子どものための“軽くて壊れない”Chromebook!「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook」は使ってみたら本当にスゴかった!
2025-07-08
2024年度から本格的に始まった「GIGAスクール構想」の第2段階「GIGA2.0」により、全国の学校現場では新たな教育ICT(情報通信技術)環境の整備が急速に進んでいる。文部科学省は1台あたり5万5000円の補助を用意し、各メーカーはこの価格に合わせたパソコンやタブレット端末の開発を競っている。
中でも教育現場で高い支持を得ているのがChromebookだ。起動が速く、操作もシンプルなChromeOSは、子どもたちでも直感的に扱える点が評価されている。そのChromebook市場において、特に注目したいのが日本HPの「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook」だ。
実はこの製品、グローバル企業である日本HPが、あえて日本市場をターゲットに、イチから設計・開発した特別な端末。日本の子どもたちの学習環境や身体的特徴を徹底的に研究し、日本特有のニーズに応えるために生まれた製品なのだ。そして、その「基本パッケージ」は、GIGAスクール構想の補助金額で購入できる価格で提供されている点も大きなアドバンテージと言える。
文:岩渕 茂
編集:ASCII
※「ASCII.jp」より転載
「MediaTek Kompanio 520」プロセッサーの採用により堅牢さに加えて省電力化・軽量化を実現した
「子どものために、端末(パソコン)を軽くしてほしい」──この要望は、GIGA2.0を推進するにあたり、当時の盛山正仁文部科学大臣からHPに直接伝えられたものだ。日本の小学生の多くはランドセルを背負って徒歩で通学するが、教科書や副教材、上履きなど荷物が多く、さらに校外活動も含め、重たいPC端末を持ち運ぶのは大きな負担となっていた。
GIGA1.0時代からHP Chromebookは堅牢性を重視していたが、そのぶん端末の重量が課題となっていた。こうした要望を受け、日本HPは設計を根本から見直し、その結果として採用されたのが「MediaTek Kompanio 520」プロセッサーである。
これはARMベースのプロセッサーで、スマホ向けの省電力技術をChromebook向けに最適化している。マザーボードの小型化が可能で、発熱量も抑えられることから、大型ヒートシンクなしでも設計が可能となっている。さらに低消費電力設計により、バッテリーの持続時間の延長を実現。バッテリーの軽量化にもつながり、全体の軽さに貢献している。
【日本HPの製品開発担当、岡宣明氏のコメント】
「ランドセルを背負って歩く子どもたちの負担を少しでも軽くしたい。その思いを実現するために、設計を根本から見直しました。従来より250~300gの大幅な軽量化を実現しながら、堅牢性は一切犠牲にしていません。在学中、安心してお使いいただけるよう、バッテリーの長寿命化にも取り組みました」
ただし、軽量化ばかりを優先してしまっては、堅牢性が損なわれかねない。実際、GIGA1.0の運用実績を振り返ると、子どもたちは想定以上にハードな使い方をしていることが浮き彫りになったそうだ。
たとえば、端末を投げてしまったり、定規や鉛筆をキーボードの隙間に差し込んでキーを外そうとしたりする子どもは少なくないという。中には、砂場に埋めてしまうなど、想定を超える事例も確認されている。
日本HPでは、こうした過酷な使用環境を想定し、堅牢性に関する試験を徹底的に実施した。米国国防総省調達基準の「MIL-STD-810H」試験に24項目で合格しているほか、机の高さからの落下テストや1000回のランダム落下試験なども実施。累積で12万時間相当の品質テストを行う、同社独自の厳密な品質基準テストをクリアしている。
また、ポート部分の強度についても、日本HPは徹底したテストを実施している。ケーブルを差した状態での落下試験や引っ張り試験、1万回もの過負荷試験などを行い、教育現場での過酷な使用に耐える設計を確保している。こうした細部への配慮にも、同社の本気度が表れている。
「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook」の主なスペック
| 型番 | B1PK2PT#ABJ |
|---|---|
| OS | ChromeOS |
| プロセッサー | MediaTek Kompanio 520 |
| メモリー | オンボード 4GB LPDDR4X |
| ストレージ | 32GB eMMC |
| ディスプレー | 11.6型液晶(1366×768ドット)、タッチ対応 |
| インターフェース | USB Type-C(3.2 Gen1、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2)×1、 USB Type-A (3.2 Gen1)×2、ステレオヘッドフォン/マイクジャック×1 |
| 通信機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
| オーディオ機能 | デュアルスピーカー、デュアルアレイマイク |
| 内蔵カメラ | イン:720p HD(プライバシーシャッター付き)、アウト:5MPカメラ(Auto Focus機能付き) |
| 通信機能 | Wi-Fi 6(802.11ax)、Bluetooth 5.3 |
| 電源 | HP 45W USB Type-Cアダプター |
| バッテリー/駆動時間 | リチウムイオンポリマー/Google Chrome OS power_LoadTest:最大約16時間41分、JEITA測定法Ver2.0:最大約15時間24分、JEITA 3.0:最大約5.7 時間(動画再生時)、最大約14.9時間(アイドル時) |
| サイズ | 幅293mm×奥行き202mm×高さ21mm(最薄部、突起部含まず) |
| 重量 | 約1.19kg |
強度の高いヒンジや幅広ベゼルなどを採用した耐衝撃設計!
