2023.04.20
ビジネスPC受注傾向を解説するCMITビジネス企画部部長 村上信武
日本HP担当者が、四半期毎のビジネスPCの受注トレンドを分析し、わかりやすく解説するコンテンツをスタートいたします。広くビジネスPC購買の参考にしていただければ幸いです。解説は、製品をベースにお客様のビジネスをドライブする役回りを受け持つ、CMITビジネス企画部部長 村上信武が担当します。(聞き手=Tech & Device TV編集部)
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「それでは実際のデータをご覧いただきながら、ビジネスPCの販売トレンドを解説いたします。さっそく2021年度第四四半期から2023年度第一四半期までの受注データの流れを見ていきましょう」(村上、以下同じ)
(注)データは、トレンドをより把握しやすくするため、エンタープライズ企業の大口購入データを省いております。
「まずビジネスデスクトップの筐体別の傾向ですが、SFF(スモールフォームファクター)タイプがもっとも選ばれています。SFFはタワーまではいかない中型サイズの筐体で、縦置きでも横置きでも使えるタイプです。また、そんなに顕著にはトレンドに出ていないように見えますが、DMタイプ(かなり小さめの筐体)のビジネスPCが伸びを見せています。これは業界全体を見渡してもそういう傾向が読み取れますね」
――DMタイプの伸びはどういうことを示しているのでしょうか?
「日本ではオフィスでも自宅でもスペースに余裕がありません。DMタイプはそれを考慮し、場所を取らないような筐体になっています。モニターの後ろなどにも設置でき、本体があることを気にせずに使えますので、そういう使い方を好む方が多いのではと考えています」
――小さな筐体が人気なのは理解できますが、一方TWRタイプ(タワー型)も微増しているように見えます。
「タワータイプも若干増えていますね。やはり、高い拡張性とパワーを求めるユーザーの方も一定数いらっしゃるということでしょう」
――今年度の第一四半期からMTタイプ(マイクロタワー)が登場していますね。
「日本HPでは今まで(このタイプは)出していなかったのです。タワー型ほどの拡張性ではありませんが、価格的にお求めやすくなっています。コストを抑えつつ拡張性を求めるお客様には向いていると思いますね。今後どういう動きを見せるのか、注視しています」
――ビジネスノートブックの方では、画面サイズで推移が示されていますが、14インチが非常に伸びている印象です。
「元々日本の市場全体では15インチサイズのビジネスノートブックが非常に多かったのです。そこにモバイルニーズから13インチが増えてきました。しかし、昨今はハイブリッドワークでオフィスでも使い、自宅に持ち帰っても業務をするというスタイルが定着しはじめているようです。すると画面サイズが13インチだとやはり小さい。15インチではちょっと持ち運びづらい。その中間の14インチサイズが選ばれ出しているのではと分析しています」
――働き方にリンクしているのですね。
「今の14インチでは、ベゼル(画面の枠部分)が狭くなっており、画面を広く使えるようになっています。それでも、どうしても大きいモニターがいいという人は、別にモニターを接続して使うという感じでしょうか。そうは言っても13インチのニーズも相変わらず根強いです。営業担当の方など、軽さを重視する方も一定数いらっしゃいますね」
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「次はプロセッサーごとにデスクトップとビジネスノートブックの状況を見てみます。デスクトップの方はCore i5がやっぱり一番多く出ていますね。やはりコストパフォーマンスを考え、4年から5年継続して使うということを考え合わせて、Core i5を選ばれる法人のお客様が一番のボリュームゾーンを作っているようです。ビジネスノートブックでも、Core i5がやはり多いのですが、注目したいのがCore i7への支持が増えていることですね。また、ラインアップを増やしたAMDモデルの製品も伸びています」
――一方、Core i3のモデルが減少していますね。やはりWeb会議などの時にパワー不足ということでしょうか。
「それは、やっぱりプロセッサーのパワーに関係するでしょうね。パワーのあるプロセッサーを選択する方がじわじわと増えているように思います」
四半期毎のデータを説明する村上部長
