2024.12.19
建築業界に関連する最新技術やソリューションなどの展示、業界著名人のセミナーが開催されるイベント「Archi Future 2024」が2024年10月24日、TFTホールにて開催された。BIM、点群データ、VR等、デジタル化が激しい業界だけに、今年のトレンドを探ろうと会場には多くの人が訪れた。もちろん、このイベントにはHPも参加。今年もワークステーションを中心としたソリューション展示で会場を盛り上げた。今回はブースの模様を中心にその内容をお届けしたい。
建築業界においてもDX推進の流れは激しく、各企業はデジタルテクノロジーを使って業務効率化や生産性向上を達成しようと、最新情報の収集を続けている。有明にあるTFTホールで開催されたArchi Future 2024は、最先端のテクノロジーが集結するイベントとなっており、会場には大勢の来場者が押し寄せる中、HPブースには多くの人が足を止めていた。
HPブースでひときわ目立つのはやはりワークステーションだ。建築におけるワークフローのほとんどでデジタルツールを活用している建築業者にとって、それらを快適に操作するためのプラットフォームであるコンピューターは重要な存在だ。HPのワークステーションは、パフォーマンスや品質はもちろん、各企業の規模や環境に合わせて最適なラインアップが選択できるのが魅力だ。
「BIMでご利用いただく、モバイルワークステーションや、デスクトップ型のHP Z1 Workstation、HP Z2 Workstationから、現在幅広く浸透している点群データの解析にも使えるパワフルなHP Z4 Workstation、HP Z6 Workstation、HP Z8 Workstationなど、あらゆる企業のニーズを満たす豊富なラインアップがあります」と新井氏。
左からHP ZBook Power G11、HP Z1 Tower G9 Workstation、HP Z6 G5 A Workstation
―― モバイルワークステーション
モバイルワークステーションの注目モデルは、「HP ZBook Firefly 14 G11」そして、「HP ZBook Power 16 G11/G11 A」だ。
HP ZBook Firefly 14 G11は14インチディスプレイ採用モデルで、グラフィックスにNVIDIA RTX A500ラップトップGPUが搭載可能。薄型軽量でありながら、BIMに十分な性能を実現したモデルだ。プロセッサーは、NPUを搭載する「インテル® Core™ Ultra 7/5 シリーズ」が選択できる「G11」と、同じくAI処理効率を最適化する「AMD Ryzen™ PRO 8040 シリーズ」を搭載する「G11 A」がある。さらに16インチディスプレイを採用するインテル® プロセッサーモデルのHP ZBook Firefly 16 G11もラインアップされている。
ディスクリートグラフィックスにNVIDIA RTX 3000AdaラップトップGPUまで選択できるモデルもあり、3Dワークフローやレンダリング、シミュレーション、データ分析まで対応可能な実力を持ったモバイルワークステーションになる。こちらも「インテル® Core™ Ultra 9/7/5 シリーズ」を搭載する「G11」と、「AMD Ryzen™ PRO 8040 シリーズ」が選択できる「G11 A」がラインアップされている。
「BIMのモデリングを中心に作業するならHP ZBook Firefly 14 G11でも十分対応可能なので、軽さを活かしたフットワークの良さを体験していただけます。意匠設計やCG制作、レンダリングまで対応ということでしたらHP ZBook Power G11/G11 Aの人気が高いですね。ハイエンドのグラフィックスがノート型のワークステーションで選択できるのは魅力です」と新井氏は解説する。
現場や客先へ出向いた際に使うコンピューターに最適なモデルから、デスクトップに匹敵するハイパフォーマンスなスペックでありながら、オフィスにこだわらず、どこでも使えて生産性も高められるモデルまで揃っているのがHP ZBookシリーズの魅力といえる。
―― デスクトップワークステーション
デスクトップモデルの注目は、グラフィックスにNVIDIA® GeForce RTX™ 4060や4070 Superが選択できる「HP Z1 Tower G9 Workstation」や、ミニ筐体、スリム筐体、タワー筐体など、設置場所に最適なデザインが選べる「HP Z2 G9 Workstationシリーズ」などで、幅広い使い方が可能なエントリーモデルが相変わらずの人気となっていた。
そんな中、この日、来場者からの質問がもっとも多かったのが、「HP Z6 G5 A Workstation」だ。このモデルはプロセッサーに「AMD Ryzen™ Threadripper™ PRO」を採用し、最大96コアによる高い処理能力を実現しているのが特長。グラフィックスには「NVIDIA® RTX™ 6000 Ada」を最大3基搭載することが可能で、GPUを使った演算処理においてもサーバクラスのパフォーマンスを発揮できるモデルになっている。
「デスクトップで引き合いが多いのは、『HP Z1 G9シリーズ』と『HP Z2 G9シリーズ』ですね。両モデル共にコストパフォーマンスの良さはもちろん、HP Z1 G9シリーズは、NVIDIA® GeForce RTX™ シリーズを使いたいという方々に人気です。また、点群データを採用する方が増える中、注目が集まっているのがAMD Ryzen™ Threadripper™ PROを採用する『HP Z6 G5 A Workstation』です。最大96コアを100%使い切ることができるので、点群データの解析時間は圧倒的に短縮されます。点群処理ではメモリも大量に使いますが、このモデルは最大1TBまで拡張できるので、その点でも安心です。コストはそれなりに掛かりますが、費用対効果でお選びいただく方が増えている製品です」と新井氏は語ってくれた。
