもしれません。しかし、HPの新しいソリューションである「HP eSIM Connect」が、こうした離島環境ではかなり有効な手段となる可能性があると考えています。
HP 岡氏:今回はここ屋久島でHP eSIM Connectの実証実験をしていただいたそうですね。
MMC 新園氏:HP eSIM ConnectはKDDI様のauの通信を利用するサービスです。以前から、九州はau回線が強いというイメージがありましたし、実際に離島や山間部など、自然の多いエリアでも電波を拾うことができるのでHP eSIM Connectのポテンシャルが発揮しやすいと考えていました。
MMC 平氏:先日、私は「ヤクスギランド」へ行き、HP eSIM Connect対応モデルを使ってみましたが、携帯電話が繋がる箇所では利用することが確認できました。ほかの地域でも観光客が多いエリアでは、KDDI様の努力もあると想像しますが、繋がる傾向が高くなっていると思います。
平氏が確認したヤクスギランド周辺はもちろん、人気スポット「白谷雲水峡」でもHP eSIM Connectは役割を果たしていた。
このような場所でビジネスをするケースは稀だと考えるが、自治体や文教などの組織にとってはPC運用の可能性が大きく広がることが期待できる
HP 岡氏:すごいですね。実際にそのような場所でPCを開いて業務をするということは、それほど多くはないと思いますが、エリアが広がるということはそれだけ可能性が高まるような気がします。逆に、先ほど離島では災害で通信環境が使えないケースがよくあると伺いましたが、どのような理由があるのでしょう?
MMC 平氏:それこそ、電柱が折れて電線が切断されるようなことは珍しいことではありません。ある離島では海底ケーブルが断線し、島全体の通信が途絶した事例もあります。ただし、このときはLTE回線だけは生きていたようで、島内のケータイショップではモバイルルーターの契約が急増しました。
MMC 新園氏:一方で、モバイルルーターが届かなかった地域の、学校の校務やGIGAスクール、自治体の業務は、スマートフォンベースで継続せざるを得ませんでした。もちろん、そのままでは不便極まりないので、HP eSIM Connectによる「自力で通信できるPC」にメリットがあるのではないか、という部分につながってくるのです。
MMC 平氏:観光業が盛んな地域では宿泊施設の予約業務も継続できませんし、お土産屋さんや飲食店ではオンライン決済やPOSなどにも影響があるところも出てきます。そういった意味でも、通信環境は非常に大切だということになります。
また、物理的なSIMカードではなく、eSIMというところもメリットだと思います。どんなに小さいSIMでも抜き差しで壊れることもありますし、ユーザーの扱いによっては故障の原因にもなりかねません。この特長は、私たちがHP eSIM Connectを安心しておすすめできるポイントにもなっています。
HP 岡氏:離島に限らず、災害が起こりやすい地域は日本全国にあります。そういった地域的な特性も踏まえたうえで、HP eSIM Connectをおすすめいただいているのはとてもうれしいですね。
これまでは法人向けの対応モデルとして「HP Dragonfly」シリーズを中心にお届けしてきましたが、AI PC製品群の「HP EliteBook」シリーズからも次々と対応モデルが出てきます。また、Chrome OS、Windows OSそれぞれに対応するGIGAスクール向け端末にも、HP eSIM Connectモデルをラインアップしていますから、自治体、学校、企業など、あらゆる業種の方々に向いた製品でHP eSIM Connectをお届けできると考えています。
例えば、先ほど校務やGIGAスクールにおける学びを止めないということが話題に出てきましたが、ネットワークを公平に利用できるという観点でも、HP eSIM Connectは貢献できると考えています。
災害時などの場合に、先ほどの事例のようにモバイルルーターが手に入ったかどうかで、通信環境に差が出るようなことを少なくしていくことができますし、児童・生徒さんに学ぶ場や機会を公平に提供できるという点でも、役立つのではないかと思います。
HP 岡氏:HP eSIM Connectによって安定した通信環境が整い、外出先でも便利に仕事ができるということは、同時にセキュリティリスクが増えてしまうということでもあります。これに対応するソリューションとして、私たちは「HP Protect and Trace with Wolf Connect」というMDM(Mobile Device Management)をご提案しています。
このサービスを簡単に説明すると、対象のノートPCが外出先で盗難・紛失といった事故にあった際、「探す」「PCをロックする」「データを消去する」といった処理をリモートからおこなうことができるソリューションです。この際、ノートPCの電源が入っていない場合でも利用できるというのが最大の特長となっており、日本国内だけでなくグローバル対応も可能です。
デバイスの管理性が高くなるサービスですが、MMC様ではどのようにHP Protect and Trace with Wolf Connectを捉えていらっしゃいますか?
