2021.07.16

自社で繰り返し学習が無制限におこなえる
AI画像判定パッケージソリューションにHPワークステーションが貢献

株式会社YE DIGITAL/株式会社大塚商会

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AIによる画像解析技術は日々進歩を続け、汎用性の高さからあらゆる業種で採用されている。株式会社YE DIGITALがリリースした「MMEye Box」は、AI画像判定ソフトウェアと、それを稼働させるためのHPワークステーションをパッケージとして提供するサービスだ。同社のノウハウにより、検査前後の工程のロボティクスまで提案できる懐の広さと相まって、すでに市場に広く受け入れられている。どのようなサービスなのか、話を伺ってきたので紹介しよう。

繰り返しの学習で精度をアップ

株式会社YE DIGITALは、前身となる安川情報システム株式会社から2019年に社名変更した企業だ。そんな同社は、1978年に創業して以来、企業の基幹システムの導入や運用、経営支援をはじめ、工場などのライン制御や製品組込などの支援を行ってきた経緯がある。もともと製造業に強みを持っていた同社は近年ではIoTベンダーとしても事業領域を広げ、これまでのノウハウを活かしたソリューション開発・販売でも多くの企業の支持を得ている。

「『MMEye』は工場の中での検査工程に使うAIソリューションです。製造ラインでは生産品を人海戦術によって目視検査をしているケースがほとんどです。そこでこのAIによる画像解析技術を使い少人化や運用コスト削減を実現します」と語る片岡氏。

MMEyeは、食品製造などの個体差がでる製品において特にニーズが高い特長があるのだという。「食品は曖昧な判断をしなくてはならなかったり、個体差があったりするものはどうしても目視でないと対応できないことが多かったのです。しかし見落としが起こりやすく、精度も作業者によって違いが出るなどの課題がありました」と語る森山氏。従来のAIによる自動化ソリューションでは曖昧な判断をする際にパラメーター設定が難しい側面があったのだ。

「従来の機械学習だけでは判別が難しかったものでも、繰り返し学習させることで精度は上げられます。今まではPoC(概念実証)のための期間や肥大化する開発コストとの兼ね合いで実行することが難しかったケースも多かったと思いますが、大塚商会様と共にお客様自身で学習の繰り返しができるようにパッケージ化したのが今回ご紹介する『MMEye Box』になります」と片岡氏は語る。

株式会社YE DIGITAL ソリューション営業本部 パートナー営業部 片岡 幸太郎 氏

ワークステーションとAIをBox化

株式会社大塚商会は、オフィス用品からIT機器・ソリューションの調達まで幅広い商材で多くの企業を支え続けている企業だ。MMEyeを中核に、AIによる学習をさせるためのコンピューターをパッケージにした「MMEye Box」を提案したのは同社の戦略推進課だ。

「主にサーバーやパソコンなど、ハードウェアでソリューションをバックアップする部署になります。パートナー企業の方がビジネスしやすいようにPR活動などもおこないます」と部署の役割について語る藤田氏。

株式会社大塚商会 マーケティング本部 CADプロモーション部 戦略推進課 課長代理 藤田昌弘 氏

そんな戦略推進課が提案したMMEye BoxのためのコンピューターがHPワークステーションだ。

MMEye Boxの標準コンピューターとなっているのはHP Workstation Z4 G4だ。CPUには可用性の高いインテル® Xeon™ Wプロセッサーシリーズ、AIによる機械学習に必須のグラフィックスにはNVIDIA® Quadro RTX 5000が採用される。

「MMEyeの動作要件に最も合うのがZ4 G4でした。特にGPUはAIを動かすために高性能な製品が必須なので、スムーズな運用にはRTX5000クラスのグラフィックスは欠かせません」と森山氏。

株式会社YE DIGITAL マーケティング本部 事業推進部 ソリューション担当課長 森山 藍 氏

「MMEyeをインストールすることで、AIのすべての情報がそのコンピューターに集積され続けることになります。ですから、信頼性の高さが最も重要です。そうした観点からもHPのワークステーションを推薦させていただきました」と藤田氏は、これまでに数多くのHPワークステーションの導入実績を持ち、エンドユーザーの声を直接聞いてきた大塚商会ならではの視点でZ4 G4を選択した理由を説明する。

