2024.05.10
ビジネスに印刷物は必要不可欠です。どんなにペーパーレス化を進めていても、ビジネスの様々な場面で必要となる帳票類には削減できないものも多くありますし、製品の出荷の際には納品書などが発生します。このような業務のために、モノクロレーザープリンターを利用している企業も多いと思います。レーザープリンターはスペックも価格も様々で、1万円を切るモデルから5万円を超えるモデルまであります。その中から最適なモデルを選ぶことで、印刷にかかる全体コストにも大きな差が出てきます。ここでは、ビジネスに必須のレーザープリンターを選ぶコツを考えてみたいと思います。
レーザープリンターを購入する際、どうしても気になるのは初期投資です。もちろん、少なく納めるに越したことはないのですが、果たしてそれが最善の選択になるでしょうか?例えば、一般市場で1万円代の価格で売り出されているA社の格安モデルと、HPのエントリーモデル「HP LaserJet Pro 4003dw(以降、モデル名のみ記載)」を見てみましょう。
HP LaserJet Pro 4003dw
HP LaserJet Pro 4003dw | A社格安モデル | |
---|---|---|
本体価格(税込み) | 42,240円 ※キャンペーン価格 |
14,000円 |
CPP(単価/枚、税抜き) | 約3.5円 | 約3.0円(トナーのみ) 約3.6円(トナー+ドラム) |
印字スピード(1分間) | 40 | 34 |
両面印刷 | あり | あり |
無線LAN | あり | あり |
最大給紙 | 900 | 250 |
こちらの表は基本的な性能を比較したものです。本体価格の差は4倍ありますが、これは単に高いだけではなく、当然プリンターのスペックに大きな開きがあるため、その違いも含まれています。このように比較すると、「シンプルな印刷しかしないから安いモデルで十分」と考える方も多いのではないかと思います。しかし、その差は単なるプリンター本体スペックの違いだけではないということです。まず、最初に注目していただきたいのは、出荷時に同梱されているトナーの印刷可能枚数です。
同梱トナー印字可能枚数 | 約2,900枚 | 約700枚 |
---|
4003dwは出荷時に同梱されているトナーは約2,900枚の印字が可能なタイプで、HPで販売しているものと同じレベルのトナーがついています。一方のA社の格安モデルには約700枚の印字が可能なタイプとなっており、その差は歴然としています。
ある企業で1日10枚印刷するとして5日で50枚、平日のみの稼働だとすると月平均は約200枚になります。つまり、A社の格安モデルは4か月目で印字できなくなるため、トナーを新たに購入し、交換しなければなりませんが、4003dwの場合、出荷時に同梱されているトナーを1年以上に渡り使い続けることができるのです。
クリックして拡大表示
HP LaserJet Pro 4003dwの交換用トナー
導入初期においてもレーザープリンターの運用に差があることがお分かりいただけたかと思います。では、同じ印刷枚数の条件で、一般的な企業で機器の入れ替えタイミングとなる5年間を例に運用した時の違いも見ていきましょう。印刷環境は先ほどの例と同じとします。
4003dwのトナーの価格は2,900枚タイプで17,260円、9,500枚の大容量タイプで36,300円で販売されています(2024年3月時点)。購入時に同梱されているトナーが1年以上利用できるため、2年目に大容量タイプに入れ替えたと仮定すると、年間印刷枚数2,400枚×4=9,600枚となり、ほぼその1本だけで残り4年間を運用できることになります。
一方のA社の格安モデルのトナーは、3,000枚タイプが10,780円、大容量の5,000枚タイプで16,280円で販売されています(2024年3月時点)。最初のトナーは早々に切れてしまうため、すぐに新しいトナーの購入が必要になります。5年間、12,000枚を印刷するには少なくとも3,000枚タイプ1本と、大容量タイプ2本が必要になります。
両者を5年間運用したときのトナー購入費用は、4003dwが36,300円、A社の格安モデルは43,340円になります。すなわち、このケースでのトナー代を単純比較すると7,040円という差が生まれることになります。
クリックして拡大表示
HP LaserJet Pro 4003dwは大容量トナー1本のみで2年目以降運用できる(1日10枚印刷、1週間のうち5日間稼働の場合)
長期運用におけるトナー代を単純に比較しましたが、実際にはもう一つ、忘れてはいけない交換部品があります。それが「ドラム」です。ドラムはトナーを転写する役割を持ったパーツで、長期間の使用により付着物が多くなり、印刷品質が低下するため一定期間で交換する必要があります。
