行政のさらなるサービス向上に欠かせない、安全で使いやすいモバイル環境の構築を目指してHP ソリューションのPoC を実施

鳥取県江府町|HP eSIM Connect & HP Protect and Trace with Wolf Connect / HP EliteBook 835 G11 PoC レポート

2025-05-30

鳥取県江府町
鳥取県江府町

多くの自治体では、DX推進による働き方改革や庁舎外でのサービス拡大などの理由により、デジタル端末を持ち出す機会が増えている。その際の安定した通信環境の確保やセキュリティ対策に苦慮している自治体も多い。ここでは、HPの異なるソリューションを組み合わせることで課題解決への糸口を見つけたケースを紹介したいと思う。

鳥取県江府町の町章
鳥取県江府町の町章
鳥取県江府町役場 総務課 主幹 竹田 匡志氏
鳥取県江府町役場 総務課 主幹 竹田 匡志氏
鳥取県江府町役場 総務課 主幹 竹田 匡志氏

四季折々の自然の美しさを体感できる鳥取県江府町。日本百名山のひとつ「大山」の南に位置し、豊かな眺望と山々がもたらす良質の水の産地としても有名だ。周囲を囲む山々からのせせらぎが川となり、一帯の肥沃な土地を作ったことから「川が合流して『府』となす。」を町名の由来としている。すべての町民が豊かに暮らし、自己実現を確立し、未来の夢を描くことができる持続可能な「3000人の楽しい町」を目指して、町民と行政が共に歩み続けている自治体だ。

「ほかの自治体と同様、江府町でも職員がPCを持ち出すケースは今後増えると考えています。そのような状況の中、庁外持ち出しPCの利用においては、情報漏洩対策と通信環境の改善が重要な課題でした。外出先での安全な通信手段の確保や、万が一の紛失・盗難時の対策が求められていました」と課題を語るのは江府町の竹田氏。DXをする過程において、PCを外部へ持ち出した際の安定した通信環境およびセキュリティの確保は、どのような自治体も頭を悩ませているのが現状といえる。

「そんな中、折よく相談させていただいたのが株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以降、ID)様とHP様でした。『HP eSIM Connect』および『HP Protect and Trace with Wolf Connect』のソリューションを知って非常に興味が湧き、課題解決の手段になるのではと考えるようになりました」と竹田氏は語る。

ただし、これまでにない新しいソリューションとなるため、江府町のシステムの中で運用していけるのかはもちろん未知数となる。そこでIDとHPは一定期間のPoC(Proof of Concept:概念実証)を提案することとなった。

株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 パブリックセクター DX推進営業部 アカウントマネージャー 三浦 郁也
株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 パブリックセクター DX推進営業部 アカウントマネージャー 三浦 郁也
株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 パブリックセクター DX推進営業部 アカウントマネージャー 三浦 郁也

「『HP eSIM Connect』は、au回線を利用したデータ通信が5年間無制限の法人向けMVNOサービスです。サービス料金はPCの購入代金に含まれていますので、追加料金などは発生しません。また、『HP Protect and Trace with Wolf Connect』は、持ち出しているPCの電源が入っていない状態でも、『探す』『PCをロックする』『データ消去をする』といった指令をリモート環境から実行できるMDMソリューションです。クライアントPCの外部への持ち出しが多くなっている今、デバイス管理は必須ですが、管理負荷は最小限にしつつ、最大の効果が得られるサービスといえます」と説明するHPの三浦氏。HP eSIM ConnectとHP Protect and Trace with Wolf Connectは相性もよく、両者を合わせたハイブリッドワークでの課題解決への貢献度が高いことから「ダブルコネクト」という愛称で呼ばれている。

同時に貸与された「HP EliteBook 835 G11」は、AMDプロセッサー「AMD Ryzen™ 5 8000シリーズ」を搭載するモバイルノートPCで、コストパフォーマンスにおいて優れたモデルとなる。「レスポンスがよく、バッテリー効率のよいプロセッサーのおかげで、外出先での高負荷作業でもストレスなく長時間動いてくれるPCです。堅牢性の高さやセキュリティの充実度でも人気で、まさに江府町様の要件に最適な仕様だと思います」とHP 三浦氏は説明する。

「情報セキュリティと通信環境の課題に加え、国内外で増えている自然災害時の迅速な情報共有と業務負荷に課題があるのではないかと仮説を立て、HPのソリューションが解決策として有効ではないかと考えました。特に、HP eSIM Connectによる常時接続環境の提供と、HP Protect and Trace with Wolf Connectによる紛失・盗難対策が、今後、江府町様の業務効率化とセキュリティ向上に寄与すると判断しました」と語るのはIDの高松氏。同氏は課題を解決するだけでなく、江府町の今後のDX化を考えた末のPoC提案だったことを強調する。

