日本HPは、2018年1月から2月にかけて、販売パートナー向けイベント「HP Partner First Forum 2018」を大阪、名古屋、東京の3都市で開催した。今回のパートナーニュースでは、2月6日に東京で開催された、「HP Reinvent World 2018」の様子をお届けする。

●未来のメガトレンドに合わせたテクノロジー開発

代表取締役 社長執行役員 岡隆史氏
代表取締役
社長執行役員 岡隆史氏

 会場となった虎ノ門ヒルズフォーラムには、当日約650名のお客様が集まり、熱気に包まれた。セッションは日本HP 代表取締役 社長執行役員、 岡隆史氏によるHPの事業戦略の説明でスタート。冒頭では、HPの事業状況に言及した。現在、売上5.8兆円、利益4,300億円、世界170カ国でパートナーは25万社以上、特許1万8,000以上を保有。1秒に2.7台ものPCとプリンターが出荷されている計算となり、世界シェアNo.1(注)であるという。


 続けて、世界初となるイノベーションを追求してきたHPのこれまでの歴史を振り返った。たとえば、デスクトップPC、インクジェットプリンターやオフィス向けレーザープリンターはHPによる世界初のもの。「現在も、3Dプリンター事業の推進や、VR専用のワークステーションを昨年リリースするなど、いま世の中にないものを新しく提案し続けています」(岡氏)。


 そして、このような挑戦の土台として、HPが予測する4つの「未来のメガトレンド」が紹介された。

 1つ目は「急激な都市化」。

 2つ目は「人口動態の変化」。日本の少子高齢化が進む一方、世界では若者の人口が増えるという地域もあると指摘し、それぞれの地域に合ったテクノロジーが必要になると見込む。

 3つ目は「ハイパーグローバリゼーション」。さまざまな国の人々が言語や国境を越えてコミュニケーションをとるようになると予測する。

 4つ目はこれらを踏まえた「イノベーションの加速」。



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 このようなメガトレンドの予測は、世界3か所にある研究機関、HPラボ(HP Labs)が中心となって行っているといい、「50年の歴史があり、50年先の世の中を常に考え、予測しています。そのメガトレンドに合わせた商品をHPは世に送り出していることが強みです」と自信をのぞかせた。

 上記を踏まえ、現在注目しているトレンドキーワードも紹介。なかでも「パーソナライズ」に着目し、ITリテラシーの高い人々が増える中で、彼らは画一的な既存の商品やサービスを利用するのではなく、自身に合ったものを選択していくと予測する。

 また、Uberのカーシェアリングサービスなどに代表される「サービス化」も注目だという。さらに、デジタルと現実の融合を指す「Blended Reality」、AR(拡張現実)などもキーワードに挙げ、「こうしたトレンドの中で、HPはどのようなテクノロジーによってイノベーションを起こせるかを考えています」と語った。

●コア&成長事業だけでなく将来事業へも積極投資

 続けて、事業としてどのような選択と集中を行うかについて、3つの分野に分けて説明した。

 1つ目は「コア事業」。PCなどのデバイス全般やプリンターで33兆円の市場規模を見込む。2つ目は2〜3年先にコア事業になることを目指す「成長事業」。24兆円の市場規模を見込む。

 加えてプリンティングのデジタル化が世界で10%しか進んでいない点を指摘し、「パーソナライズ化し、カスタマイズが必要な世の中になるというトレンドの中、40%は伸長する余地があります」とその成長性を強調。HPはこの分野で積極的に開発投資を行っているという。

 3つ目は「将来事業」。イマーシブやVR/AR/3Dといった領域で、「市場規模は無限大です。HPは現在、非常に大きな投資をしています」と力を入れる分野だ。特に、現在は主にプロトタイプ製作で使用されている3Dプリンターが、製品製造にまで使用領域が広がれば、大きな伸びしろになると期待を寄せる。実際にHPでは製品部品を自社の3Dプリンターで作成、製品に実装している。

 「4〜5年先に花咲くだろう将来の事業に一定規模の投資を続けます。また新たなテクノロジーやイノベーションが誕生した際には、その横展開をして新たな事業を創造していきます」と、HPの姿勢を語る岡社長。最後に「それぞれの国に合わせてカスタマイズし、お客様にとって一番良いサービスを提供するというのがHPのポリシーです。これからも皆様のビジネスのお役に立てるように頑張ります」と締めくくった。


