大阪・関西万博『GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION』のVRコンテンツ制作に不可欠だったHP Z6 G5 A Workstation

2025年の大阪・関西万博。その会場の中でも連日人気を誇ったのが、株式会社バンダイナムコホールディングスが出展した「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」だ。

宇宙での暮らしや、まだ実現していない科学技術など、ガンダムシリーズが描いてきた未来の世界を現実の場で先取りし、新たな可能性として提示する。そんな壮大な没入型コンテンツとして設計された本パビリオンは、来場者に未来を体験させる場所となった。

会期を通じた来場者数は100万人を超え、「大人も子どもも楽しめた」「新しい未来を考えるきっかけになった」「ガンダムの世界観に触れられて感動した」「スケールと没入感に圧倒された」といった声が数多く寄せられた。ガンダムファンはもちろん、幅広い世代に圧倒的なガンダム世界の没入体験を届けたその舞台裏には、HPの最新ワークステーションが存在していた。

なぜ「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」のコンテンツ制作において、日本HPのワークステーションが不可欠だったのか。制作現場でモデリングおよびテクニカルディレクションを担当した株式会社バンダイナムコフィルムワークスの森田氏と、機材の選定や導入などIT基盤を支えた黒角氏に話をうかがった。

森田 彗斗氏(左) 本件のテクニカルディレクターをご担当 IP制作本部 制作部 制作クリエイション課 CGデザイナー 黒角 隼平氏(右) 本件のワークステーションの選定・導入をご担当 コーポレート本部 IT戦略部 デジタル開発課
森田 彗斗氏(左) 本件のテクニカルディレクターをご担当 IP制作本部 制作部 制作クリエイション課 CGデザイナー 黒角 隼平氏(右) 本件のワークステーションの選定・導入をご担当 コーポレート本部 IT戦略部 デジタル開発課
森田 彗斗氏(左) 本件のテクニカルディレクターをご担当
IP制作本部 制作部 制作クリエイション課 CGデザイナー

黒角 隼平氏(右) 本件のワークステーションの選定・導入をご担当
コーポレート本部 IT戦略部 デジタル開発課

「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」のコンテンツ制作には、検証期間を除き約1年間という長い時間が費やされた。 その理由は、万博という舞台にふさわしい、かつてないリアルでイマーシブな360度映像を追求したからだ。

しかし、VR/XRヘッドセットのような機器を使わず、同じ会場にいるすべての来場者が“新たな宇宙世紀”や“モビルスーツと共存する未来”を体感できる360度映像を開発するのは、非常に難易度が高かった。とくにCGのレンダリングには膨大な時間がかかるようになったという。

森田氏

通常のアニメーションコンテンツ制作時よりも3Dモデルの表面に貼るグラフィックであるテクスチャーの枚数が格段に増えたのです。モビルスーツによっては100枚以上となり、そのデータ量だけで数GBを超えたんですね。背景として動くものならテクスチャーを低解像度にしたり、枚数を減らすこともできますが、体験者の眼前にまで迫るガンダムとジオングに関しては、その迫力を感じていただくためにもクオリティを下げられません。また、大きな画像で映し出されるため、画像の歪みも最小限にする必要があります。そこで新しいワークステーションの導入をお願いしました。

森田 彗斗様
森田 彗斗様

制作では、Autodesk 3ds Maxでモデリングを行い、Unreal Engineで映像出力を担うレンダリングを実施。制作開始から半年が経過した頃、従来マシンではレンダリング中にVRAMが不足し、仮想メモリも使い果たし、GPUエラーで落ちるトラブルが頻発した。

このままでは、期日内に目標のクオリティを達成できない。そこで、急遽作業マシンの導入を決断することになる。

黒角氏

制作チームと打ち合わせをして「このままではスペックが足りなくなる」という話になったときに、まず20年近く、おつきあいのある日本HPにご相談しました。CPU、GPU共に、コンシューマー向けから業務用のパーツに至るまで、彼らは自分たち以上の知見を持っていると感じています。リアルタイムレンダリング系のコンテンツ制作を支えてくれる機材選定に関してのノウハウも有しているため、「この要件を満たせるものはどんな製品ですか」と尋ねたんですね。

バンダイナムコフィルムワークスでは、以前からHP製ワークステーションを導入してきた。その性能と耐久性に対する信頼は厚く、「新しい表現の制作にも適した機材を提案してもらえるはず」という期待もあったという。

黒角氏

特別な機材の検証も行っているはずだという安心感がありました。だからこそ、より良い連携ができると思ったんです。

今回導入されたのは、HPの最新ワークステーションZ6 G5 A Workstation。その仕様は以下の通りだ。

モデル名 HP Z6 G5 A Workstation
CPU AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7995WX 96-Core
メインメモリ 384GB
GPU NVIDIA RTX 6000 Ada Generation(48GB VRAM)
ストレージ M.2 SSD 2TB

選定の主眼は、まずVRAM容量にあった。VRAM24GBでも「ガンダムやジオング登場シーンのレンダリングでは一瞬でなくなる」(森田氏)ということがわかっていた。48GBでもギリギリというライン。そこで現実的な選択肢としてNVIDIA RTX 6000 Ada Generationを搭載したマシンとなった。

黒角氏

Unreal EngineのマルチGPU活用も検討したのですが、電力、ひいてはブレーカーの容量が足りないという現場の現実が壁となったんです。1台のマシンでここまでの電力しか使えないという制限があるなか、最高のパフォーマンスが期待できるGPUは何かと日本HPと相談を重ねたところ、NVIDIAの最新GPUならいけそうだ、ということがわかりました。

