2020.02.18

デザイナーの仕事とは?仕事の種類と年収・キャリアアップのポイント

デザインに関わる業務には多数の職種があり、魅力的な仕事です。ただし、日本ではデザインに対しての評価が充分ではないため、全体的に年収が低い傾向もあって、収入を考えると検討の余地があるのも事実です。そうはいっても、転職や独立などキャリアの選択肢は豊富で、デザイナーとしての市場価値を高めれば年収アップも期待できます。日々のスキルアップを意識しながら、収入条件の良い転職の機会を探ってみるとよいでしょう。

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デザイン関係といっても実際にはさまざまな職種があります。デザイン系の仕事をしていても、デザイナーの仕事とはなんなのか疑問に思うこともあるでしょう。この記事ではデザイナーの仕事のバリエーションと年収を上げるための具体的な方法を紹介しています。これを読めば、デザイナーとしてのキャリアアップを考えるときに大いに役に立つことでしょう。

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そもそも「デザイナー」とは?

狭い意味のデザイナーとは「モノの形」を考える職業と言えます。たとえば、家電などの工業製品や、本や雑誌などの紙媒体、インターネットに掲載するWeb関連メディアなどが主な対象です。これらの領域では、モノそのもののデザインや複数のモノのレイアウトを担当します。さらに、デザイナーのなかには「モノのデザイン」を超えて「コトのデザイン」をする人もいます。モノのデザインが最も効果を発揮するためには、その使われ方までデザインしたほうがよい場合があるのです。このように、デザイナーが活躍する業種や業界は多岐にわたります。そして、それぞれの仕事内容によって求められるスキルやセンスが異なるのです。

ただし、さまざまな違いがあっても、デザイナーとしての共通点はあります。それは「クライアントの要求に応じたデザインを考える」点です。デザイナーと同じようなクリエイティブな仕事に「アーティスト」があります。この両者の違いは、仕事の方向性です。どこにフォーカスして仕事をするかについて真逆の意識を持っています。アーティストは、自分の「内側」を見つめて、自分の可能性を掘り下げていくことで作品を生み出します。自分の心の中を通して世界との関係を探ったり、絵画や彫刻であれば独自の表現方法で作品を作ったりするわけです。

一方で、デザイナーは同じ表現行為でも自分が起点になるのではなく、自分の外にあるクライアントの立場で世界に訴求します。視線は「外側」に向かうのです。自分がよいと思うものではなく、世界が評価するものを目指す必要があるのです。具体的には、クライアントの顧客層やコストなども考慮して、最適なデザインを考えることがデザインという行為であり、デザイナーの仕事と言えます。なお、クライアントの要求を実現することも重要ですが、同時に人が暮らす社会や文化や自然の環境を改善する提案をすることもデザイナーの役割のひとつです。そのためには、世の中がどういう方向に動いているのかを知っておく必要があります。

たとえば「インクルーシブデザイン」というコンセプトがあります。これは、高齢者や障害者や外国人など、これまでデザインの主な対象や従事者とはみなされていなかった人たちを主役に据えようというデザインプロセスです。背景には、社会や文化の成熟や自然環境の変化などがあります。デザイナーの立場としては、これらのテーマについてのさまざまな知識や経験がなければ、インクルーシブなデザインを提案することは難しいのです。このように、デザインの仕事では、従来からのやり方にこだわらず、常にデザイン以外の領域での情報収集に努める必要があります。そして、それをデザインに活かすことで、クライアントだけではなく多くの人々の共感を得られるのです。

人気のあるデザイナーの種類・仕事内容

この段落では、さまざまなデザイン業務のなかから、特に人気のあるデザイナーの種類・仕事内容を紹介していきます。

グラフィックデザイナー

グラフィックデザイナーは、パンフレットや広告などの印刷物やWebサイトに使用する「グラフィック」をデザインする職業です。文字や図形などの視覚的な情報を整理して、情報の収集を容易にしたり、見る人に好意的な印象をもたせるようなレイアウトを提案したりします。一般的な勤め先は、広告代理店や広告制作会社、デザイン会社、企業の広報部や制作部などです。

具体的な仕事の流れとしては、まずクライアントの要望をもとに企画やコンセプトを打ち出します。それに従ってターゲット層に合ったデザインを考案する役割を担うのです。経験が浅いうちはアシスタントとして経験を積むことが多いでしょう。グラフィックデザイナーのなかには、企業で実績を積んだあとに独立するパターンも多くみられます。自身のスキルと経験次第で多様なキャリアアップが可能な仕事と言えます。

