2021.04.22

通信環境が厳しいサーキットでリモート操作を実現
第一線で活躍するクリエイターを支えるHPテクノロジー

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動画コンテンツのクリエイターは扱うコンピューターのパフォーマンスのほぼ100%を使い切ることが日常となっている職業だ。当然、コンピューター選びも大切になるが、遠隔地へいく機会も多い彼らをサポートするには、さらなるソリューションで支える必要がある。ズィープロダクションのシミズ氏は、新たなコンピューター環境の構築を目指す中でPoCを実施、業務効率のヒントを得たという。彼の取り組みがどのような内容だったのか伺ってきたので紹介しよう。

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ズィープロダクション 代表取締役社長 シミズヨシユキ氏

自動車業界のホットな コンテンツを市場に提供

有限会社ズィープロダクション(以降、ズィー プロダクション)は、テレビCMやWebサイトのスペシャルコンテンツの企画、ディレクション、制作を手掛けている企業だ。「弊社はクルマに特化した映像制作をメインに、お客様が望むコンテンツ作りにおいて、企画段階からご提案できるのが強みです」と語るのは同社代表取締役社長シミズヨシユキ氏(以降、シミズ氏)だ。

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クルマ専門のクリエイターとして幅広く活躍(SS/YZ Racing with Studie / Panasonic | LUMIX)

同社は創業以来、Flashを使ったコンテンツ制作から、リッチメディアへ。さらに近年になってからはよりニーズの高い動画での表現へとコンテンツメディアを変化させていった。「2014年ぐらいからWebコンテンツに動画を使うケースが増えてきました。YouTubeの登場以来、みなさまが動画を身近に感じるようになったからだと思います」とシミズ氏はその背景を語る。

シミズ氏はディレクターとしてだけでなく、クリエイターとしても一線で活躍してきた経歴を持っている。そんな彼が動画を扱うようになってから使用する機会が増えているのが、Windows PCであり、より負荷の高い作業が要求されるようになった近年ではワークステーションも活用している。「時代の流れとして4Kコンテンツへの対応も視野に入れていくとなると、より強力なマシンが必要になります。そこでHPさんに協力してもらう形でワークステーションの本格導入を前提としてPoCを実施することにしたのです」とシミズ氏。こうして同社の業務の中で実際にHPワークステーションを試行する取り組みがスタートした。

HPが提案したリモート技術

ズィープロダクションが手掛けるコンテンツは十数人規模のクリエイターやスタッフを集めたビッグプロジェクトから、シミズ氏が単独で制作する小回りの利いたプロジェクトまで幅広い。「クライアントが要求する世界観によって、プロジェクトの規模も変わります。以前は大掛かりなものが多い傾向にありましたが、近年ではシンプルに早く進めたいというニーズが強く、私が単独で制作するパターンの仕事が多くなっていますね」と語るシミズ氏。この場合、同氏が一人で企画、取材、撮影をおこないつつ、編集もこなさなければならない。

「目的をヒアリングさせて頂いた上で内容の構成や全体的なイメージを組み立ててご提案。そして撮影から編集、納品という流れが多いですね。しかし、例えばレース動画を作るときなどは決まっているのが日程だけで、その中で何が起こるのかは誰にも分からないという案件もあります」と、クルマ業界のコンテンツ制作の難しさを語るシミズ氏。

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何が起こるか分からないレースをモチーフにすることも多い(BMW Team Studie | Photo:田村 弥)

やり直しがきかないという緊張感の中、サーキットと近隣のホテルを往復して数日掛かりで撮影にあたることも多いという。「サーキットという施設は騒音対策として山中に建設されることが多いのです。当然、ネット回線も細く、途切れることさえあるほどです」とシミズ氏。そんな環境下でのコンテンツ制作や編集は難易度が非常に高い。「これまで、サーキットなどで事務所を離れる間は、仕事を一度止めて向かう必要がありました。急な業務が発生しても事務所に戻るまで取り掛かれないので、クライアントを待たせてしまったこともありました」とシミズ氏は語る。

その仕事内容やワークステーションへのニーズの高さを聞いたHPがシミズ氏に提案したのがプロセッサーにインテル ® Xeon® W-2155プロセッサー、メインメモリは32GB、グラフィックスにNVIDIA Quadro RTX5000 を採用した、HP Z4 G4 Workstation(以降、Z4 G4)と、独自の圧縮技術「HP3テクノロジー」を採用することで、バンド幅の狭いネットワークでもデータ転送を可能とするリモートサービス「ZCentral Remote Boost」の組み合わせだ。

