【Blender】スーパーリアルなCG表現に定評あるKazuyaさんがHP製クリエイター向け高性能PCを検証。オリジナル創作にこそ、高性能PCが必須な理由とは?

【Blender】スーパーリアルなCG表現に定評あるKazuyaさんがHP製クリエイター向け高性能PCを検証。オリジナル創作にこそ、高性能PCが必須な理由とは?
【Blender】スーパーリアルなCG表現に定評あるKazuyaさんがHP製クリエイター向け高性能PCを検証。オリジナル創作にこそ、高性能PCが必須な理由とは?

今夏に新発売となったHP Z2 Tower G1iは、日本HPの高性能PCに位置づけられているワークステーション「HP Z」シリーズのミドルタワー型ワークステーションである。最新のインテル® Core™ Ultra 9 プロセッサーまで搭載することが可能であり、AI時代に最適化されているほか、熱処理と消費電力への高い耐性を有していることが特徴である。

今回はフォトリアルで高精細なCGグラフィックに定評あるBlenderアーティスト Kazuya氏に、HP Z2 Tower G1iの実力を試してもらった。

ハイパフォーマンスだけではなく、正確に処理できることや長時間使っても一定のパフォーマンスを保ち続けられるというワークステーションの特性が、3DCG創作にどのような恩恵をもたらすのか、紹介しよう。

※本記事はVookにて掲載されたものです。

Kazuya Ohyanagi
Kazuya Ohyanagi
  • CG業界から商業作品に携わった後、独立。現在は少人数で制作するオリジナル作品にこだわり、大規模化・商業化・消費化が進むコンテンツ業界において、新たな価値と体験を模索している。現在、オリジナルショートフィルム『ARIADNE』を制作中。
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  • Instagram:@kazuyaohyanagi

まずは、今回Kazuya氏にレビューしてもらうHP Z2 Tower G1iの特徴を紹介したい。

本製品は、再設計されたシャーシの格子構造による排熱口によって、CPUの電力および冷却性能が前モデル比で約67%向上。最大構成時には、24コアのインテル® Core™ Ultra 9 プロセッサー(Kシリーズを含む)と128GBのメモリを搭載できるのに加え、GPUは、最新世代BlackwellアーキテクチャのNVIDIA® GeForce RTX™シリーズを選択できる。

HP Zシリーズの中核を成す、高性能&多用途ワークステーションだ。

HP Z2 Tower G1i WorkstationデスクトップPC
HP Z2 Tower G1i WorkstationデスクトップPC
HP Z2 Tower G1i WorkstationデスクトップPC
Intelアイコン
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近年、CG・映像制作においてもハイスペックのゲーミングPCが用いられることが増えている。そこでぜひ知ってもらいたいのが、「ワークステーションとはどのような目的で誕生したコンピュータか?」ということ。

結論から言うとワークステーションとは、設計や製造、高度な映像制作といった専門性の高い業務を、5年などの長期にわたって安定して高いパフォーマンスを発揮できるように開発・設計されたコンピュータのことである。

ワークステーションは、3DCGや映像制作など、業界標準のソフトウェアのISV認証(アプリケーションの動作保証)を受けていることも大きな特徴である(詳しくは、こちら)。

ここからは、Kazuya氏へのインタビュー形式でお届けする。まずはKazuya氏が3DCG創作をはじめた経緯や、現在制作中のオリジナルアニメーションへ込めた思いなどを聞いた。

Kazuyaさんは2021年からBlenderによる3DCG創作を始められましたよね。当時は、17歳の高専2年生ということにも驚かされましたが、3DCGを始めたきっかけはどんなことでしたか?

Kazuya

高専(高等専門学校)へ入学したのは、アイアンマンのスーツを実際に作りたかったからでした(笑)。そこで高専のロボティクスコースへ入ったものの、2020年に起きたコロナ禍で活動が大きく制限されてしまいました……。

そこで物理的なスーツではなく、3DCGで作ろうと思ってBlenderをさわり始めました。何の気なしにYouTubeを見ていたら、Tom StudioさんのBlender初心者向けチュートリアル動画に出会って、試しに始めてみたらあっと言う間にのめり込みました。

電子工学と3DCG創作には何か相通じるものがあったとか?