続いて、東京大学名誉教授の舘 ワ(たち すすむ)氏による「最新テクノロジーが切り拓く未来」と題した基調講演が行われ、バーチャルリアリティの可能性とビジネスについて専門的な知見が披露された。講演の詳細は、Reinvent World2018 Onlineへアクセスしてほしい。

●Office of the Futureで未来のオフィスを創造する

専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括 九嶋俊一氏
専務執行役員
パーソナルシステムズ事業統括
九嶋俊一氏

 エンドユーザーとパートナーの共通セッションである第1部の締めくくりとして、日本HPの専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括、九嶋俊一氏が登壇。「HP Office of the Future」 がテーマだ。

 まず、岡氏のセッションでも説明があったメガトレンドに触れ、具体的にはどのようなITデバイスの機能が必要かなどについて改めて言及した。

 「急速な都市化」に対しては、自宅のオフィス化を含めた、スマートオフィスを実現するITデバイスが必要になるだろうと予測。「ハイパーグローバリゼーション」することで世界中どこでも仕事ができる一方、24時間働くことはできないため、地球レベルでのワークフローの構築が必要になるとした。

 また、「イノベーションの加速」に関しては、デジタルと現実世界の融合やAIの活用がテーマになるとともに、働く環境が変化していくだろうと示唆した。


 さらに世界ではミレニアルズ世代が存在感を増し、2020年にはデジタルネイティブが働く人々の50%になるという「人口動態の変化」が起きる一方、ベビーブーマーを中心とした高齢者が元気に働くことから、まったく異なるバックグラウンドを持つ世代が、同じ環境でコラボレーションするためのIT支援の必要性が高まるとした。

 「あらゆる場所の人々がつながり、コラボレーション型の仕事が重要になるなかで、どのようなデバイスをどのように利用するのがよいのか、青写真を描く材料を提供します」(九嶋氏)。

●Office Of The Futureを支えるテクノロジー

 そしてテクノロジーによる課題解決のフレームワークとして、5つの柱を挙げた。
 1つ目として「デバイス」「性能や堅牢性」とともに「デザイン」が大事になると指摘。

 2つ目は「ワークスペース」。フリーアドレスなどオフィスをオープン化するとともに、VRやAR、3D技術がキーになると示唆した。

 3つ目は「コラボレーション」。「会議品質」を担保するテクノロジーが重要になるとする。

 4つ目の「スマートオフィス」ではスマートシティをイメージ。「利便性の高いオフィスを提供するために、センサー技術とAIとクラウドを組み合わせます」と説明した。

 5つ目が「シームレス」。上記4つのテーマをあらゆる場所で実現するためのテクノロジーが大事になるという。


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 「この5つの柱を設計の方向性の軸として、新製品を投入していきます」とし、具体的な製品についても例示した。

 そして九嶋氏は、外出先でも心地よく仕事ができる技術を多く取り入れてきた2017年を踏まえ、「2018年で一番強化しようとしているのはセキュリティ。柔軟性と安全性をトレードオフでなく両立させます」と、今年の方針を示した。

 2017年の第一四半期に新しいマルウェアが4.2秒ごとに出現するなど、攻撃が高頻度化、さらに攻撃の場所も、ユーザーアプリケーションからOS、さらにはBIOSなど低位層へと移ってきていることが、攻撃を防ぐのを困難にしているという。

 また、昨今のセキュリティ攻撃の傾向として「破壊的攻撃」が増えてきている点を挙げた。業務のオペレーションそのものを破壊するため、損害は絶大である。被害を受けた調査企業は、税引き前利益の4〜7%が失われ、8億ドルものコストがかかったという。

「攻撃を受けてもデバイスレベルで早期の復旧を実現するというのがテーマになります。デバイスの選択とセキュリティの意思決定が今後リンクしていくでしょう」と九嶋氏。これらを踏まえたHPが対応するセキュリティ機能の概要に触れ、柔軟性と安全性の両立をHPが製品として具体化していることを示した。