Webデザイナー

Webデザイナーは、Webサイトのデザインをしたり、デザインをもとにWebサイトを制作したりする職業です。グラフィック要素のデザインにはPhotoshopやIllustratorなどのソフトを使用するのが一般的ですが、サイトの構築にはコーディングのスキルが要求されます。作業が細分化されていて、実際にはコーディングの担当ではなくても、HTMLやCSS、Javascriptなどについての基本知識は押さえておく必要があるのです。インターネットの利用が一般化した2000年代以降、Webサイトは企業にとって重要な集客ツールになっています。

そのため、Webデザイナーにとってのデザインには2つの重要な期待役割があるのです。まず、PCやスマートフォンのモニター上での効果的な視覚的デザインがあります。次に、ユーザーからのフィードバックを実現するインタラクティブな機能的デザインも重要です。なお、Webデザイナーの就労環境は多岐にわたります。Web制作会社だけでなく、一般企業に所属したり、クライアントを持つ広告代理店にも多くのWebデザイナーが就労していたりするのです。また、フリーランスのWebデザイナーも増えてきており、自由な働き方が可能な職種と言えます。

CGデザイナー

CGデザイナーは、二次元や三次元のCG(コンピューターグラフィックス)を制作する職業です。まず、アーティストやデザイナーが描いたデッサン画をもとに、コンピューターで形状データを起こす「モデリング」作業を行います。そこに、光源や陰影、動きなどを加えてリアルな画像を制作するのです。主な活躍の場は、映画やゲーム、アニメ業界などが挙げられます。また、VR/ARなどの仮想現実を扱う技術の発展とともに、建築業界などでの3DCG制作需要も伸びてきています。会社組織に所属するデザイナーが多いのですが、経験を積んで人脈ができた時点でフリーランスとなるケースも珍しくありません。

UIデザイナー・UXデザイナー

利用者目線でデザインを考える職種に、UIデザイナーとUXデザイナーがあります。表記が似ているので混同されやすいのですが、実際の仕事内容は異なります。まず、UIデザイナーの「UI」とは「User Interface(ユーザーインターフェイス)」の略です。ユーザーと製品やサービスの接点を意味しています。製品やサービスの機能、ユーザーにとって使いやすい製品やサービスのデザインを実現するのがUIデザイナーの仕事です。

一方で、UXデザイナーの「UX」とは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称になっています。UXデザイナーは、ユーザーが製品やサービスにふれた際に得られる体験をデザインするのです。ユーザーの高い満足度を求め、インタビューやマーケティングなどを行いつつ、サービス全体のデザインを手掛けるのが主なUXデザイナーの仕事になります。

DTPデザイナー

DTPは「Desk Top Publishing」の略です。本来は、デザインから印刷までを専門の印刷所を通さずに、自宅のパソコンとプリンターを使って「机の上で」チラシや本などを制作することを意味しています。DTPデザイナーと呼ぶときには、主に印刷用データの制作までを行うデザイナーと考えてよいでしょう。写真、イラスト、文字などについて、作家や他のデザイナーが制作した素材を用いてレイアウトなどを行います。

アプリケーションについては、グラフィックソフトのIllustratorやPhotoshop、編集ソフトのInDesignなどのスキルが求められるのが一般的です。DTPデザイナーは、雑誌、広告、書籍、ポスター、DMなどさまざまなメディアで活躍できます。なお、パソコンが普及して、個別のデザイナーが扱える領域が拡大しているため、DTPオペレーターやグラフィックデザイナーとの区別は曖昧になっているのが現状です。

エディトリアルデザイナー

エディトリアルデザイナーは、紙媒体の編集についてデザインを行う職業です。書籍や雑誌をはじめとして、カタログやリーフレットなど、印刷され、読む人が手に取れる物理的なメディアに関わる仕事と言えます。デジタルメディアと異なり、決まった判型の中に情報をレイアウトするスキルや印刷する用紙についての知識が必要です。就業先としては、主に、発注者側としての出版業界や受注者としてのデザイン事務所などがあります。PCアプリケーションについては、Adobe系のグラフィック及び出版関連のスキルは必須です。