Kazuya

そうですね。子どもの頃から工作が好きで、よく段ボールや厚紙を使って何かを作っていました。そこから転じてのアイアンマンのスーツだったわけですが、3DCGは物理法則に基づいていて、しかも素材と空間は無限にあるところに惹かれたのだと思います。

Kazuyaさんの3DCGアートは、フォトリアルなSF表現が多い印象ですが、アイアンマン以外にも影響を受けたクリエイターや作品はありますか?

Kazuya

そこはやはり、Ian Hubert/イアン・ヒューバートの存在が大きいです。VGT2024のセッションでもお話しましたが、彼のオリジナル短編『DYNAMO DREAM』に衝撃を受けて、自分でもリアリズムに基づいた表現を志向するようになりました。

▲ Ian Hubert “DYNAMO DREAM” Ep1

Kazuyaさんは昨年からオリジナルCGアニメーションの制作に取り組まれています。昨夏のVGT2024セッションから1年ほど経ちましたが、その後の進捗はいかがですか?

Kazuya

18歳で上京してプロのデジタルアーティストとして活動を始めてから、基本的には自己完結型で3DCG制作を行なってきました。

そのため、スタジオを起ち上げて他のクリエイターと共同で制作を行うとは、どのようなことなのかわからないまま見切り発車で始めたところがありました(苦笑)

また、オリジナル作品には映像自体の表現力だけでなく、ストーリーや演出面など、まさに作家としての力量が様々なかたちで求められることも痛感しました。

Blenderを始めて間もない頃は、Blenderスキルを上達させることでクリエイターとしても成長できると思っていたところが正直ありました。でもそれではなかなか思うようにいかなくて……どうやったら自分の尊敬しているクリエイターや映画監督のようになれるだろうか、と考えるようになりました。

そのためにはまず同じ視座に立てるだけの蓄えと思想が必要だということに気づかされました。

▲ Kazuya氏は2024年からオリジナルアニメーション『ARIADNE(アリアドネ)』の制作に取り組み続けている

なかなか奥深い話ですね。語弊を承知で、Kazuyaさんが納得できるオリジナル作品を創り出すためには、Blenderを使った3DCGスキルだけでなく、映像作家としてのアイデアやストーリーテリングの力を鍛える必要があると考えたわけですね。

Kazuya

そうですね。『ARIADNE』は2024年中の完成を目指していたのですが、仕切り直すことにしました。そして、今年の前半は自分を見つめ直す時間に充てました。

今という時代は、相応の意欲をもって努力をすれば色々なものをすっ飛ばしてプロとして活動できるチャンスが高まっていると言えます。

自分も17歳で上京して、がむしゃらに3DCG映像を作り続けてきました。ですが、作家性を高める上では、まず自分の中にある感覚に目を向け、そこを通して見える世界に自分は何を思うのかということにとにかく集中していく必要がありました。

コスパやタイパといった言葉を見聞きする機会が増えましたが、映像制作のようなクリエイティブな活動は、そうした考え方が悪い方向に作用する恐れがありますよね。2025年の前半はどんな活動をされていたのですか?

Kazuya

まずは自分自身としっかりと向き合って、自分は映像作品という表現を持ってして何を伝えたいのか、何を伝えるべきか、それからどんな感覚を味わってほしいのか、観た人にはどんな明日を迎えてほしいのか、といったようなことをとにかく考え続けていました。

そのためにはまず、自分の思想を固めていく必要があって、自分と近しい考え方から遠い考え方、様々なものに触れて、それに対して自分はどうあるのか、どうありたいのかを明確にしていきました。その過程では、様々な文献を読みあさりました。

また対外的な活動ても、Awwに勤めていた頃から知っていただいて、気にかけていただいているプロデューサーさんに「アヌシー国際アニメーション映画祭2025」に誘っていただけたのは本当に貴重な経験になりました。

アヌシーとは、すごいですね! 詳しく教えてください。

Kazuya

毎年アヌシーで併設されるMIFA(Marché international du film d’animation)にて、こむぎこ2000さんたちが設立されたstudio ALBLEが協力するかたちで、VIPO(映像産業振興機構)が日本のインディーアニメとクリエイターを紹介するための展示を行なったんです。それに応募したところ、採用してもらえました。

▲ Kazuya氏は「アヌシー国際アニメーション2025」併設のMIFAにおけるVIPOの国産インディーアニメとクリエイターを紹介するブースに参加。『ARIADNE』ティザー映像も上映された

様々なインプットを行われたようですが、国際的なアニメーション映画祭への参加はひときわ貴重な経験になったのでは?