●BIOSレベルを万全に守るセキュリティ機能

サービス・ソリューション事業本部 技術本部 本部長 毛利公彦氏
サービス・ソリューション事業本部
技術本部 本部長
毛利公彦氏

 サービス・ソリューション事業本部 技術本部 本部長、毛利公彦氏は、HPのビジネスPCを世界で最も安全とする理由を、技術的な見地から紹介。前述の「Office of the Future」を実現するなかで非常に重要というセキュリティに焦点をあてた内容だ。

 最初に、HPのセキュリティを語るうえで「追加費用が不要」ということを強調し、キーワードとして「なかったことにする機能」「レジリエンス」を挙げた。そして、「様々なラインアップでそのレベルに応じたセキュリティ機能を備えているので、お客様に合ったセキュリティレベルのデバイスをご提案いただきたい」と呼びかけた。

 続けて個別のセキュリティ機能を解説。OS、それより上位、それより下位といったレベル分けの中で、最下位に位置するBIOSが最も重要であるとし、その理由として、BIOSが破損すると、すべての機能が役に立たなくなってしまう点を指摘した。



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 それに対してHPが提供する「自己回復型BIOS」として、HP Sure Start Gen3が紹介された。

 「Windows10は最もセキュアなOSと言われていますが、BIOSが制御不能になれば、その機能が無意味になってしまいます。そのためにもBIOSレベルを保護する、HP Sure Start Gen3を搭載したHPのデバイスをぜひご利用いただきたいです」と語る毛利氏。

 さらに、統合的にBIOSを管理するHP BIOSphere Gen3を説明。HP BIOSphere Gen3は、BIOSを不正な変更から保護したり、廃棄PCのデータを完全消去したりすることで情報漏洩を防ぐほか、MBR(Master Boot Record)やGPT(GUID Partition Table)を自動復旧して破滅的なディスク障害からデバイスとデータを保護する機能だ。

 セキュリティをマネージメントするという面では、マイクロソフトの管理ソリューションであるSCCM(Microsoft System Center Configuration Manager)とHPのMIK(HP Manageability Integration KIT)が連携し、統合的にHP Client Security Gen3の管理ができる点にも言及、管理可能なセキュリティ機能についても紹介された。

 また、『HP Spare Key』はWindowsパスワードを忘れてしまっても、3つの質問に答えればパスワードを再設定できる機能。さらに、使用する時間を限定できる『HP Device Access Manager』など、情報システム管理者にとって嬉しい機能も伝えられた。

●スクリーンやブラウザーの観点からもセキュリティ対策

 スクリーンに関するセキュリティ対策も紹介された。

 毛利氏によると、カフェや新幹線などでは、ビジュアルハッキングという単純な盗み見は91%が成功。それに対応したのが、内蔵型プライバシースクリーン『HP Sure View』だ。中心から35°以上外側から見ると、95%以上の輝度が削減されるというもので、プライバシースクリーンとしては、世界で唯一だという。

 また、力を入れているポイントとして、ブラウジングセキュリティに関しても説明があった。外出先などからでもWebブラウザーを利用して仕事をするのが当たり前になってきており、保護の重要性は高まるばかりだ。

 それに対して、HPの提供するソリューションが『HP Sure Click』。「ハードウェアによる隔離」という同様の考え方で、ブラウザタブを仮想的に独立させ、タブが閉じられたらすべてを無効化するという。

 「これによって、Web感染を『なかったこと』にしてくれるわけです。未知の脅威に対応し、Proxyの無い環境でも制約の無い情報収集を可能としてくれます。そして何より重要なのはストレスなく仕事ができることでしょう」

 こうして、セキュリティを技術的な見地から多角的に解説した毛利氏は、「セキュリティはデザインと同様に、非常に力をいれている部分です。今日お話しした事を訴求ポイントとしてぜひお客様にお勧めください」とセッションを締めくくった。

