2024.09.04
ビジネスPCの選定において、「業務上で使用するソフトが快適に動けば良い」そういった感覚が近年大きく変化してきた。ハイブリッドワークへの移行、生成AIの登場などを受けて、ビジネスPCに求められるハードルは上がり続けており、現在では可搬性、生産性・業務効率、AI時代に対応したパフォーマンスなど、その要件は多岐にわたる。そこで本稿では高性能かつ低消費電力のプロセッサを提供するAMDと、同社製プロセッサを採用したモバイルPCの販売に注力する日本HPの担当者に話を聞いた。
※本記事はTECH+にて掲載されたものです。
高い技術力により、多くの半導体分野においてシェアを拡大し続けているAMDは、2017年に投入したZenマイクロアーキテクチャを用いたプロセッサを主軸に各種製品を展開している。
「現在はx86サーバープロセッサ市場において3台に1台がAMD搭載機という状況であり、いま最も勢いがあるのがAMD EPYCだと自負しています」と、コマーシャル営業本部セールスエンジニアリング担当の関根正人氏は力を込めて話す。
関根氏は、AMD製プロセッサ搭載サーバー/クライアントPCの拡販を技術面でサポートする役割を担っている。現在では今後を見据え、AI処理に特化したNPUを搭載する“AI PC”や、データセンター向けGPUなどAIにフォーカスした活動を強めているそうだ。
AIに関してAMDは2023年、初のAI専用エンジン、AMD Ryzen™ AIを搭載したAMD Ryzen 7040シリーズをリリース。「多大な反応があり、お客様からの問い合わせも一気に増えて、大手企業からもご指名をいただくケースが多くなっています」と、ハイタッチでアカウント営業の責任者を務めるコマーシャル営業本部長の楊博光氏は手応えを語る。続けて、ローカルで処理を行うAI PCについては「徐々に出始めてはいますが、ようやく準備が整った形でしょうか。本当にこれからの領域であり、ここ数年にかけて、必要とされるお客様から需要は、増えていくと思います」と、その感覚を話してくれた。
日本AMD株式会社 コマーシャル営業本部 部長 楊博光氏
Zenアーキテクチャの投入からAMDはビジネスPC業界においても圧倒的な存在感を示してきた。現在のビジネスPCに求められるのは、高性能と低消費電力の両立であると関根氏は説明する。例えば、ビジネスで必須となったWeb会議を他のソフトと同時にマルチタスクで快適に使用するには、高い性能を有しながら、バッテリーでも長時間駆動するPCが必要になる。ビジネスパーソンであれば、社外はもちろん社内の会議室でも、電源を探して慌てたケースが何度かあるはずだ。
その点、AMD Ryzenシリーズは、高性能と低消費電力を両立しているのが強みであり、特長だ。これはいうまでもなくAMDの高い技術力があってこそ実現されたものだろう。
「AMD RyzenはノートPCで最大8コアのハイパフォーマンスでありながら、省電力・低発熱を実現しています。イメージとしていうと、CPUのコアサイズが他社製の半分の面積なので、同じ作業に対するコンピューティングリソースの提供を半分の電力で済ませられるということです。その結果、熱くならず、ファン音も静かになり、バッテリーライフも長くなります」(関根氏)
関根氏の言葉を受けて、楊氏は「膝の上にPCを載せて仕事をするケースもあると思いますが、そうした場合でもほとんど熱くならず、快適ですよ。バッテリー駆動時間も、Web会議を長時間行っても充電の必要を感じず、私は日帰り出張なら電源アダプターを持っていきません」と強調した。
AMD Ryzenシリーズにおけるハイパフォーマンス×低消費電力の魅力について関根氏は、「実際に評価していただくと、“あ、これ全然ちがうね”とAMD搭載PCを導入していただけるお客様が増えています」と話す。
加えて、ハイブリッドワークの浸透により社外でPCを用いる機会が増えた現在、セキュリティ性もビジネスPC選定の上で重要なポイントになるが、AMD Ryzenプロセッサでは「Zenアーキテクチャ自体がセキュリティを重視して設計されていますし、ほかにも何層にもわたって強固なセキュリティ機能を実装しているので、いつ、どこに持ち歩いても安心を担保できます」と楊氏。
加えて関根氏は「AMD Ryzen、とくにエンタープライズ向けプロセッサのAMD Ryzen Proは、メモリーを暗号化するメモリー・ガード機能を備えています。PC本体のHDD/SSDが暗号化されていても、スリープ状態で電源が入っているとメモリーからデータを盗まれてしまう可能性がありますが、この機能はメモリー内のデータをすべて暗号化するため、より安心度が高まります」と、その強みを披露した。