Kazuya

とても良い経験でした。日本とは全然違う風土で、息づいている空気感もまったくちがうものがあったし、世界中の人と交流できたのは本当に楽しかったです。特にAlarikoという絵描きと会ってずっとふたりで絵を描いている時間が一番幸せでした。

ちょうど同じ頃『ARIADNE』についても、「カレイ人」という魚のカレイに着想を得たキャラクターをつくっていました。

Kazuya

カレイやヒラメなどは偏側眼類というんですが、幼魚では通常の魚と同じように地面に対して垂直に泳ぎますが、成魚になるにつれだんだん目が片側に寄っていって、横向きに泳ぐようになるんです。

この特徴は大人になるにつれ偏見に塗れていく人間そのものだなと思って……あと、あえてカレイを選んだのは「加齢」ともかけています(笑)

まだ詳しくはお話できませんが、『ARIADNE』はSF路線からファンタジー路線へとシフトする計画です。そして、物語のテーマは「感覚の喪失」に重きを置こうと考えています。

遠回りしたかもしれませんが、自分の中では骨子が出来上がっているので、まずはシナリオとコンセプトワークから着手して、15分ぐらいの短編として完成させたいと思っています。

カレイ人のBlenderシーン
カレイ人のBlenderシーン
カレイ人のBlenderシーン

今回は再始動した『ARIADNE』の作業データを使って、HP Z2 Tower G1iを検証していただきました。まずは、第一印象からお聞かせください。

Kazuya

レンダリング中でもすごく静かで、余裕というか頼もしさがありますね。

前面のメッシュ構造など、デザインも洗練されていますよね。個人的にハイスペックのPCは、真っ黒だったりと無骨なデザインの筐体が多い印象ですが、HP Z2 Tower G1iは、エッヂがラウンド形状に仕上げられていたりと、こだわりを感じました。

HP Z2 Tower G1i Workstation
HP Z2 Tower G1i Workstation

<今回の評価機>

HP Z2 Tower G1i Workstation

OS Windows 11 Pro(64bit版)
CPU インテル® Core™ Ultra 9 プロセッサー 285K(24コア)
GPU NVIDIA® GeForce RTX™ 5090
メモリー 192GB(DDR5)
ストレージ 2TB(M.2 SSD ×2)
外形寸法 175(W)×426(D)×388(H)mm(本体のみ)
重量 約8.6Kg(標準構成時)

※GeForce構成は各種お問い合わせへご連絡ください。

パフォーマンスの検証内容について教えてください。

Kazuya

僕は、フォトリアルなどハイディテールのCG表現にこだわってきました。それは今でも変わっていないので、今回は『ARIADNE』の世界観で乗客のいる電車内のシークエンスを作って、普段使っているMacBook Pro(M3 Max)とHP Z2 Tower G1iとで、レンダリング速度を比べてみました。

※比較は2025年10月6日現在の映像で実施

『ARIADNE』の電車内シークエンス(2025年10月27日現在)

窓から見える街並みも情報量の多い都市景観ですし、さらに車内にはハイディテールのキャラクターモデルが多くいるから、レンダリング負荷はかなり重そうですね。

Kazuya

電車って、色々な作品で描かれていますがアニメの場合は、吊り革が揺れていなかったり、作画の場合は表情などのディテールは省略されることが多い印象です。

CGで乗客がちゃんと乗ってる電車をフォトリアルに表現するとなると、考えるだけで苦しくなります。

これは2Dアニメにおける作画を蔑むわけではないですが、2Dなら愚直に描いていけば、紙に収まりさえすればなんとか完成できます。それでも死ぬほど大変な労力ですが...

