2024.11.18

先進的なオフィスの実現に最適なプリント環境とは?
モダン管理を前進させる「HP Secure Print」の実例を紹介【後編】

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DXを促進するために取り組みが進められている「モダン管理」。ハイブリッドワークが日常化するのに従い、企業外のデバイス管理においてゼロトラスト環境が必須となっている。そんな中、印刷・スキャンなど、いわゆるプリンターを使う業務は以前と変わらずニーズが存在している。一方で、企業のシステムを守るため、外部からのアクセスを制限する中では、印刷・スキャン業務が阻害され、ボトルネックになりがちだ。HPでは、PCと同じく、エンドポイントセキュリティをデザインに盛り込んだプリンターを持っており、クラウドベースのテクノロジー「HP Secure Print」も展開しており、モダン管理に最適なサービスの構築が可能となっており、モダン管理&ハイブリッドワーク時代に最適なプリント環境を提供している。ここではHP自社事例を含めて、HP Secure Printの全体像を紹介したいと思う。

話者)
エンタープライズ営業統括
グローバルサービス・ソリューション本部 技術部 シニアテクノロジーコンサルタント
根岸 久起

プリント環境のモダン化を実現する「HP Secure Print」

前回は、HP Secure Printがプリント環境におけるゼロトラストを実現する機能を提供することが可能なことを説明しました。ここからは、どのようにしてHP Secure Printを活用していけばよいのか、その方法をご説明していきたいと思います。

HP Secure Printについては、まずお使いになるPC側に「HP Print Scout」というアプリケーションを入れていただくことになります。このソフトウェアがそのPCから印刷データをクラウド上にアップすることや、「誰が何枚印刷しました」というようなテレメトリーのデータもアップすることになります。

このとき、複合機側でも同様にHP Secure Printのアプリケーションが必要です。これによって複合機は直接、HP Secure Printのクラウドとやり取りできるようになり、ユーザーが認証したときに自分の情報を表示することや、印刷したいモノを選択してダウンロードし印刷するといった作業が可能になります。

スキャンに関して、PC側では特別な操作は必要なく、ドキュメントを複合機に置いて、それをクラウドに上げるということになります。この場合、Workpathというサービスが動いているのですが、Google DriveやOneDriveなどのクラウドサービスが対応しています。

このアプリケーションが複合機に入っていれば、複合機側のコントロールパネル上にそのアイコンが表示されます。ユーザーはそのアイコンを選択するだけで、スキャンデータを自動的にアップすることができるようになります。

これらのサービスを利用することによって、お客さまは自分がどのネットワークにつながっているパソコンであったとしても、例えば社内のコーポレートネットワークであっても直接インターネットのプロバイダーに接続しているようなシチュエーションだったとしても、印刷に関しては全く意識することなく実行することができるようになります。

つまり、お客さまは自分がどこにいてどのネットワークに接続しているか、ということを意識する必要がないのです。どこでもよいので、インターネットにさえつながっていれば、いつでも印刷データを送ることができます。

また、IT管理の点からいうと、エンドユーザーが何枚印刷したのかなどについても、きちんと追跡することができます。管理画面では、「誰がいつどのファイルを印刷した」ということまで追跡できるようになっています。

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スキャンについてはもちろん複合機のある場所にいる必要はありますが、クラウドにスキャンデータを直接保存できることがメリットになります。

例えば、従来のIT環境で、スキャンデータをローカルのPCに保存していたようなケースでは、シェアできる場所にデータをアップロードするといった作業をしていた方もいらっしゃるでしょう。自宅や外部でそのデータを利用する場合に、改めてダウンロードしてきて作業し、またアップしてシェアできるようにするなどの作業をしていたわけです。

これがクラウド上に直接保存されるようになれば、こうした面倒な手間を省くことができます。もちろん、それによってデータのバージョン管理などの間違いを防ぐこともできるようになります。

他にもメリットとして、HPのこういったサービスをお使いいただくことで、いままで社内でプリントサーバーを使っていたような場合には、それに関するメンテナンスなどの手間を軽減することができます。ハードウェアの保守管理の手間が減るということで、コスト削減だけでなく社員の負担も減らすことにつながっていきます。

HP PolyではHP Secure Printをどのように使っている?