キーボードへのいたずら対策も万全
実物を見て、まず感じるのは確かな頑丈さである。業界最軽量の1.19kgという軽さでありながら、「子どもが落としても大丈夫そうだ」という安心感が伝わってくる。角が丸く処理されているため、持ちやすさも良好で、子どもが持っていても怪我の心配はないだろう。
また、信頼性の観点から、画面とキーボードが取り外せるデタッチャブル型ではなく、360度回転できるコンバーチブル型を選択。「デュアルバレル同期ヒンジ」を採用し、頻繁な開閉にも耐える設計となっている。ヒンジの強度を維持しつつ、360度回転という柔軟な操作性も備えており、授業やシーンに応じた多様な使い方が可能だ。
ベゼル幅をあえて太めに設計している点も見逃せない。これは、横方向からの衝撃に対してフレーム全体で力を分散・吸収することで、衝撃をしっかり受け止めるためだ。これにより、落下や接触など、日常的なトラブルにも強いのが特徴と言える。
子どもの好奇心からくるいたずらへの対策も忘れてはいない。前述のとおり、定規や鉛筆をキーボードの隙間に差し込みたくなる子どもは少なくなく、そうした行為による破損を防ぐために、「フルスカート」と呼ばれるラバー製の保護構造がキーボード周囲に設けられている。
これにより、キートップが外れにくく、内部への液体浸入を抑制する二重の対策を講じている。このような子どもの行動を見越した設計が、結果的に防塵・防滴の機能強化にもつながっているのは注目すべき点だろう。
タッチ対応の11.6型ディスプレーを搭載
付属のUSIペンを使って直感的な操作が可能
このように、数々のこだわりを持って開発された筐体を持つ「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook」だが、実際に使用するうえで肝心の基本スペックはどうなっているのだろうか。
前述のとおり、プロセッサーには「MediaTek Kompanio 520」を採用し、軽量化と低消費電力を実現している。このチップセットはChromeOSとの相性が良く、授業でよく使われるアプリを安定して利用できる。起動やアプリの切り替えがスムーズなので、子どもたちが学習に集中するうえでも役立ちそうだ。
ディスプレーは11.6型のIPSタッチパネルで、解像度は1366×768ドット。教育現場での視認性を重視し、明るい環境でも見やすい輝度250nitを確保している。タッチ対応なので、マウスやトラックパッド操作に慣れていない低学年の子どもでも直感的に操作できるだろう。
360度回転するヒンジは、20万回の開閉テストをクリアする耐久性を持ちながら、滑らかで静かな動作を実現している。ノートPCモード、テントモード、スタンドモード、タブレットモードといったスタイルに対応し、授業の内容や個人の好みに応じて最適な使用形態を選択できる。
画面への書き込みや描画が当たり前の学習環境に向け、USIペンも付属している。4096段階に対応する高精度なペンで、自然な書き心地を実現。ペンを裏返して画面をこすると消しゴムの機能が有効化するので、描写アプリで修正する際に消しゴムに切り替える必要もなく直感的に使える。
さらに画期的なのは、キーボード部分にペンの充電機能付き格納トレイを搭載している点だ。側面に差し込むタイプではなく、一番目立つ場所に簡単に格納できるため、取り出しやすく、自然とペンをトレイに戻せるメリットがある。
ペンの格納と同時に充電もできるため、紛失防止と同時に充電切れの心配も少ない。15秒の充電で最長45分使えるのも便利だ。さらに、マグネット格納方式により確実に固定され、多少の振動では外れることがない。
しかも、左右どちら向きでも格納できる点も特徴的だ。利き腕に関係なく扱えるので、子どもにとってもストレスなく使えるだろう。こうした細かな工夫が、使いやすさや安全性につながっている。
インターフェースは、向かって右側面に音量ボタン、電源ボタン、USB Type-A端子、セキュリティロックケーブル用スロットを装備。左側面には、USB Type-A端子、USB Type-C端子、ヘッドフォン/マイク端子を備えている。
バッテリーについても、5年間という長期間にわたって容量が維持される設計だ。学校で採用されるパソコンは一般的に5〜6年程度の長期利用が前提となるため、経年劣化に強いバッテリーは運用コストの削減につながる。充電も速く、「HP Fast Charge」により、わずか90分で最大90%の充電ができる点も特筆できる。
「MediaTek Kompanio 520」+ChromeOSの動作はとても快適!
