日本HPは2017年10月30日に、パートナー向け勉強会「第10回 HP RCS Boot Camp」を開催した。メインテーマは、多様化するモバイルデバイスの要望に新しいアプローチで提案できるHP Thin Client Conversion Suite。最新のモバイル向け機能を搭載したビジネスPCのシンクライアント化を提案でき、昨今の働き方改革にもマッチできるソリューションだ。本特集では、HP Thin Client Conversion Suite がもたらす販売機会の拡大と販売提案において気になる検証結果をお伝えする。

●HP Thin Client Conversion Suiteがもたらす大きな市場規模


日本HP パーソナルシステム事業本部
クライアントソリューション本部
大津山 隆氏

 HP Thin Client Conversion Suiteは、仮想環境に接続するビジネスPCにセキュリティと管理性を強化するソリューションである。勉強会の冒頭に登壇した日本HP パーソナルシステム事業本部 クライアントソリューション本部 大津山 隆氏が最新市場動向とHP Thin Client Conversion Suiteの製品概要について解説した。


2020年の法人PC市場の規模を600万台と仮定した場合、シンクライアントの出荷台数はその10%にも満たない規模である。これが「HP Thin Client Conversion Suite」によって、今までのシンクライアント市場だけでなく、多くの法人PC市場もターゲットとなるため、提案機会がさらに拡大するということになります。特にHP Thin Client Conversion Suiteは「外部への持ち出し用PCや既存デバイスの有効利用に優位なソリューションです」と大津山氏は強調した。


では、HP Thin Client Conversion Suiteとは、どのようなソリューションなのだろうか。大津山氏によれば、HPのビジネスPCをシンクライアントとして利用するときに有効なソフトウェアをまとめたパッケージであるという。「以前からシンクライアントで無償提供されていたソフトウェアであるHP Device Manager、HP Velocity、HP Easy Shell、HP USB Port Managerに加え新規に開発されたHP Write Managerを、HPのビジネスPCでも利用できるようにすることでシンクライアントのようなセキュリティと管理性を実現することができる」と大津山氏。


HP Thin Client Conversion Suiteを活用することでビジネスPCをシンクライアントとして利用できる。つまり、シンクライアントだけでなく、HP Thin Client Conversion SuiteをビジネスPCと一緒に提案することで、パートナーにとっては新しい市場の開拓やビジネス拡大のきっかけにもできるだろう。


●仮想化環境のクライアントにはどのような選択肢があるか


[クリックで拡大]
 

あらためて仮想化環境でクライアントとなるコンピュータを比較してみよう。
選択肢としては


  1. 1. Windows専用のシンクライアント
  2. 2. PCをWindows 10 Enterpriseにアップグレード
  3. 3. PCをエンベデッド化
  4. 4. PCをそのまま使用
という4パターンが考えられる。


まず、Windows専用シンクライアントでは、何と言っても端末のバリエーションが少ないのがデメリットだ。PCをWindows 10 Enterpriseにアップグレードする場合、端末だけを見るとコストが割高になる。PCをエンベデッド化する場合では、OSをWindows 10 IoTに変更するため、OSを二重に購入することによるコスト面、さらにメーカー保証がないのも難点だ。PCをそのまま使用する場合だと、書き込み禁止機能(Write Filter)がなく、セキュリティ面で劣る。またWaaSモデル(Windows as a Service)がCurrent Branch for Business(CBB:半年ごとに年2回、春と秋に新しいリリースが公開されるモデル)となるため、管理コストが増加するという短所もある。加えて、専用シンクライアント以外で多くの端末を管理するには、Microsoft System Center Configuration Manager(MS SCCM)が前提となるため、管理方法が高度になるといったように、それぞれ課題がある。


しかし、HP Thin Client Conversion Suiteを導入することで専用シンクライアント以外は多くの課題を克服できる。例えば書き込み禁止機能はHP Write Managerを利用することでセキュリティを高め、端末の管理はMicrosoft System Center Configuration Manager (MS SCCM)ではなく、簡単なGUIで操作できるHP Device Managerを利用することで端末管理の難しさを緩和できる。



[クリックで拡大]