4003dwはトナーとドラムが一体型になっているため、トナー交換ごとにドラムも新しくなります。一方のA社の格安モデルはトナーとドラムが分離しているため、トナーとは別に、15,000枚を目安にドラムを交換する必要があります。先ほど試算した例では、5年の運用で12,000枚なのでドラム交換は発生しないと思われますが、状況によっては早めの交換が必要なケースもあり、仮に交換した場合はさらに11,000円がかかることになります。(2024年3月時点)
HP LaserJet Pro 4003dw | A社格安モデル | |
---|---|---|
交換ドラム 交換目安/価格 |
トナー・ドラム一体型のため不要 | 約15,000枚/11,000円 |
ビジネス継続性を考えれば、保守サービスは重要な役割を持っています。印刷できないことで出荷や送付が止まってしまえば、最悪の場合は機会損失につながるケースも考えられます。
4003dwの場合、標準で3年間の「ハードウェアオンサイト修理」が付属します。これは、万が一故障があった場合、多くの場合レーザープリンター本体をメーカーや販売店に返送する必要がありますが、4003dwなら最短で翌日には設置場所へ訪問し修理対応をします。そのため、ダウンタイムは最小限で済むことになり、最短時間での復旧が可能です。
A社の格安モデルの場合、6か月間のメーカー保証が付属していますが、ユーザー自身がメーカーへ送付、修理工場で修理し、返送されてくる、という修理サービスとなります。4003dwと同様の訪問修理を含んだ保証を付ける場合は有料となり、4003dwと同じ3年保証を選択した場合は24,200円の保守料金が発生します。(2024年3月時点)
HP LaserJet Pro 4003dw | A社格安モデル | |
---|---|---|
保証内容 | 3年間のオンサイト修理保守 | 6か月間の引き取り修理 3年間のオンサイト保守は 有償24,200円 |
トナーと同様、5年間運用したと仮定した場合、4003dwも保守延長のための料金が発生しますが、追加は2年分のみとなります。A社の格安モデルの場合には5年分の保守料金を支払う必要があり、その価格差は小さくはありません。
オンサイト保守 | 5年まで延長/13,640円 | 5年間有償/39,600円 |
---|
レーザープリンターを5年間運用した場合の比較(年間12,000枚の印刷として)
HP LaserJet Pro 4003dw | A社格安モデル | |
---|---|---|
購入時価格 | 42,240円 ※キャンペーン価格 |
14,000円 |
必要なトナーと価格 | ・約2,900枚タイプ/同梱 ・約9,500枚タイプ/36,300円 |
・約700枚/同梱 ・約3,000枚タイプ/10,780円 ・約5,000枚タイプ×2/32,560円 |
その他交換パーツと価格 | 不要 | 交換用ドラム/11,000円 |
オンサイト保守 | 3年まで無償 5年まで延長/13,640円 |
5年間有償/39,600円 |
合計 | 92,180円 | 118,720円 |
製品購入時の本体価格差はユーザーにとって非常に大きなインパクトがあるものですが、実際には本体価格だけではなく、運用開始後5年間で必要となる交換用トナーの料金、その他の交換パーツであるドラムユニットの料金、そして保守サービスの費用を含めたトータル費用で比較し検討する必要があると言えます。実際にビジネスでの運用を前提として考えた場合、1日10枚以上印刷する場面も多く考えられ、その場合には5年間のトータルコストの差はさらに広がっていきますので、購入前にこれらの点を検討する重要性は非常に大きいことがお分かりになるはずです。
さらにレーザープリンターとしての基本性能を4003dwと格安モデルで比較した場合、大きな差があることも事実なので、プリント環境の快適さでは圧倒的に4003dwが有利です。
もちろん、A社に限らず、格安モデルの存在が悪いわけではありません。例えば5年以下の短期間での入れ替えや、トータルの印刷枚数がもっと少ないときなどは、このような差が出ないケースもあるでしょう。しかし、レーザープリンターの運用において、一定の生産性を求める場合は、今回試算したように少なくとも3~5年程度の長期運用を見据えた視点は必要なのではないでしょうか。特に複数台のレーザープリンターを運用している中小企業にとって、費用対効果はとても重要です。確かな製品選びをするためにも、レーザープリンターは長期間のトータルコストを含めた比較検討をおすすめしたいと思います。
クリックして拡大表示
※このコンテンツには日本HPの公式見解を示さないものが一部含まれます。また、日本HPのサポート範囲に含まれない内容や、日本HPが推奨する使い方ではないケースが含まれている可能性があります。また、コンテンツ中の固有名詞は、一般に各社の商標または登録商標ですが、必ずしも「™」や「®」といった商標表示が付記されていません。