2021.11.24
2021年10月にHP Directplusで販売が開始された「HP Elite x2 G8」。HP法人ノートPCを代表するハイエンドモデルのEliteシリーズの中では2in1のジャンルに位置する製品だ。同モデルは今季、コロナ禍を受けて、世界的にビジネスへの取り組みが刷新されつつあるニューノーマル時代を見据えてスペックを一新。様々な点でパワーアップがなされている。大人気となった前モデル「HP Elite x2 G4」と比較してどこが変わったか。しっかりお伝えしていきたいと思う。
HP Elite x2 G8
HP Elite x2 G4 | HP Elite x2 G8 | |
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発売日 | 2019年11月 | 2021年10月 |
OS | Windows10 Pro | Windows10 Pro |
プロセッサー | インテル® core™ i5-8265U インテル® core™ i5-8365U(vPro対応) インテル® core™ i7-8565U インテル® core™ i7-8665U(vPro対応) |
インテル® Core™ i3-1125G4 インテル® Core™ i5-1135G7 インテル® Core™ i5-1145G7(vPro対応) インテル® Core™ i7-1165G7 インテル® Core™ i7-1185G7(vPro対応) |
メモリ | オンボード8GB LPDDR3 オンボード16GB LPDDR3 |
オンボード 8GB LPDDR4x-4266 SDRAM (2 x 4GB) オンボード 16GB LPDDR4x-4266 SDRAM (2 x 8GB) |
ディスプレイ | 13インチ WUXGA+ (1920×1280)、1,000nits、マルチタッチ、HP Sure View搭載 13インチ 3Kx2K(3000 × 2000)、450nits、マルチタッチ |
13インチ WUXGA+ (1920×1280)、1000nits、マルチタッチ、HP Sure View搭載 13インチ WUXGA+ (1920×1280)、400nits、マルチタッチ 13インチ 3K2K(3000×2000)、450nits、マルチタッチ |
グラフィックス | インテル® UHDグラフィックス620 | インテル® UHD グラフィックス(インテル® Core™ i3-1125G4モデル) インテル® Iris® Xe グラフィックス |
ストレージ | 256GB SSD(M.2 PCIe Gen3x4 NVMe) 512GB SSD(M.2 PCIe Gen3x4 NVMe) |
256GB SSD(M.2 PCIe Gen3x4 NVMe) 512GB SSD(M.2 PCIe Gen3x4 NVMe) |
無線機能 | インテル® Wi-Fi 6 AX200 a/b/g/n/ac/ax + Bluetooth 5.0 | インテル® Wi-Fi 6 AX200 a/b/g/n/ac/ax + Bluetooth 5.0 |
通信モジュール | インテル® XMM™ 7360 LTE-Advanced(GPS機能付き) | Intel® XMM™ 7360 LTE-Advanced(GPS機能付き) |
サイズ(本体) | 約 289.3 × 215.8 × 8.8 mm | 約 289.3 × 215.8 × 8.8 mm |
質量 | 約 840g | 約 820g |
バッテリ | Mobilemark2014測定時 : 最大 約12.25 時間 JEITA測定法Ver2.0 : 最大 約10.2 時間 |
Mobilemark2018測定時 : 最大 約11 時間 JEITA測定法Ver2.0 : 最大 約14.4時間(インテル® Core™ i3-1125G4モデル) JEITA測定法Ver2.0 : 最大 約9.4時間(HP Sure View Gen3 モデル) |
セキュリティ | HP Sure Sense、HP BIOSphere Gen5、HP Sure Start Gen5、HP Sure Click、HP Sure Run G2、HP Sure Recover G2、HP Client Security Manager Gen5、Secure Erase(NIST SP800-88 準拠) | HP Wolf Security for Business(HP Sure View Gen3 ※構成による、HP Sure Sense、HP BIOSphere Gen6、HP Sure Start Gen6、HP Sure Click、HP Sure Run Gen4、HP Sure Recover Gen4、HP Client Security Manager Gen7、Secure Erase(NIST SP800-88 準拠)) |
セキュリティチップ | TPM2.0準拠 | TPM2.0準拠 |
サポート | 標準保証 :3年(3年間引き取り修理サービス、3年間パーツ保証/電話サポート) | 標準保証 :3年(3年間引き取り修理サービス、3年間パーツ保証/電話サポート) |
最初に、そもそもHP Elite x2 シリーズとはどういう位置づけのモデルなのか見ていこう。外観からも分かるように、キーボードが取り外しできるのが最大の特徴で、本体のみでもタブレットPCとして利用可能な、いわゆる2in1モデルとなっている。本体はCNCアルミニウム素材を使用し、軽量であると同時に米軍調達基準をクリアする堅牢性も持ち合わせている。
タブレットスタイルにも、ノートPCスタイルにもなる2in1タイプ
キーボードユニットを装着して折りたたんでもかなりの薄型レイアウトとなっている
