2020.02.20

chatbotがなぜ注目を集めるのか?活用される理由とメリットを解説

chatbotはさまざまなシーンで導入されており、気付かないうちに生活のなかへ溶け込みつつあります。ますます進化が期待され、これからが楽しみなツールと言えるでしょう。簡単な問い合わせ対応だけではなく、コミュニケーションや業務の効率化など、アイディア次第でさまざまな活用が可能です。自社のサービス向上や業務改善のため、chatbotの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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「chatbot元年」といわれた2016年以降、各企業や行政のあいだでは、chatbotが急速に普及しています。さまざまな用途やデザインで活用され、今や身近な存在です。なぜchatbotはこれほど注目されているのでしょうか。この記事では、その理由やメリット、導入例などを紹介します。基礎知識についても解説しますので、導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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chatbotとは何か

chatbotとは、テキストや音声で会話を自動的に行うプログラムです。人間が入力するテキストや音声に対して、あらかじめ組まれたプログラムにより、自動的に回答をします。「対話(chat)」と「ロボット(robot)」を掛け合わせた言葉であり、問い合わせなどの作業を代行することが可能です。

chatbotの歴史

chatbotの歴史は意外にも古く、1966年に世界初のchatbot「ELIZA(イライザ)」が開発されました。その後、1997年には、Microsoft Office 97に対話型のヘルプ機能「Office アシスタント」が搭載されます。マスコットが質問に答えてくれるOffice アシスタントには、馴染みのある方も多いのではないでしょうか。さらに2000年代に入ると、2008年NTTドコモの携帯電話にて、ユーザーのサポートを目的とした「iコンシェル」の提供が開始されました。また、それに続くように、iPhone 4Sに音声エージェント機能「Siri(シリ)」が導入されています。

chatbotの種類と仕組み

chatbotは、聞き役をする「Eliza(イライザ)型」、シナリオに従い選択式で会話をする「選択肢型」、登録された単語を利用することで応答する「辞書型」、会話ログを利用し文脈に近い応答をする「ログ型」と、大きく分けて4つのタイプに分けられます。chatbotは、自力で文章を組み立てることはできません。会話のようなやりとりができるのは、あらかじめ登録されているデータベースから回答を選んで返答しているからです。そのため、データベースが充実すればするほど、より多くの質問に答えられるようになり、自然なコミュニケーションが可能となります。

また、入力された文章を分析することで、ユーザーに合わせた返答も可能です。ユーザーが入力した文章からいくつかのキーワードを抜き出せれば、言葉を理解できなくても正しい回答ができます。

chatbotの導入事例

chatbotは、生活のなかでもさまざまなシーンに活用されています。実際の導入事例を一部紹介しますので、導入の検討に併せて参考にしてください。

行政での導入事例

まず、行政でのchatbotの導入事例を紹介します。

【岡山県和気町】AIチャットボットで住民サービスを充実

岡山県和気町では、自動会話プログラム「わけまろくん」を導入し、問い合わせに対し24時間対応が可能となりました。LINEや町のホームページ上で動作しており、利用者の質問に答えてくれる対話型のchatbotです。導入前は問い合わせ窓口が担当ごとに分かれていたうえ、担当職員が直接対応していたため、時間や不在時には十分な対応ができませんでした。導入後には、分かれていた情報を1つにまとめられるようになり、利用者が気軽に情報を手に入れることが可能です。総合的な内容を回答できる自動会話プログラムの導入は、わけまろくんが全国初となっています。

また、AIとインターネットを連携させることで、業務時間に関わらず問い合わせへの対応が可能になる点も期待されています。実際に足を運んだり問い合わせたりしなくても、全国どこにいても気軽に情報を得られる点も魅力です。

【福島県会津若松市】問い合わせへの自動応答サービス

福島県会津若松市では、問い合わせへの自動応答として、対話形式のAIが導入されました。簡単な質問はAIが行うことで、24時間365日いつでも問い合わせられるようになりました。内容としては、休日の診療医療機関の案内、ごみの出し方、収集日、各種証明書や担当窓口の案内などを実装しています。ほかにも、冬季には除雪車の移動軌跡や現在地情報を知らせることで、生活の利便性向上を図っています。情報過多で検索しづらいホームページに比べ、利用者は簡潔に情報が手に入れられるようになり、職員としても対面が必要な用件に集中して対応できるようになりました。

