先日、日本テレビ放送網がeスポーツに関する事業展開の発表や、eスポーツシーンを配信する地上波放送する旨を明らかにするなど、各メディア等でeスポーツに関する記事に触れる機会が増えてきています。
「eスポーツ」とは「electronic sports」の略で、バスケットボールやアイスホッケーの様に、5人もしくは6人を1チームとして、チーム同士が対戦するコンピュータゲームの競技の事です。


どうしてコンピュータゲームがスポーツなのだろうか?と思われる方が多いのではないかと思います。日本でスポーツと言えば、野球、サッカー、水泳等、実際に身体を使った競技だけを指す場合がほとんどですが、ヨーロッパ、アメリカ、一部のアジアの国では、スポーツと言えばビリヤードやチェス等を含めた全ての競技を指すのが一般的であり、多くのプロプレイヤーが活躍し、社会的地位も他のスポーツ選手と何ら変わることはありません。


アメリカの4大プロスポーツリーグの一つであるNBAは、今年の5月からeスポーツリーグであるNBA2K Leagueの運営を開始し、NBA全30チームのうち17チームが参加しています。傘下に102名の「eスポーツ版NBA選手」のロスター登録を行い、シーズン中は各チームの所在地に生活拠点を構え、チームメイトと共にトレーニングを積み、公式戦を戦います。



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また、ヨーロッパのサッカー名門クラブであるバレンシアCFがeスポーツ部門を設立していますし、サッカーのコロンビア代表選手であるハメス・ロドリゲスも、サッカーの人気ゲームタイトルである「FIFA18」のファンであることを公言し、eスポーツのチームにも加盟しています。



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さらに現役F1ドライバーであるフェルナンド・アロンソもeスポーツチームに参加し、バーチャルステージでの競争を行う事で、レースに参入するチャンスがない若いドライバーにとって、大きな可能性を開くとコメントしています。これは、ゲームのテクノロジー進化によって、「ドライビングシミュレーター」と言える程の完成度をほこるレーシングゲームが登場したことにより、これからは「レーシングカート出身のF1ドライバー」ではなく、「レーシングゲーム出身のF1ドライバー」誕生の可能性も秘めているという事となります。ゲームはこれまで想像も出来なかった活用方法が期待されます。


これらアメリカ、ヨーロッパ、中国を中心としたeスポーツの規模はとても大きく、ゲーム市場に関する米国の調査会社のNewzoo社によると、2018年のゲーム市場は1379億ドル(15兆円)、前年比で約13%の成長見込みとしています。さらに同社は業界が毎年2桁成長を続けていくと予測していて、CAGR(※年平均成長率)は10.3%となり、2021年には業界の収益は1801億ドルに達すると予測しています。

一方で日本は「eスポーツ後進国」と言われていますが、同社の調査によると世界に於ける日本のゲーム市場規模は$19,231Mで、中国、アメリカに次ぐ第3位です。4位の韓国($5,647M)、5位のドイツ($4,687M)を大きく引き離している「ゲーム大国」であり、決して後進国等ではない事は明白です。


日本がeスポーツと言うジャンルに於いて遅れているとされている要因は次の3つ考えられます。


一つ目は、前述の様にゲームを野球やサッカーの様に「競技」と見做す土壌がないのに加え、かつては非行とのつながり、長時間の過度なプレイによる健康被害等、ゲームについて負の側面ばかりが取り上げられていたことが挙げられます。


二つ目は、ゲーミングデバイスのプラットフォームとネットワークインフラ環境の相違から、日本にはネットワーク対戦型のゲームの普及が遅れたという背景があげられます。日本は80年代から多くの家庭でゲーム専用機が広く普及していて、非常に幅広い年齢層がゲームを楽しむ環境にあり、日本のデベロッパーも優れたヒット作を出し続け、世界市場で多くのシェアを獲得していました。その後90年代後半に入ると、コンピュータグラフィックスの普及により、米国のデベロッパーを中心にその美しいグラフィックスを特長としたPC版ゲームで続々ヒット作が生まれました。さらに当時から普及していたブロードバンドネットワークによるPC同士による対戦も行われるようになり、自作PCを一つの会場に持ち寄ってネットワーク対戦を楽しむLANパーティと呼ばれるゲームのコミュニティが広がりました。そこから対戦型のeスポーツと言うジャンルが確立されてきたのです。


対して、その当時の日本はゲームを楽しむ世代がブロードバンドの回線を利用できるほど本格的に普及が進んでいたとは言えず、日本のデベロッパーでも国内の売上はゲーム専用機版が中心であり、PC版の販売比率も少ないことから、ネットワーク対戦型のゲームが少なかったのです。また、これらの当時の海外の人気タイトルは遅れて日本語化される場合もあり、日本では「洋ゲー」と呼ばれ、一部の熱狂的なファンの間で人気を博するに留まっていました。このようなゲーミングデバイスのプラットフォームとネットワークインフラの相違という背景が、日本での対戦型ゲームの普及に影響したと思われます。