これらのテクノロジーと提案理由が揃った江府町では、ダブルコネクトとHP EliteBook 835 G11によるPoCを実施することを決定。2025年4月、同庁舎に環境を構築し試用開始となった。

株式会社インフォメーション・ディベロプメント アプリケーション開発事業本部 APD山陰事業部 部長 高松 晶子氏
株式会社インフォメーション・ディベロプメント アプリケーション開発事業本部 APD山陰事業部 部長 高松 晶子氏
株式会社インフォメーション・ディベロプメント アプリケーション開発事業本部 APD山陰事業部 部長 高松 晶子氏

HP eSIM Connectはサービス開始の手続きが非常に簡単なことも特長となっている。「いくつかの書類の準備が必要ですが、あとは回線申し込みの手続きだけでアクティベーションが完了しました。やってみればウィザードに従うだけなので、非常に簡単で驚きました」とPoCの環境構築に協力したID 高松氏は感想を述べる。基本的にインターネット経由でブラウザから専用フォームに入力していくだけで、1回の手続きで何台でも登録できるので、管理者の負担が少ないのもこのサービスが人気の理由だ。

一方のHP Protect and Trace with Wolf Connectに関してもそれほど大掛かりな準備が必要というわけではない。「PoCを始める際に、(このサービスが)携帯電話回線を使っていることを知りました。『LTE Cat-M』というのは初めて利用しましたが、この通信料も端末価格に含まれていると知り、とても安心しました」と江府町 竹田氏。

手続きは専用フォームを使った初期登録と、管理対象となるPCへのエージェントインストール、そしてリモート管理を実行する管理アカウントの作成と承認用アプリケーションを管理用PCにインストールするだけだ。「HP様にもご助力いただいたので、私たちの方では管理PCの準備をする程度で、負担は非常に少なかったです。逆にサービスの構成要件がよく分かって勉強になりました」とID高松氏は感想を語る。

回線の利用開始まで数日かかるが、準備は短期間で完了。実際の運用が始まった。「HP eSIM Connectにより、庁舎外でも常時接続が可能となりました。町内の広い範囲でインターネット接続をしてみましたが、いずれも良好に通信環境が確保できることを確認しました」と手応えを語る竹田氏。「たとえばですが、災害時の情報共有や最新情報の入手などにも利用できるのではないかと期待が持てました」と同氏は続けて語る。

HP Protect and Trace with Wolf Connectに関しても、リモート環境から管理できることはすぐに確認できたという。「職員が持っているPCが今どこにあるのか、かなりの精度で分かるようになりました。事前の説明では電源オフの状態ではサーチの精度はやや低くなることがあるとのことでしたが、何通りか試したところ大きなずれも見られず満足のいく結果が得られました。PCロックはいわゆるBIOSレベルでのロック状態になるので非常に強固だと思います」と江府町 竹田氏。

「今回のPoCでは、紛失・盗難時の対策を想定して、デバイスの追跡やリモートロックを行ってみました。いずれも効果が確認できたので、MDMソリューションとして効率よく機能することが期待できます」と同氏は言葉を続ける。

また、PoCに活用したHP EliteBook 835 G11に関しても評価は良好だったという。「全体的なパフォーマンスやデザイン、コストパフォーマンスに満足しています。これまでAMDプロセッサー搭載のPCを使用した経験は限られていましたが、今回のトライアルを通じてその性能を実感しました。試用前は、AMDプロセッサーに対して、他社のプロセッサーを搭載した製品と比較して性能や信頼性において若干の不安がありました。しかし、実際に使用してみると、非常に高いパフォーマンスで、他社プロセッサー搭載製品と遜色なく使えると感じ、これまでのイメージが大きく変わりました」と竹田氏は総評してくれた。

対談風景
対談風景

江府町におけるダブルコネクトおよびHP EliteBook 835 G11のPoCは順調に期間を消化中だ。「外出先の通信環境の改善やモバイル端末の管理性向上に関して非常に大きな手応えを感じています。今回のPoCを通じて、HPのソリューションが自治体の業務に有用であると体感できました。今後もPoCを継続し、選択肢の一つとして検討をしていきたいと思います」と竹田氏は語る。

「今回のPoCはID様、HP様にご助力いただけたおかげで非常に順調でした。両社には今後も役場のICT活用やDX推進に向けたサポートを期待しています。特に、セキュリティ対策に関してはさらなる改善に向けた提案をお願いしたいです」と同氏は続けて今後への期待を述べた。

「今回のPoCは、江府町役場でさらにDXが推進できることの証明になったと思います。江府町では、コストバランスのよいテクノロジーを活用した業務効率化と、地域住民へのサービス向上を目指しています。今後もDXを推進し、より良い行政サービスの提供を目指していきます」と最後に竹田氏は語ってくれた。IDとHPは今後も、両社の得意分野を生かした提案を通して、江府町のサポートを続けていく。

集合写真
集合写真

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