市民アンケートの結果では、80%以上が好意的な反応です。問い合わせ内容や年代などのデータを分析することで、行政サービスの向上へと繋げられるようになるのです。

【福井県永平寺町】AIを活用した観光案内業務の効率化

福井県永平寺町では、AIを使った「観光案内多言語AIコンシェルジュ」が導入されています。永平寺町では、年間100万人を超える観光客が訪れていますが、観光案内所は整っていませんでした。特に外国からの観光客も増加傾向にありましたが、多言語に精通する人材の確保は難しいものです。そこで、多言語対応のAIを活用することで、外国人観光客にも、スムーズな観光案内が可能となりました。タッチパネル操作での質問に対し、音声、画像、文字での回答となります。国内外の観光客に対し、永平寺や観光スポットだけではなく、飲食店や物産展など、おすすめの店舗を表示されるのです。

AIコンシェルジュの導入により、人手不足に対してランニングコストを抑えることができ、分析機能により統計や集計、外部機器との連携もできるようになりました。また、作務衣姿の「小梅ちゃん」というキャラクターを用いることでも、親しみやすさ、使いやすさに繋がっています。

企業での導入事例

続いて、企業でのchatbotの導入事例を紹介します。各企業さまざまな工夫がされていますので、こちらも参考にしてみてください。

【大京】社内ヘルプデスク業務にchatbotサービスを導入

株式会社大京では、業務効率化のため、chatbotを活用した社内ヘルプデスクを導入しました。社員からの過去の質問なども参考にchatbotが自動対話で対応することで、大幅な工数の削減、ヘルプデスクの業務効率化を実現しています。これにより、2017年には公益社団法人 企業情報化協会(IT協会)が主催する「IT賞(激励賞)」を受賞しています。不動産業界では大京が初の受賞です。

【ヤマト運輸】LINEでの荷物問い合わせサービスを導入

ヤマト運輸では、2016年からLINEでの問い合わせサービスを導入しています。メニューボタンのみであった従来の問い合わせ方法から、チャットのような問い合わせが可能となりました。Line上から荷物の状況、宅配便の料金、配達日時や場所の変更などができ、簡単な挨拶などにもパターンに応じた返答をします。また、語尾に「にゃ」を付けた猫語で話しかけると、同じようにかわいらしい返事をしてくれるなど、コミュニケーションとしてのユーモアを盛り込んでいるのも特徴です。

【LOHACO】カスタマーサービス「マナミさん」

通販サイト「LOHACO」では、2014年から問い合わせ窓口の1つにchatbotを投入しています。サービス開始当初はキャラクターなどはおらず、ロゴマークの入ったアイコンを利用していましたが、利用率はさほど伸びていませんでした。その後「マナミさん」という独自のキャラクターを作成して親しみを持たせたところ、chatbotの利用率も増え、問い合わせ以外にも顧客とのコミュニケーションツールにもなっています。また、ユーザーが問い合わせにchatbotを利用することで、本来は人が行う電話対応など、業務効率の改善にも繋がりました。

「マナミさん」は、通常のスタッフ6.5人分もの働きをし、スムーズな業務進行、コストの削減にも一役買っているのです。ユーザーの入力にも「マナミさん」との会話を楽しむものが増え、スマートフォン版、LINE版のリリース後には、よりフレンドリーな関係性を保っています。

chatbotを導入するメリット

実際にビジネスやサービスでchatbotを導入した場合、どのようなメリットが生じるのでしょうか。以下の段落で詳しく解説します。

【メリット1】サポート業務を効率化する

1つ目のメリットは、サポート業務の効率化ができる点です。カスタマーサービスにスタッフを配置している場合、対応できる時間や人数も限られてしまい、なかなか繋がらないなどのクレームへと発展することもあります。そうしたサポート業務にchatbotを取り入れることで、あらかじめ想定される問い合わせ内容と回答を登録し、ユーザーからの問い合わせに対応できます。すぐに返答できる簡単な内容にはchatbotが対応し、問い合わせに割く人材、時間などのコスト削減が可能です。想定されない問い合わせに関しては人間が行い、よりスムーズに業務を進められるようになります。