ただ3DCGではメモリや処理能力など、機械的な限界があって、これが一番のボトルネックなんです。どれだけがんばって乗客や背景、プロップなどをつくったとしてもPCに「これは重すぎてレンダリングできません」と、言われれば(マシンが落ちてしまったら)そこで終わってしまう。だからみんなやりたがらないのだと思いますが、私は個人で自分の作品なので好き勝手やれるし、何より、現実に対して敬意を持つ意味でもそういったところは妥協したくないんです。

そういう部分をPCの性能を言い訳にやらないとか、そういうことをしていくとどんどん説得力のない作品になってしまうので、とにかくそういった部分に今回もとことんこだわることにしています。

その意味では、今回お借りしたHP Z2 Tower G1iは自宅にあるどのPCよりもハイスペックだったので、そういった限界への心配をあまりせずに済みました。

Kazuya

CPU処理とGPU処理のそれぞれ測定したところ、CPUでは普段使っているMacBook Proは1フレームあたり4分34.45秒だったのに対して、HP Z2 Tower G1iは3分31.81秒と約130%高速化することができました。

このシークエンスは150フレームなので、トータルのレンダリング時間としては2時間37分ほどの差になります。

3DCG作業はどれだけトライ&エラーをくり返すことができるのかによって最終的なクオリティが大きく変わってくるので、この差はとても大きいと思います。

レンダリング時間の比較(CPU処理)※比較した映像は2025年10月6日現在
レンダリング時間の比較(CPU処理)※比較した映像は2025年10月6日現在
レンダリング時間の比較(CPU処理)※比較した映像は2025年10月6日現在

GPU処理の結果も教えてください。

Kazuya

GPU処理では、MacBook Proが1フレームあたり46.02秒なのに対して、HP Z2 Tower G1iは14.3秒と、3倍以上も高速という結果でした。

おそらくMacBook Proはユニファイドメモリを採用しているのに対して、HP Z2 Tower G1i(Windowsマシン)の場合は搭載したGPUのVRAMに依存する仕様になっていることが大きいのではないでしょうか。

今回、HP Z2 Tower G1iに搭載されていたNVIDIA RTX 5090のVRAMは32GBもあるので、今まで以上にハイディテールな表現にチャレンジできると思いました。

この満員電車シークエンスも、キャラクターの数だけではなく、各キャラクターごとに衣装のテクスチャや、スマホやイヤホンなどのプロップも作り込んでいるので、VRAMが増えたことはすごくありがたいですね。

レンダリング時間の比較(GPU処理)※比較した映像は2025年10月6日現在
レンダリング時間の比較(GPU処理)※比較した映像は2025年10月6日現在
レンダリング時間の比較(GPU処理)※比較した映像は2025年10月6日現在

確かなパフォーマンス向上を実感されたとのことで良かったです。最後に、HP Z2 Tower G1iの総評をお聞かせください。

Kazuya

情報量の多いCG表現をつくりたいクリエイターにはとても魅力的だと思います。

特に僕のようにオリジナル作品に取り組む場合は、CG実作業だけでなく、自分や世界と向き合う時間であったり、作品の中身の部分を考える時間がとにかくたくさん必要になります。

(手前)HP Z2 Tower G1i/(奧)Kazuya氏のレンダリング用Windowsマシン(GeForce RTX 4090搭載BTOをベースに、ケースを換装)。HP Z2 Tower G1iは、ミドルタワーというコンパクトさとハイパフォーマンス、静音性、堅牢性、そして拡張性を兼ね備えている
(手前)HP Z2 Tower G1i/(奧)Kazuya氏のレンダリング用Windowsマシン(GeForce RTX 4090搭載BTOをベースに、ケースを換装)。HP Z2 Tower G1iは、ミドルタワーというコンパクトさとハイパフォーマンス、静音性、堅牢性、そして拡張性を兼ね備えている
(手前)HP Z2 Tower G1i/(奧)Kazuya氏のレンダリング用Windowsマシン(GeForce RTX 4090搭載BTOをベースに、ケースを換装)。HP Z2 Tower G1iは、ミドルタワーというコンパクトさとハイパフォーマンス、静音性、堅牢性、そして拡張性を兼ね備えている

できるだけ短時間で作業を済ませられる。しかも、長時間使い続けても安定して高いパフォーマンスを発揮してくれるワークステーション「HP Z2 Tower G1i」は、クリエイターにとって頼もしい道具だと思いました。

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