ディスプレイは太陽光の下でも見やすいマルチタッチ対応の高輝度液晶を採用。野外での使用時でもスマートフォンと同等の使い勝手の良さを提供してくれる。ちなみに4096段階の筆圧を感知するリチャージブル アクティブペンG3にも対応しているため、Drow系のデザインなどもこなせるようになっている。
手書きによるメモスタイルにも最適
つまり、本体のみでもWindowsタブレットPCとしての運用が可能で、キーボードスタイルへもワンタッチで切り替えられるという点で、様々な場所で仕事をするハイブリッドワークに最適な仕様となっているのがHP Elite x2 シリーズの特徴といえる。
また、HP Elite x2シリーズで採用されているディスプレイの比率は3:2となっている。これまで16:9が主流であったが、動画視聴などには向いているものの、情報収集の際に縦方向が狭く、ユーザーの満足度はそれほど高くないことが近年の調査で分かっている。それを解消するため、HPではいち早く縦方向の情報をより多く表示できる3:2比率のディスプレイを搭載。さらに解像度で3000×2000ドットという、高解像度モデルも用意し、検索やブラウジングにおいて圧倒的な生産性を提供している。
従来の16:9パネルと比較して、縦に長い3:2パネルを採用
Elite X2シリーズの新旧モデルで大きく変わったのはプロセッサーだ。G4は第8世代がメインとなっていたが、G8では第11世代を採用し、さらにはインテル® Core™ プロセッサーの中ではエントリーモデルとなるi3がラインアップした。これにより、スペックを重視しない業務での活用においても費用対効果の高い運用が可能になった。
また、このアップデートに伴い、マザーボードのプラットフォームも更新されている。これによって搭載されるメモリはDDR4へとより高速なモデルが採用されている。全体的なスペック向上に大きく貢献する部分なので、このアップデートは大歓迎といえる。
第8世代と比較し、処理能力という点で大きく進化している第11世代プロセッサーの採用とメモリ周りのスペック向上により、実際の作業ではレスポンスの向上において体感できる部分も多い。特にマルチスレッドやマクロなどを多用する業務が多いユーザーは、かなりの恩恵を受けられるはずだ。
そのほか、ストレージや無線、LTE通信モジュールなどには大きな変更はないが、スペック的に大幅なアップデートとなったのがグラフィックスだ。G4ではインテル® UHDグラフィックス620がメインだったのに対し、G8では最新のインテル® Iris® Xeグラフィックスへとアーキテクチャ的にも刷新されている※。
※インテル® Core™ i3-1125G4モデルはインテル® UHD グラフィックスを採用
インテル® Iris® Xeグラフィックスは、第11世代プロセッサーから採用されているオンチップで提供されるグラフィックス機能で、ビデオ編集やAV1ビデオコーデックにおいてパフォーマンスが向上している。純粋な描画能力としてもパワーアップしているので、従来のオンチップグラフィックスに不満を感じていたユーザーにも勧められる。もちろん、3Dデータの操作など、処理が重い作業はディスクリートグラフィックスと比較はできないが、現時点でオンチップグラフィックスとしては最上級のパフォーマンスを提供してくれることは確かだ。
HP Elite x2 G8のレビュー機の主なスペック
HPの法人ノートPCを選択する理由として、充実したセキュリティ機能を挙げる企業は多い。HP Elite x2においてもそれは同様で、G4の世代からエンドポイントの強化を実現する様々なソフトウェアやセキュリティ機能がプリインストールされていた。
添付ファイルやWebサイトに潜む悪意を仮想マシン内で実行することで、万が一の感染を防ぐHP Sure Click、AIを活用してマルウェアからのリアルタイム保護を実現するHP Sure Senseなどのソフトウェア群はもちろん、Windows Halloに対応するWebカメラと指紋センサー、プライバシーシャッター付きのWebカメラなど、ハードウェア的な部分まで対応している。これらの機能によって、企業は追加予算無しに優れたエンドポイントセキュリティが構築でき、少ない負担で安心安全な端末運用が可能となっているのだ。
最新のG8ではこれらの機能を包括するサービス「HP Wolf Security for Business」と名称を変更。いくつかの機能はバージョンアップもなされており、さらなる充実を見せている。これまで高い評価を得てきたHPのセキュリティ機能はG8でも健在といったところだ。
また、リモート環境での運用をサポートするインテル® vPro™ テクノロジー採用モデルは、インテル® Core™ i5およびi7モデルに用意している。それぞれ、ハイブリッドワークが主流となりつつある現在、クライアント端末のリモート管理を高効率化できる費用対効果の高いソリューションとなるので、経営層やIT管理者の方にはぜひ注目していただきたい。
シャッターオープン時
シャッタークローズ
本体の表裏にあるWebカメラのプライバシーシャッターはそれぞれ連動している
指紋センサーの場所は本体背面の右上。そのすぐ上部にメインスイッチがあるので、スイッチ操作時に触れやすい位置にある
以上、駆け足であったが、HPの2in1モデル、HP Elite x2 G8シリーズのアップデートポイントについて説明してきた。引き続き、次回の記事でテレワークで実際に使った様子をレビューしていきたいと思うので、そちらも併せて購入時の参考にしていただければ幸いだ。
PCのパフォーマンスとタブレットの
俊敏性を融合した2 in 1
HP Elite x2 G8
タブレット部分とキーボード部分が取り外し可能なデタッチャブル式の2in1。薄型で重さ820g※、キーボードとセットでも約1175g※の軽さと堅牢性のバランスを両立。第11世代インテル® Core™ プセッサー搭載し、多様なビジネス向け機能のほか、内蔵プライバシーディスプレイ、コラボレーションを促進する全方位マイクなど、あなたのビジネスを加速させます。
※最軽量時の質量です。質量は構成によって異なります