案内をしてくれたHPの新井氏
コロナ禍以降、在宅ワークや、あらゆる場所で仕事をするハイブリッドワークを採用する企業が増えている。ワークステーションの多くが拠点に固定されており、実際の働き方と合わないケースが出始めている。
ソリューションをエスコートする大橋氏
「そのようなケースに対応できるソリューションが『HP Anyware』です。このソリューションはVPNを通さずに、安全に目的のワークステーションへのリモートアクセスを可能にします。目の前にワークステーションがあるかのように、ハイレスポンスな作業環境を提供し、データ流出などのないセキュアな通信を実現します」と説明する大橋氏。
HP Anywareは、Windows、Ubuntu、Red Hat Enterprise、Linuux7、CentOS7、MacOS、iOSなどのOSに対応しており、例えばWindows 11 を搭載するHPワークステーションに、iPadで接続、iPad上でワークステーションにインストールされているアプリケーションを操作してアクセスし、データの編集や読み込みといった一連の操作をすることができる。
「iPadは建築業界でも、社員ひとり一人に配付されている実績の多い端末です。その端末から本社のワークステーションにアクセスし、目的のアプリケーションを操作しながら、現場にいるスタッフらと編集内容を確認するといった、場所を選ばないデジタル資産の利活用を可能にしています。先に述べた働き方改革への対応はもちろん、業務効率化や生産性向上にも欠かせないリモートソリューションがHP Anywareです」と大橋氏は解説してくれた。
「NVIDIA Omniverse™」は、ワークフローを共有するチームが同じ仮想空間の中で、デザイン、アセット、プロジェクトを実行し、共同で反復作業をおこないながら作業を進めていくという新たなワークフローを提供するソリューションだ。その仮想空間を提供するプラットフォームに最適なのがHPのワークステーションとなる。
今回のイベントでは、HP Z6 G5 A Workstation上でNVIDIA Omniverse™を展開。リアルな仮想空間上に複数のチームが同時にアクセスし、工場内の車の開発や製造のためのロボットアームの動作などについて共同作業が可能な環境を構築していることを来場者に示していた。
「工場設備のBIMデータの編集やシミュレーションが同時におこなえます。こちらに投影されているロボットアームのAIパーツも実際の製造業者から提供されている実物です。統一された開発環境をチーム全体が共有することで、これまでにない業務効率化と生産性向上が実現できます」と大橋氏は説明する。NVIDIA Omniverse™は、企業間コラボレーションが活発化するこれからのビジネスシーンになくてはならない作業環境を提供してくれるソリューションだといえる。
建築業界に限ったことではないが、コロナ禍以降に急増しているのがWeb会議だ。Webカメラとマイクを使った情報共有はいまやあらゆる企業にとってなくてはならないコミュニケーションの手段となっている。一方でその会議の品質はデバイスによって左右され、Web会議が当たり前になるにつれて、高品質化へのニーズが高まっているのが現状だ。
「Polyでは、今回展示しているUSB接続タイプのビデオバーなどのWeb会議ソリューションをご用意しています。この『Poly Studio R30』は、高性能なWebカメラとマイク、スピーカーが一体型になっているため、PCに接続するだけで簡単に使うことができます。話者をAIが自動的に認識してフレーミングするといった機能や、生活音だけをカットする高性能なノイズリダクション機能により、高品質なWeb会議を実現します」と説明する神宮司氏。
Poly Studio R30は、高解像度カメラと広い視野角、Poly Director AIスマートカメラテクノロジーによる豊富な映像機能や、パッシブ ラジエーターを搭載する内蔵スピーカー、3つのマイクアレイと遮音技術を提供するデバイスで、「Microsoft Teams」、「Zoom」、「Google Meet」など、主要なコラボレーションツールの認定も取得している品質の高さが特長となっている。
Poly Studio R30は小会議室向けのモデルになるが、中規模会議室向けの「Poly Studio USB」をはじめ、単体でOSとコラボレーションツールを内蔵するオールインワンシリーズや、より自由度が高く、大規模会議室に向いた「モジュラー式ビデオ会議システム」なども展開しており、Web会議へのあらゆるニーズに対応することが可能だ。
「Polyの主力製品のひとつにヘッドセットもありますが、例えば外出先での環境音が騒がしい場所でもユーザーの声だけを相手に届けるモデルや、隣の人がしゃべっていてもその声だけを遮断する機能を提供するモデルもあります。機能だけでなく、形状や重さ、有線かワイヤレスかといった好みにも応じて、様々なタイプから自分に合った製品をお選びいただけるのもPolyの強みです。ぜひ一度、Polyの製品を使ったWeb会議を体験していただきたいと思います」と神宮司氏は語ってくれた。
Poly製品群の説明をしてくれた神宮司氏
ワークステーションはもちろん、各種ソリューションやPoly製品群の展示により、会場を盛り上げたHPブース。展示製品には常に人が集まり、HPスタッフはその対応に追われていたのが印象的だった。Archi Future 2024は大盛況のうちに終了となったが、次回、みなさんが参加できるイベントがあった際には、ぜひ現地でHPの製品やソリューションを体験していただきたい。
インテル® Core™ Ultraプロセッサーを搭載した世界最高レベルの薄型軽量モバイルワークステーション。複雑なビジネスワークに対して電力効率に優れたパフォーマンスを発揮します。