MMC 新園氏:GIGAスクールはもちろん、様々な校務を遂行していく際にも安定した通信環境は必須ですし、それらは児童生徒だけでなく、職員にも同じことがいえると思います。また、MDMに関してもHP Protect and Trace with Wolf Connectは必要な機能を提供してくれるので安心感につながると思っています。学校では極めて個人的でセンシティブな情報を扱うので、ご説明するとみなさんに興味を持っていただけています。
また自治体についても同様で、拠点以外でPCを使うニーズは増えていますし、機密情報を扱うという意味ではゼロトラストを適用する動きもありますから、より適切なMDMも求められていると思います。
HP 岡氏:お二人は日常的にHP eSIM Connect / HP Protect and Trace with Wolf Connect対応モデルをお使いいただいているそうですが、個人的な感想はいかがでしょう?
MMC 新園氏:私の場合、普段使いはもちろん、今日のような離島の環境に持ってくることも日常的にあります。もちろん、社内のネットワークほどではありませんが、ほとんどの環境で問題ない速度で利用できています。
例えば、弊社が作っているWebのシステムなどを、お客さまの前でデモすることもよくあります。いままではモバイルルーターを使っていたのですが、どうしてもデモ中に接続が切れてしまって、再接続のために説明の流れが止まってしまうようなこともありました。しかし、HP eSIM Connect搭載のPCを使うようになってからは、安定して接続できているため、接続切れを心配するようなケースもなく、安心してデモに集中することができています。
HP Protect and Trace with Wolf Connectに関しては、なるべく使わないに越したことはないと思いますが、万が一の際にこのような機能があるということは非常に安心感がありますね。実際に位置を特定する機能を試したことがありますが、電源が入っていない状態でも都市部ならかなりの精度で表示されましたし、電源が入っている状態ならほとんどの場所で近い位置を示していました。盗難・紛失への初動の対応としては非常に優れていると感じました。
MMC 平氏:私は弊社の中でも最も出張が多いと思います。鹿児島県内はもちろんですが、東京のお客様先に行くこともあるので、どうしても長距離、長期間の出張も発生します。その場合、どうしても荷物が多くなりがちで、なるべく軽量にする工夫が必要になりますが、PCがHP eSIM Connectに対応していると、モバイルルーターを持ち歩く必要がなくなるため、とても便利になったと感じています。
モバイルルーターは大抵の場合、専用の充電器もセットになっていますから、2つのデバイスを減らすことができます。また、これまではモバイルルーターの電源管理も気にしていましたが、その必要もなくなりました。それらから解放された今では、意外とこういった小さな管理がストレスになっていたのだなと実感することができました。これはおそらくテザリングなどでも、同じような感覚があるのではないかと思います。
もうひとつ、弊社ではセキュリティ面からフリーWi-Fiへの接続を禁止していましたが、そのようなエリアでもHP eSIM Connect対応モデルさえあれば、場所を気にせず使えるのは非常に便利だと思います。出張が多い私にとって、HP eSIM Connectはメリットを強く感じることができるソリューションといえます。
HP 岡氏:HP eSIM Connect対応モデルをお客様におすすめする場合、コスト面ではどのような反応がありますか?
MMC 新園氏:丁寧にご説明差し上げるのですが、「その価格だけで本当に使えるのか?」と驚かれるお客様が多いというのが正直なところです。極端な場合は、こちらが1台あたりのお見積りを出したところ、それを本体の費用だけでそれぐらいだと受け取られた方もいらっしゃいました。もちろん、すぐにご説明して納得していただけましたが、「本当に本体価格だけなのですね」と大変驚かれておられました。
すでにご利用いただいているお客様からは、データ通信が快適であることや、月末などの繁忙期でも通信のレスポンスが落ちないなどのポジティブなご意見が寄せられています。そのほか、通信費を少なくとも5年は固定できるというメリットから、予算編成への影響を最低限にでき、なおかつ事務処理の負担軽減にもつながる点をご指摘いただいた企業様もいらっしゃいました。都市部から離島まで、あらゆる環境でPCをフル活用される方におすすめできるソリューションだと思います。
HP 岡氏:様々な角度から調べていただきとても参考になりました。日本は自然に恵まれた国ですが、それだけに様々な条件下で業務にあたっている方も多いと思います。PCを使われるすべてのみなさまにとって、私たちのソリューションがお役に立てるよう、これからも努力していきたいと思います。本日はありがとうございました。
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