黒角 隼平様
黒角 隼平様

GPUありきで機材を選定したところ、対抗馬となったのはHP Z4 G5 Workstationだったが、結果としてHP Z6 G5 A Workstationに軍配が上がった。決め手となったのはCPUの存在だ。

森田氏

以前にAMD Ryzen™ Threadripper™を使ったことがあったこと、そしてCG質感設定の複数処理を担うシェーダーコンパイルのことなどを考えるとCPUのコア数が多いほうが使いやすいだろう、という考えからAMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7995WX 96-Coresが搭載できるHP Z6 G5 A Workstationを選びました。

レンダリング中にエラーを起こさず最後まで動いてくれる信頼感を最優先。管理作業時の速度なども考慮してシングルコア性能の高さを次点としたが、今回はAMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7995WX 96-Coreを選んだという。AMD Ryzen™ Threadripper™シリーズは本来マルチコア性能を高めたCPUだが、「結果として十分な性能を発揮してくれた」(森田氏)。

黒角氏

VRAMは48GBまでとするかわりに、メインメモリを多く搭載するという仕様にしました。

森田氏

メインメモリに関しては256GBでは足りないかもしれない、しかし512GBまでは使わない、ということで、384GBにしました。

森田氏が「現場で求められるスペック」を提示し、黒角氏が「実現可能な形に落とし込む」。その二人三脚があったからこそ、HP Z6 G5 A Workstation導入は実現した。

HP Z6 G5 A Workstationの高い性能によって、制作環境は大幅に改善した。いくつか特徴的なエピソードを教えていただいた。

森田氏

Unreal Engineで作業をしていると時々シェーダーコンパイルのプロセスが入るのですが、HP Z6 G5 A Workstationだと一息つく間もなく終わって驚きました。タスクマネージャーを見ると、AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7995WXの96コアが全部一気に働き始めるんですよね。AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO 7995WX 96-CoresならUnreal Engineのポテンシャルを100%まで引き出せますね。

制作したシーンを確認するときも、CPUとGPUのパワーが活きている。

森田氏

また、数百ものモデルを読み込むような重たいシーンでもスイスイと動く。以前のマシンだとカクカクとしか動かず、フレームレートの低い状態でプレビューせざるを得ませんでした。そのため、画面を見続けていると3D酔いが起きたり、目が疲れて作業を中断せざるを得ないこともあったんです。HP Z6 G5 A Workstationでは、映像がリアルに近い状態でスムーズに再現される。プレビューを確認しながら、同時に別のアングルを試したり、別の作業を進めたりもできるようになりました。いわば「考える」「試す」「直す」が一続きでできる環境です。結果として、作業効率が大幅に上がり、集中力も長く維持できるようになりました。目の疲れも軽減され、終日作業しても快適に進められています。

HP Z6 G5 A Workstation
HP Z6 G5 A Workstation

思いついた瞬間に動ける、新しい制作テンポも生まれたという。

森田氏

従来の環境ではどうしても待ち時間が発生してしまい、そのたびに集中が途切れてしまうことがありました。頭の中で次の手順を思い描きながら作業を進めていくので、処理が終わるのを待つ間にその流れが途切れてしまうと、再び集中状態に戻すのに時間がかかってしまうんです。でもHP Z6 G5 A Workstationに変えてからは、そうした待たされる時間がほとんどなくなりました。思いついた瞬間にすぐ操作できるので、アイデアを頭の中で保持したまま、次々と試せる。結果として作業のテンポも良くなり、ミスも減りました。

あまりにも快適すぎて「自分でもAMD Ryzen™ Threadripper™ 搭載マシンを買ってしまいました」と森田氏は笑う。それだけ、トップの世界で活きるクリエイターの心を掴んだテクノロジーということだ。

改めて記すが、大阪・関西万博「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」は、未来を描くガンダムの世界を、現実の来場者に体感させてくれた場だ。その裏側には、新しい表現に挑み続けるクリエイターたちと、それを支える堅牢なハードウェアの姿があった。

HP Z6 G5 A Workstationがあったからこそ、世界中の人が来場する万博という場を盛り上げるコンテンツが完成した。

森田氏

GUNDAM NEXT FUTURE PAVILIONのコンテンツのなかには、これまでガンダムの世界でライバル的に扱われてきたジオン公国軍の機体「オッゴ」と地球連邦軍の機体「ボール」をあえて一緒に飛ばしたり、私の一番好きなメカであるサラミスを全力でモデリングし、監督にお願いして出させてもらいました。そのどちらの工夫にも気づいてくださる方がいて、とてもうれしかったですし、クリエイターとして励みになりました。

そして森田氏は「HP Z6 G5 A Workstationを導入しなかったらコンテンツ制作が不可能だった」と語った。

森田氏

今回の万博パビリオン向けの映像制作では、本格的にUnreal Engineを活用しました。以前VRの作品を作った経験もあったため、そのときの経験を活かして今回の万博では長尺、高解像度のリアル質感、通常の映像ではない360度映像という多くの挑戦をすることができました。

そして、その挑戦を支えてくれたのが今回導入したHP Z6 G5 A Workstationです。おかげで安心して制作を進めることができました。

今後も機会があれば、ぜひ新たなリアルタイム映像制作にチャレンジしていきたいですね。

対談風景
対談風景

未来の技術を描き出す舞台の背後には、現実の最先端テクノロジーが静かに息づいていた。そしてそのテクノロジーがまた、バンダイナムコフィルムワークスの力となって、さらに新しいコンテンツが作られていく。2026年1月30日に公開されるシリーズ最新作、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケ―の魔女」』にも注目だ。

集合写真
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