実際の業務の中でのリモート活用

「仕事で使う編集ソフトウェアはMac専用としてFinal Cut Proだけでなく、Windows系でも使えるAdobe Premium Pro、Blackmagic DAVINCI RESOLVEを組み合わせて使っています」というシミズ氏。今回のPoCには使い慣れたAdobe Premium Proを選んだという。「コンテンツの中にはいくつもエフェクトをかける動画もあるのですが、Z4 G4はストレスなく動かすことができます。パフォーマンスの高さはさすがだと思いました。た だ、ZCentral Remote Boostのほうは最初にどんな使い方をすればよいかイメージが掴みづらかったです」と振り返るシミズ氏。初期導入において事務所のVPN設定で若干戸惑ったところがあったという同氏だが、それが解消されてからは遠隔地からMacbookでZ4 G4へ簡単にアクセスできるようになったという。

「ちょうどPoC環境が整ったときにレースを題材にしたコンテンツ制作の依頼がありました。現地へは撮影機材のほか、確認用や簡単なデータ管理用にMacbookを持っていきました」とシミズ氏。サーキットでの撮影は順調に進んでいったが、突然緊急の依頼が飛び込んできたのだという。「出発前に納品したデータがあったのですが、その中のテキストを一部差し換えて欲しいという依頼でした。もちろん、納品済みの案件だったのでデータは持っていませんから、現地で修正して再納品することもできません。今までだったら確実に待たせてしまう案件です」と語るシミズ氏。

同氏はリモートでZ4 G4が動かして対応できると期待し、その緊急依頼を引き受けることにした。そしてサーキットのか細い回線を使いながら、事務所のZ4 G4へアクセス。そのままアプリケーションを起動し、NAS上のデータを読み込み、該当部分のテキスト編集をおこなったという。「実はテスト稼働させたときには、先ほども触れたようにリモート作業のイメージがわかなかったのですが、こうして実際の業務として利用してみるととても価値が高いソリューションだと気が付きました。まさに習うより慣れろですね (笑)」とシミズ氏は語る。

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サーキットや海外への遠征も多いシミズ氏。Z4 G4とZCentral Remote Boostが業務効率化と新たな発想の実現をサポートする

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プロが手掛ける動画コンテンツ制作にも対応するパワーを持つZ4 G4

新たな活用方法も視野に

無事に緊急依頼をこなし、レースコンテンツもスケジュール通りにこなすことができたシミズ氏。「それ以降はあえてスマートフォンのテザリングでも動かしてみましたが、きちんとZ4 G4を遠隔操作することができました。現在では回線がつながりさえすれば事務所のワークステーションが動かせるという安心感が、仕事をする上での精神的な支えになっています」と同氏は感想を語る。

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以前はハイスペックなゲーミングモバイルPCを現地へ持ち込むこともあったが、重さが気になり現在のスタイルになったという清水氏

ただし、PoCを続ける中で課題も見えてきているという。「ZCentral Remote Boostのリアルタイム性がとても高い点はとても評価できるのですが、さすがに1/1000秒単位で音楽のリズムと動画をシンクロさせる作業では遅延が起こってしまいます。また、これは私の運用上の課題になりますが、コンテンツの制作データをローカルに残すか、NASに残すかをきちんと整理したいと思いました」とシミズ氏。同氏はシビアな同期が必要な作業はなるべく事務所で完了させるようにして、現場での修正がないように優先的に仕上げるなどの工夫をすることでこれを回避、データ管理についても緊急の修正がありそうなものだけローカルに入れて持ち歩き、そうでないものをNASで保管するなどで対応していく予定だという。

「他にも現地での撮影前にリモートでエンコードを命令しておき、その日の仕事が終わったあとにホテルに帰って結果をリモートで確認するといった使い方もできるようになります。Z4 G4とZCentral Remote Boostの組み合わせがあれば、私自身の負担も少なくなりますし、クライアントも喜んでくれる。そしてなによりコンテンツを待っている消費者のみなさんに早く楽しんでもらえるようになると思います」とシミズ氏は最後に語ってくれた。PoCにより、新たな可能性を見出したズィープロダクション。同社のさらなる活躍を支えるべく、HPはサポートを続けていく。

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過酷な制作環境への負担を軽減させるHPテクノロジー(SS/YZ Racing with Studie / Panasonic | LUMIX)

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