●新テクノロジーを取り込んだ「イチオシ」新製品を紹介

テクニカルエバンジェリスト 末松隆郎氏
テクニカルエバンジェリスト
末松隆郎氏

 イベントの最後は、HPの2018年度「“イチオシ”新製品のご紹介」。テクニカルエバンジェリスト、末松隆郎氏より、多彩なラインアップが紹介された。 最初に取り上げた製品は、人気を博したHP Elite x2 1012 G1の後継機種となるHP Elite x2 1012 G2。基本機能の向上に加えて、Windows Helloに対応したIRカメラを搭載している。日本国内向けにさらにチューンナップされたこだわりのキーボードも搭載した、働き方を変えるためのテクノロジー満載の2in1タブレットだ。
 続いての製品は、世界最薄・最軽量のビジネスコンバーチブルHP EliteBook x360 1020 G2。G1にさらに改善が加えられ、通常のノートブックモードだけでなく、タブレットモードやスタンドモードなど働くシーンに合わせて、5つのモードに変化するイチオシのビジネスコンバーチブルPCである。
 ますます広がるデジタル機器を活用した教育現場向けには、HP ProBook x360 11 G2 Education Editionがおすすめ。こちらは、さまざまなモードに変化するだけでなく、要望の強かった前面カメラ・背面カメラを2つ搭載することで、すぐに気になったところを撮影、学習に利用できるようになった。


 ワークステーションの新製品HP ZBook x2 G4 は、魅力的なデザインに加えて、優れたペンや高性能パネルによる使い勝手、さらに多彩なセキュリティ機能を搭載。キーボードとディスプレイを分離したままでも利用できるデタッチャブルワークス―テーションとなっている。


 リテールソリューション分野では、デザイン性に優れたHP ElitePOSを紹介。統一感の高いさまざまな拡張周辺機器が、製品の魅力をより際立たせる。さらに、2-in-1タブレットのHP Pro x2 612 G2 をコンパクトなPOSに変身させるHP MX12リテールモバイルソリューションは、拡張性に優れ、販売にも商品管理にも優れた新製品だ。


 狭いスペースでプリントしたい場面も多い店舗向けには、HP OfficeJet 250 Mobile AiOも魅力的。オールインワンなのにスキャンもコピーも可能だ。 また、店舗の裏側のバックヤード向けには、HP EliteOne 1000 G1 All-in-One。フラットな4K 27インチディスプレイのほかに、曲面形状になった34インチカーブディスプレイも選択可能。パフォーマンス、セキュリティ、接続性にも妥協を許さないプレミアムなオールインワンPCである。最後に紹介されたのは、A0サイズ大判複合機のベストセラー HP DesignJetシリーズからついに登場した、A1モデル HP DesignJet T830 A1。お客様の意見を数多く取り入れ開発された。店舗の売り場をより魅力的に、よりタイムリーに販売促進するためには、ポスターやPOPは欠かせない。ぜひ、そのようなニーズには、HP DesignJetを提案して欲しい。


終わりに今後発表されるサービスを紹介し、セッションを締めた。


セッションで紹介した製品情報はこちらから
<モビリティ(2-in-1)>
  <リテールソリューション>


セッション内容は以上。

併設された展示会場にはこれらの製品がずらりと並び、多くの来場者が実際に手にとる姿が見られた。これからの年度末商戦、そして、4月から始まる新年度に向けて、パートナーの販売戦略にとって、HPの製品戦略、注目製品などを知るまたとないイベントとなった。


●HP Reinvent World 2018 Online 公開中

今回紹介した東京会場のセッションは、HP Reinvent World 2018 Onlineにすべて公開されている。紙面の都合上ご紹介できなかった内容についてはぜひ本Onlineサイトでじっくりとご確認いただきたい。また、名古屋会場で行われたマイクロソフト株式会社 石田氏の特別講演内容、エンドユーザー向けセッション内容も公開中。当日参加できなかったセッションも、この期間限定のOnlineサイトで観ることができるので。この機会を有効に活用して今後のビジネス活動に役立ててほしい。
<HP Reinvent World 2018 Onlineはこちら>


(注)
Note: Market Share based on HP Internal View (Only HP Targeted Market). * Includes MF and SF printers ** HP Internal view aligned with HP GBU
Sources: Source:17CQ2 IDC Worldwide Quarterly HCPTfor Ink and Laser (incl SF+MFexcludes GSB)) and IDC LFPTracker (CQ217); 17CQ2 IDC LFPFinal WW Market Share Static Tool and 17CQ2 IDC Indigo_ PWPWW Final Market Share Static Offline Tool
Sources: *IDC Worldwide Quarterly PC Tracker, Workstation Tracker and ECD Thin Client Tracker (17CQ2)

 

日本HP Partner News 2018年2月27日号 特集記事]
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