実際の事例として、私たちの仲間となったPolyというブランドがあります。以前は独立した企業だったので日本国内にもPolyのオフィスがありました。HPの一員となったということで、ネットワークも含めてPolyのすべてのインフラをHPに統合していこうということになりました。

そこで問題になったのがネットワークなのですが、最初の段階では旧Polyのネットワーク環境で構築されているため、HPのネットワーク環境とは違ったものとなっていました。

すぐにネットワーク環境を変更することができなかったため、最初の段階として「HP Secure Print」と「Workpath」を導入することにしました。

これまでの環境では、他社メーカーも含めた複合機などを利用する際に、やはり印刷が遅いなどの不満があったようです。当初はHP Secure Printなどに関しても、クラウド経由なので利用環境について懸念する声もあったようです。ところが実際にHP Secure PrintやWorkpathを導入してみると、十分に実用的な速度で利用することができていて、満足できる結果になっています。

また、Polyもハイブリッドワークを採用していますが、出社される方も出社しない方もそれぞれの環境で仕事をしています。もちろん、多くの時間を外部で活動している営業さんなども多数います。

これらをあわせると、旧Polyのネットワークを使う人、モバイル経由でインターネットに接続している人、あるいは社内にいてもネットワークを使っていない人、というような3つのパターンがありました。

こういった違いはあるのですが、HP Secure Printであればいずれにしてもインターネットに接続することさえできれば、どのような環境でも印刷が可能になるということで、便利に使っていただいています。

日本においても企業の統合というのは非常に多くなっていますが、2つの会社が一緒になって、ネットワーク環境などの統合を進めていく中ではさまざまな問題が起こりえます。

最初の段階では、HPのネットワークと旧Polyのネットワーク環境ごとにアクセス権の問題があるため、どちらかでは印刷できるが片方ではできない、などの事例も発生してきます。

こういった場合でも、HP Secure Printのようなサービスを利用することで、どの環境からでも同じように印刷できるようになるなどのメリットもあります。会社の統合などの場面でも、大きなメリットがあるソリューションだといえるのではないでしょうか。

どうすればHP Secure Printの導入ができる?

HP Secure Printに対応し、ゼロトラストの要件を満たす製品として、企業ニーズが高いA3複合機のモデルの中では、「HP Color LaserJet Managed E877」というシリーズが代表的な存在となっています。

こちらもPC製品と同様に「HP Sure Start」が搭載され、ファームウェアレベルからセキュリティを保持する機能があります。従来のユニバーサルプリンタードライバーによるPIN印刷機能や暗号化対応などに加えて、BIOS、ファームウェア、メモリ含むデバイス本体を4つのアプローチで守るようになっています。

例えばその中の機能のひとつである、「HP Connection Inspector」では悪意のあるサイトとやり取りしていないか、マルウェアなどによる妨害がないかなども監視しています。

こうした複合機では、印刷機能は当然なのですが、いろいろなもののデジタル化が促進される中、スキャン機能にも力を入れています。ADF(AutoDocumentFeeder)がついているため、1分間で300面をスキャンすることができます。これは両面スキャンでの数値になります。一般向けとしてはかなり高速でハイスペックなスキャナーが付属しているので、さまざまな場面で活用していただけるのではないかと思います。

例えば、「HP Color LaserJet Managed E877」をご購入いただき、「Managed Print Service(MPS)」をオプションとしてご契約いただくことで、「HP Secure Print」も使えるようになります。

MPSにはプリンター運用に欠かせないサービスが充実しているので、レーザー複合機をたくさん使う企業様にとっては最適なソリューションでもあります。

Managed Print Service(MPS)
https://jp.ext.hp.com/business-services/

MPSについては、事例を紹介した記事などのコンテンツもあります。概要などもおわかりいただけるかと思いますし、対応する製品情報などもお調べいただくことができると思います。さらに詳しい情報が欲しいという方は、ぜひ弊社までお問い合わせいただければと思います。

MPS参考URL
https://jp.ext.hp.com/techdevice/coreprinter/hppageplan/

またMPSでは、複合機がクラウドサービスに結びつく形になりますが、そのプリンターがどれだけ稼働しているのかといった情報は「HP Insights」というソリューションの中で把握することができます。

そのプリンターにアクセスできる訳ではないのですが、遠隔地からでも稼働状況などをリモートで俯瞰してみることができるようになります。

例えばそこであまり使われていないものがあった場合に、より使用頻度の高い拠点に移設しようだとか、将来に向けた設計変更などにも役立てることができます。「HP Insights」には分かりやすいダッシュボードなども用意されているので、誰でも使いやすいインターフェースになっていると思います。

各拠点にそれぞれ管理者を配置なくてもよくなる場合もあるので、リモート拠点を増やすような場合の負担も減ることになります。クラウド対応複合機のメリットがここにもあると思います。

もちろん、これらのサービスについては、HPがお客さまの環境を調べて最善な構成になるようにご提案もしていきます。これはMPSで提供するサービスを活用した例となりますが、アセスメントからご一緒させていただくことで、費用的にも最適になるようなプランをご案内することができます。

ユーザー数やプリンターの台数などもさまざまですので、どのように組み合わせるかも含めて最善なプランをご案内できるよう努力しています。企業のみなさまが進めているモダン管理、さらにはDX推進の中で、プリント環境でお悩みのことがあれば、お気軽に私たちにご相談ください。

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