起動もWeb閲覧も入力作業もストレスなし
マシンの動作としては、「MediaTek Kompanio 520」とChromeOSの組み合わせにより、十分な快適さを実現している。実際に使用してみたところ、スリープ状態からの復帰も高速で、開くだけですぐにホーム画面が表示された。
Web閲覧は、複数タブを開いた状態でもストレスを感じることはなかった。アプリの起動も速く、Googleドキュメントやスプレッドシートも瞬時に立ち上がる。動画視聴でも気になる点はないので、学習や日常レベルの使い方なら特に問題ないだろう。
キーボードの打鍵感も良好。適度なキーストロークとクリック感により、長時間のタイピングでも疲れにくい。配列も標準的で、小さな手でもタイピングしやすいのではないだろうか。もちろん、大人が使っても違和感なく使える。
タッチパッドの反応も良好で、マルチタッチジェスチャーもスムーズに動作する。2本指スクロールや3本指でのタブ切り替えなど、ChromeOS独特のジェスチャー操作も快適だ。
USIペンの筆圧感知も自然で、画面上なのに紙に近い感覚で使える。また、本体からペンを取り外すと、タスクバーに常駐している「タッチペンツール」が表示されるので、すぐにメモの作成に取り掛かれるなど利便性も高い。実際の書き心地もスムーズで、自然な描画ができた。
また、パームレストの右サイドに配置されたカメラは、教科書やQRコードの読み取りに最適化されている。一般的なノートPCのカメラでは、撮影する際に端末を持ち上げて、無理な体勢で撮影しなければならないが、この位置ならば自然にQRコードなどの読み取りが可能だ。解像度は500万画素で、文字の認識にも十分な性能を備えている。
省電力性能についても、Web閲覧中心で使ってみたが、朝から夕方まで充電を気にすることなく利用できた。また、スタンバイ時の消費電力が極めて少ないのも印象的だ。
LTE回線が5年間使い放題の「応用パッケージ」もラインアップされる
GIGA1.0の運用では、全員が同時にアクセスするとパフォーマンスが落ちるため、テスト中は他の児童が使わないように配慮している学校も少なくないという。このような問題を根本的に解決するのが、「HP eSIM Connect」対応の応用パッケージだ。
応用パッケージでは、インテル製のプロセッサー「N150」を搭載し、LTE回線が5年間使い放題となっており、Wi-Fi環境がない場所でも安心して利用可能。ネットワーク環境について悩んでいる自治体にとっては魅力的な選択肢となるだろう。
壊れにくさ、軽さ、長く使うための工夫などにこだわったPC開発
日本HPが本気で作った、子どものための1台
ここまで解説してきたように、日本HPでは「GIGAスクール構想」において子どもたちが安心してパソコンが使えるように、壊れにくさ、軽さ、そして長く使うための工夫と、あらゆる面でとことんこだわったPC開発をしている。毎日の学びを支えるパソコンが、これほど考え抜かれて作られていると知れば、きっと保護者の方も安心できるだろう。
「HP Fortis Flip G1m 11 Chromebook」は、単なる「安い」端末ではない。グローバル企業が日本市場のために本気で設計した、子どもたちのための最適解と言えるChromebookなのだ。筆者も実際に使ってみて、その完成度の高さと使い勝手の良さに驚かされたほどだ。
GIGAスクール構想により、子どもたちの学習環境は大きく変化している。その変化を支えるパソコンとして、日本HPの取り組みは高く評価できるものだろう。今後のさらなる進展にも期待したい。
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