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「次はメモリの傾向ですが、これは見ての通りで、ビジネスデスクトップもビジネスノートブックも今後は16GBメモリが主流になってくるのかなと思います。それには二つの側面があります。一つはパフォーマンスのメリット。これはCPUよりもメモリに関係する場合も多いです。例えば、ZoomやMicrosoft Teamsを使いながらExcelやPower Pointを使うとなると、メモリに余裕があった方が速度は上がります。もう一つはコスト面でのメリットです。現在、メモリの価格が一時期に比べかなり安くなっており、大きなメモリを選びやすくなっているからです」
――16GBメモリの増え方は、ノートブックの方が大きいような感じがします。
「やはりデスクトップよりノートブックでWeb会議などを行う方が多いのではないでしょうか? どちらというとノートブックの方がWeb会議に使われやすいようです」
――逆に4GBメモリとかは消え去りつつありますよね。やはり快適に仕事をしたいならメモリを増やそうかなという気になります。
「4GBだと今後いろいろ厳しいかもしれませんね」
――メモリの価格が低めに安定しているうちに、思い切って大きなメモリのパソコンを購入するというのも選択肢かもしれませんね。
「今、メモリメーカーはメモリを増産しているようで、パソコン購入時にコストパフォーマンスよく大きなメモリを積めるいい機会と言えます。もちろんメモリの価格は乱高下したりしますので断定はできませんが」
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「次はストレージの傾向を見ていきましょう。ビジネスデスクトップでは256GB SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)がメインですが、512GB SSDがどんどん伸びています。特にデスクトップの方が保存容量を非常に重視されるポイントではありますので、やはり512GBぐらいあると安心ということでしょう。もちろん256GB SSDも増加傾向です。128GB SSDやHDD(ハードディスク・ドライブ)は縮小傾向です」
――HDDはノートブックにはほとんど見当たりません。ノートブックのストレージはほとんどSSDという認識でよろしいでしょうか?
「そうですね。操作性のスピードを求めれば、ノートブックのストレージにはSSDが選ばれることになるのでしょうね」
――256GBだと正直もう少し余裕が欲しい気がしますが、ファイルをクラウドに上げていくという方針の会社では、ストレージの大きさにはこだわらないのでしょうか。
「そういう方針はあるとしても、やはり手元のストレージには余裕が欲しいでしょう。256GB SSDがメインストリームではありますが、512GB SSDに増やしていこうという流れはあるのではないでしょうか?」
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「最後はOSの受注トレンドの変化です。Windows11が急激に今伸びてきているということは、パソコンの買い替えと同時にOSの入れ替えもしようという動きがもう始まっているのかなと感じます」
――Windows10のサポートが終了するのは2025年10月14日ですね。
「ビジネスに使うPCは一度買ったら5年は使いたいと思うでしょう。今Windows10のPCを買ったら、もう2年ちょっとでOSをアップグレードしなくてはなりません。そうすると、今のうちにWindows11のビジネスPCを購入するというのが自然な流れですよね」
――Windows11はアプリケーションの互換性などはもう安定しているのでしょうか。
「マイクロソフトはWindows10と11のアプリケーションの互換性は問題ないとアナウンスしています。またアプリケーションもクライアントPCにインストールするものから、ブラウザで使うものがメインになっています。そこはあまり心配しなくてもいいのではないでしょうか」
――ありがとうございます。Windows11への乗り換えを見越してマシンを選ぶこと、現在メモリ価格が安定しているので、大きなメモリを搭載してもそんなに負担にならないこと、ストレージは512GB SSDがあると安心だと認識しました。最後に何か村上さんのほうから、この春のパソコン選びについてメッセージをいただけないでしょうか?
「今も出ましたが、やっぱり大きなキーワードはWindows11への移行でしょう。そのために新規でパソコンを調達するときには、4年から5年は使うことを前提としてメモリやストレージをきちんと検討して導入していただければと思います」
Windows10のサポート終了を見越してWindows11購入が進んでいると語る村上部長
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