デザイナーの年収の実態

デザイナーの年収については、大手人材サービスdodaのデータによれば、デザイナーを含むクリエイティブ系職種の平均年収は379万円となっています。他の職種と比較してデザイナーの年収は若干低い傾向が見られるのです。諸外国と比べても日本のデザイナーの年収は低めです。理由としては、日本ではデザインの重要性が低く、スキルに見合った年収が支払われにくい業界・企業構造がその要因と考えられます。また、対価を支払う立場の経営側の視点でデザインを生み出せるデザイナーが少ないため、評価が上がりにくいことも影響しているようです。そうはいっても、デザイナーの年収を上げる方法がないわけではありません。

デザイナーとして年収を上げる方法

この段落ではデザイナーとして年収を上げる主な3つの方法について紹介していきます。

年収を上げる方法1・勤務先を変える

年収を上げるためにまず検討すべき点は、デザイナーに高い給料を支払っている企業へ就職することです。デザイン及びデザイナーの価値を軽んじている企業に勤めていても給料は上がりません。転職時のチェックポイントとして、応募先の企業がデザインに対してどのような理念を持っているのか把握することが年収アップの第一歩です。なお、成長が目覚ましい分野の企業への転職もおすすめと言えます。外部から資金を調達している企業は今後の成長も望め、自社のイメージ戦略としてのデザイン領域への関心も高い可能性があるからです。就職支援サービスなどを通して、企業の内情や考え方、伸びしろなどの情報を収集しておきましょう。

年収を上げる方法2・異職種への転職を図る

デザイナーとしての活躍の場を変えるのも年収を上げる有効な方法と言えます。特におすすめなのは、Web系のデザイナーへの転職です。インターネットの普及により、紙媒体のデザイン業務は相対的に減少傾向にあります。一方、Web系デザイナーの需要は高まっていて、慢性的な人材不足が続いているのです。DTPデザイナーであれば、共通のアプリケーションスキルがあるため、Webデザイナーへの転職など、活躍の場を変えてスキルアップする人も多いと言えます。

Web業界は比較的若い企業が多く、即戦力となる人材が求められているため転職に成功しやすいのです。デザイナーとしてのステップアップを目指すのであれば、Webデザインのスキルにフォーカスしましょう。仕事の幅を広げつつ、キャリアアップのチャンスも獲得できる可能性が高まります。

年収を上げる方法3・フリーランスになる

デザイナーは企業から独立してフリーランスになる人が多い職種のひとつです。スキルや状況によっても異なりますが、正社員時代よりも年収が1.5~2倍になるケースもあります。特に、もともと副業をしていた人は独立後も年収が上がりやすい傾向がみられます。ただし、フリーランスを経験後「収入が安定しない」「仕事が貰えない」といった理由から正社員に戻るパターンも多いのも事実です。

フリーランスになると、デザイン業務だけでなく営業や会計処理も自分で行う必要がでてきます。業務が増えることでスキルアップの時間的な余裕がなくなり、仕事が減ってしまうといった悪循環に陥るケースは珍しくないのです。そのため、フリーランスになる際は、デザイナーとして十分な経験とスキルを身につけておくことが前提と言えるでしょう。

デザイナーが転職や独立に成功するには?

デザイナーの転職や独立には準備が不可欠です。ここでは、成功するための具体的なポイントを解説していきます。

転職する場合は各種支援サービスを活用する

転職活動をする際には、デザイナーの求人が充実している転職サイトや転職エージェントを活用するとよいでしょう。転職サイトでは、データベース上で公開されている求人を自ら探して応募する必要があります。また、転職エージェントなら担当のキャリアアドバイザーに求人情報を紹介してもらえます。登録しておけば、企業からオファーが届く場合もあるため、転職の可能性が広がるのです。

ポートフォリオを充実させる

デザイナーが転職する際にまず準備する必要があるものは、自身のポートフォリオです。ポートフォリオはいわゆる作品集のことで、デザイナーとしての実績やスキルをアピールするために作成します。デザイナーの転職活動では、履歴書だけでなくポートフォリオの提出を要求されるのが一般的です。ポートフォリオに載せるための経験が乏しい場合は、クラウドソーシングなどを通して実績を増やしておきましょう。クラウドソーシングとは、デザインなどの仕事の仲介を行っていて、自分のスキルにあった仕事を無理なく探すことができるサービスです。

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