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三つ目は、eスポーツにおける優勝賞金をめぐる状況。海外ではeスポーツイベントに参加する際、主催者側が参加選手や来場者からも参加料を徴収し、優勝賞金もこれらの参加料やゲーム内の課金による収入を原資として充てるため、2400万ドル(約27億円)等高額な賞金の大会も可能になっています。一方、日本の刑法ではこれが偶然の勝敗に関して財物を賭けてその得喪を争う「賭博」に該当する事、風営法でいうところのアミューズメント施設と見做され、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない事、民法で定める景品表示法等に該当する可能性があるといった理由から、高額の優勝賞金の大会の開催が困難という事が挙げられます。


しかしながら、野球やゴルフ等のスポーツをその賞金獲得を主たる理由としてプレイする人はごく一部であると考えるのが自然であり、ゲームもゲーム自体の楽しさに加え、その競技性、仲間とのコミュニケーション、上級者同士の対戦を観戦する楽しみなど、野球やゴルフ等と何ら変わりないことから、筆者は上述の三つ目の理由については、日本でeスポーツの普及が遅れていた理由にはならないと考えます。むしろ競技に負けた方が一方的に金銭的な負担(参加費)を負うことを禁じている日本の法律の方が健全かつ合理的であると考えます。


以上の事より、遅れているとされていた日本のeスポーツシーンですが、ここ数年の間に環境が変化しつつあります。


まず今年の3月にはJリーグがeスポーツ大会「明治安田生命eJ.LEAGUE」を初めて開催することが発表され、「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」という理念を具現化する手段としてeスポーツが取り上げられました。世界最大の対戦格闘ゲーム大会である「Evolution Championship Series」が、今年初めてアジアで開催され、そのトップ・パートナーとして日清食品様が協賛する等、日本の大手企業がeスポーツイベントに協賛し始めています。


さらに8月18日からインドネシアのジャカルタで開催される、アジアオリンピック評議会(OCA)主催のアジア競技大会2018に於いて、サッカーゲームのFIFA17がeスポーツのメダル種目として正式採用され、中国の杭州で開催予定のアジア競技大会2022に於いてもeスポーツが正式競技として採用されることが決まりました。日本としてもこれらの大会に選手を派遣する条件であった「当該競技国内唯一の統括団体であること。」をクリアにすべく、これまで3つ存在していた団体が日本eスポーツ連合(JeSU)として一つに纏まりました。これにより、早ければ2024年のパリ大会からオリンピックの正式種目になるとされているeスポーツに、日本代表選手を輩出する事を目的として、日本オリンピック委員会(JOC)への加盟を目指したり、それに呼応する形で日本の高校でも初めてeスポーツの学科が出来たりする等、eスポーツを取り巻く環境や人々の意識が大きく変わってきています。



昨年12月に開催されたLANパーティ
「C4 LAN 2017 WINTER 」

また、ゲーミングのプラットフォームに於いても近年は日本でも独立型の高機能グラフィックスを搭載し、排熱機能に優れた「ゲーミングPC」の売り上げは著しい伸びを示しています。これらを押し上げている要因として、マイクロソフトの「Microsoftストア」、Valveの「Steam」やUbisoftの「UPLAY」など、大手ゲームパブリッシャーがクラウド技術を使って各ユーザーのゲーム所有権を管理しつつ、ゲームタイトルのオンライン販売を実践するようになり、世界中のユーザーが安心してPCゲームを購入できる様になったこと、さらに、「英語版しかない」ということも以前と比べて少なくなり、日本でゲーム専用機向けにリリースされているゲームのWindows版は、ほぼ間違いなく言語設定で日本語が選べる様になっていることが挙げられます。ゲーミングPCは今や家庭用ゲーム機と肩を並べるほどのプラットフォームになっていると言っても過言ではないと考えます。


更に前述の日本eスポーツ連合が予定しているプロライセンス発行をすることにより、これまで以上に高額賞金の大会が開催できる様になり、PCメーカー等が中心となって主催する参加料無料のイベントも増えています。


以前に比べると明らかにeスポーツという言葉を聞く機会は増えてきています。しかし、これらをあくまで欧米や中国を中心とした話で日本は関係ない、もしくは日本でも一部の熱狂的なファンの間の中だけで行われる限定的なのコミュニティでの話と捉えていると、ビジネスの可能性を逸してしまうかもしれません。実際のスポーツと同様に、eスポーツでも大会に参加できるレベルの腕前を持っているアスリートはほんの一部で、最近ではオンラインなどでその様子を視聴する「視聴者層」と言う新しいマーケットが出現しています。アジア太平洋地域に限定しても中国だけで1.5億人、日本でも1千万人の視聴者がいると推測され新たな市場として、注目されています。


パートナーの皆さまや私たちPCに関連する業界で働くビジネスパーソンにとって、eスポーツは伸長する市場であり、またビジネスとして大きな可能性を秘めた新しい市場として目が離せない存在になるのではないでしょうか。



OMEN by HPのスポンサーチーム「野郎連合」

日本HPでもeスポーツの分野に注目し、ゲーミングPC製品の開発に注力をしています。
7月にはOMEN、Pavilion Gamingの2ブランドから4機種を新たに発売。プロ仕様からライトユーザー向けまで、多彩なラインナップをそろえています。さらにプロゲーミングチーム「野良連合」をスポンサーチームにするなど、世界規模で急成長を続けているeスポーツの世界をサポートしています。



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日本HP Partner News 2018年7月24日号 特集記事]
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