サポート業務が効率化できれば、その他の業務へ取り組む時間も増え、顧客満足度やサービスの向上、企業の成長も図れます。

【メリット2】顧客とのコミュニケーションを図る

2つ目のメリットは、顧客とのコミュニケーションが可能な点です。SNSやチャットアプリの需要が高まっている現代において、メールや電話での問い合わせは、少し苦手という人も多いです。そんななか、chatbotは特別な操作をすることなく、簡単に素早く解答を得られます。ユーザーにとっては問い合わせのハードルが下がるということもあり、気軽に尋ねられるchatbotの利用機会が増えるでしょう。データの分析や収集を行えば、利用者の傾向や悩み、自社サービスの課題点が見えるようになるなど、マーケティングツールとしても活用できます。

また、コミュニケーションツールとして活用方法を工夫すれば、親しみをもってもらえる、リピーターが増えるなどのメリットにも繋がるのです。現代では、SNSや各種ツールの発展により、各企業とユーザーの距離が随分と縮まりました。ユーザーは自分が好印象を感じたサービスを利用したいと考えるため、chatbotを活用したコミュニケーションでは、新たな顧客の獲得も期待できるでしょう。

【メリット3】顧客離れを防ぐ

3つ目のメリットは、chatbotを導入することで、顧客離れを防げる点です。ホームページだけを利用していた場合、情報量がとても多く、検索に手間がかかります。知りたい内容がなかなか見つけられないと煩わしくなり、検索に疲れた顧客が離れていってしまうケースも少なくありません。欲しい回答がすぐに得られる、わかりやすい、レスポンスの早さなどは、顧客満足度にも大きく影響します。できるだけ顧客離れを防ぐためにも、chatbotの導入は有効です。

オンラインでの利点は、欲しい情報がすぐに手に入る点です。ホームページが見づらい、検索してもうまく表示されないなど、手間が増えれば増えるほど、顧客は他のサービスへと流れて行ってしまうでしょう。

chatbot導入前に考えるべきこととは

chatbotを導入する前に、まずいくつかの点をはっきり決めなければなりません。chatbotを簡単に作成できるツールは多くありますが、ビジネスやサービスへ活用するためには、きちんとした設計開発が必要です。導入前に、以下のポイントをしっかり考えておきましょう。

サービスの目的

1つ目のポイントは、サービスの目的です。顧客や潜在顧客、自社サービスをまったく知らない人など、誰に何の目的で使ってもらうのか、目的を明確にしておく必要があります。サービスの目的をきちんと決めておかないと、いざ作成する段階になってもあやふやなものになり、想像と違っていたというケースにもなり得るでしょう。chatbotなどのAIは「商品を購入してもらう」「問い合わせに答える」など、使用目的により方向性が異なります。chatbotサービスを作る目的・対象を明確にし、ブレがないように決定しておくことが大切です。最初は大まかな設定からでも良いので、少しずつ細部を決定していくようにします。

サービスの内容

2つ目のポイントは、どのような内容でサービスの目的を達成するかという点です。ユーザーの目的は何か、どのようにして目的を達成するかなど、具体的な設計をしなければなりません。買い物をしてほしいという目的であれば、おすすめを表示する、好みに合わせた商品を提示するなどです。内容を決める際のコツは、ターゲットとなるユーザー像を明確に設定しておくことです。年齢や性別などをある程度想定しておくことで、どのような問い合わせが来るのかという予想ができます。この段階では、ユーザーの目的達成を上手に達成するための内容が課題となります。

UXデザイン

最後のポイントは、UXデザインです。重要なのはユーザーの立場に立つという点であり、ホームページやSNSタイプなど、最適なインターフェースを決めましょう。上記のポイントでサービスの目的や内容が明確になれば、それにふさわしいUXを設計します。たとえば、素早く簡潔に情報が知りたいのに、余計な商品の紹介や無駄なやりとりがあっては逆効果になってしまいますし、コミュニケーションを図る目的なのに必要最低限のUXではややそっけなく感じます。目的を解消する内容に対し、綿密な工夫を検討しましょう。

問い合わせなどのやり取りは、顧客と企業がコミュニケーションできる数少ない機会のひとつです。操作の気楽さや親しみやすいやりとり、ユーモアなどにも意識する必要があります。

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