MMEye Boxの中核となるコンピューターに選ばれたHP Workstation Z4 G4

自らAIに教えることで指標の標準化も実現

「MMEye Boxをご導入いただいたお客様は自身の手で機械学習を何度も繰り返すことができます。曖昧な仕上がりのものが多い製品でも、判断の精度が学習するほど高くなります」と森山氏。機械学習のためのPoCをベンダーに依頼すると当然コストが発生する。製造ラインひとつで1製品だけを作り続けるならまだよいが、実際には季節や新製品などの理由で、同じ製造ラインでも複数製品を対象にするケースも多い。

「その都度AIを教育するためのPoCをすればコストは膨らんでしまいます。MMEye Boxならお客様自身でオペレーションできますから、そのための追加予算は不要です」と片岡氏は語る。

また、これまで属人化しがちだった検品ノウハウについても、MMEye Boxを用いることで標準化が図れるのだという。「機械学習といってもオペレーションはとても簡単です。ラインから出てきた製品写真を並べ、不良品を選び、それをエラーとして覚えさせるだけなのでUIはとてもシンプルです。この操作をベテラン検査員にやってもらえば、どこまでが不良で、どこからが製品として出荷できるか曖昧だった判断に線引きもできます」と森山氏は語る。

また、先ほど例に挙げた食品製造業者では本来は出荷できる製品を厳しすぎる判断によって廃棄してしまうケースも多いのだという。「それが食品業界にとってはフードロスに繋がっているのです。いわゆるセーフとする範囲もMMEyeに覚えさせることができますから、そうした問題も一度に解決できます」と森山氏。

日本企業独特ともいえる課題だが、いくつものラインで毎日製品が流れる中、フードロスは無視できない問題といえる。さらに企業にとってはフードロス削減だけでなく、廃棄のために発生するCO2削減などにもつながるため、環境への取り組みとしてもPRできる要素にもなり得る。

「その視点でいえば、MMEye Boxを原材料の管理部分に採用すれば、原料ロスの課題にも対応できることになります。双方を合わせて考えれば、コスト面でも資源面でもメリットは大きいですね」と森山氏は語る。繰り返しの学習によって成長させられるMMEye Boxによる可能性は無限の広がりを見せるのだろう。

曖昧な判別の精度を上げるには繰り返しの学習が欠かせない

MMEye Boxが拓く新しい価値の創造へ

「すでにご導入いただいている企業様からは、少人化と人件費の削減に成功した、あるいは不良品の発生率が大きくダウンした等のお声をいただいています。今は食品業界に広く受け入れていただいていますが、繰り返しの検証ができるメリットを活かせる業種はまだまだたくさんあると思っています。お客様の新しいビジネスを作っていくという強い思いやアイデアによって、様々な使い方がこれからも生まれてくるのだと考えています」と片岡氏は語る。

「MMEye Boxも入口から出口まで、ワンストップでご提供できるソリューションですが、お客様の中にはその仕組みをひとつの機械としてまとめて欲しいといったご要望もいただいています。それが実現すれば、AIを通じて実験的に製品を流して学習させるといったことも簡単になりますし、設置場所も問わなくなります。今後はそういったお声にお応えできる製品もご案内したいですね」と森山氏は展望を語る。

安川情報システム株式会社時代から引き継がれる製造業でのノウハウを活かし、AI 画像判定サービス前後の工程のロボティクスによる自動化までワンストップで提案できる

「扱うデータが不良品ということもあって、クラウドへデータを集積することを敬遠するお客様もいらっしゃいます。その点、MMEye Boxはオンプレミスのシステムなので安心してご利用いただけるメリットもあります。片岡氏も触れていらっしゃいましたが、他の業種でも十分ご活用いただけるポテンシャルを持っている製品だと考えています。今後もより多くの企業のみなさまへアプローチしていきたいと思っています」と藤田氏は最後に語ってくれた。

HP も両社の取り組みを支えるべく、これからもサポートを続けていく。

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