●仮想化環境で有効となるHPのビジネスPCのセキュリティ機能

ここで、HPビジネスPCのラインナップと働き方改革やモバイルでの利用に適したセキュリティ機能を見ていこう。

まず最新のHPビジネスPCであれば、多くがHPマルチファクタ認証に対応している。マルチファクタ認証は、例えば指紋とFeliCaのICカードなど、7つの要素から2つを同時に利用する。本人しか持ち得ないような要素で認証することで本人確認の確実性を高められるため、これから欠かせないセキュリティ強化策となる。
さらに、HP EliteBook x360 1030 G2には内蔵型プライバシースクリーン「Sure View」が搭載されている。これは外出先などでのぞき見を防止する機能で、ファンクションキー「F2」を押すだけで画面の中心から35度以上の角度ではディスプレイが白濁化して見えなくなる。
HP Elite x2 1012 G2にはドコモとauのLTE通信モジュールを搭載したモデルを提供。外出先でも通信を確保するだけではなく、通信をLTEのみに設定すれば悪質なWi-Fiスポットに接続してしまうリスクを防ぐこともできる。

●シンクライアント化を実現する機能群


日本HP サービス・ソリューション事業本部
技術本部 鈴木 学氏

HP Thin Client Conversion Suiteに含まれる機能について、より詳細に紹介しよう。当日は詳しい解説とデモが日本HP サービス・ソリューション事業本部 技術本部 鈴木 学氏より行われた。


○HP Device Manager

 Windowsでは端末の管理にMS SCCMを利用できるが、HP Device Managerがあるとより効率的に管理できる。Windows PCで利用できる主な機能はファイルやレジストリの操作、デバイス操作、設定変更、リモートコントロール、資産管理、などがある。HP Easy Shell、HP USB Port Manager、HP Write Managerをネットワーク経由で設定することもできるので、初期導入時のキッティング時間の短縮や、リモートからのヘルプデスク業務が可能。1台の管理サーバーで1万台のシンクライアントを運用可能となり、運用管理コストの大幅削減に期待が持てる。Windows PCのOSイメージの取得・配布機能は無いので注意が必要だ。


○HP Velocity

 TCPスループット向上やネットワークパケットロスを改善するなど、ネットワークパフォーマンスを加速させる。無線LAN、自宅、海外拠点などネットワーク環境があまりよくない場所で効果を発揮する。


○HP Easy Shell

 Windowsのデスクトップを表示(起動)させずに許可したアプリケーションのみをエンドユーザーに利用させる事が可能。ワンステップで端末をロックダウンさせ、意図しない操作や設定変更を防止し、アプリケーションやブラウザのキオスク化を簡単に実現する。ランチャーを表示させることなくアプリやブラウザを自動起動することも可能だ。


○HP USB Port Manager

 USBデバイスの使用可否をフレキシブルに設定できる。特定のUSBデバイスだけを利用可能として、他を禁止することができる。使用許可の設定はデバイスの種類、製造元、製品など細かく指定可能。


○HP Write Manager

 ストレージへの書き込みを制御(禁止)する。ユーザーが書き込もうとするとオーバーレイ(メモリ内の仮想ストレージ領域)にリダイレクトしてキャッシュすることで、デバイスのフラッシュドライブへの書き込みをしないようにする。エンドユーザーが意図せずユーザー設定やOS設定を変更することを防いだり、書き込み回数を減らすことでデバイスの耐用期間を延ばしたりできる。任意のレジストリやファイル・フォルダを書き込み制御から除外することも可能で、定期的なファイルの更新が必要となるウィルス対策ソフト等の利用を可能にする。またオーバーレイの自動メンテナンス機能を備え長時間の連続稼働を実現する。

●HP Thin Client Conversion Suiteを検証:可用性・信頼性・保守性に高い評価


シーティーシー・エスピー株式会社
渡辺 裕介氏

販売する立場としては、実際の環境における動作など、顧客に対して問題なく提案できるレベルなのか気になるパートナーも多いことだろう。


当日は、シンクライアントや仮想化デスクトップソリューションに高い実績を持つシーティーシー・エスピー株式会社 (CTC SP) の渡辺 裕介氏から、想定される5つのユースケースに対して、HP Thin Client Conversion Suiteの評価結果の発表が行われた。提案が想定されるユースケースを取り上げ、それぞれの機能がどのような効果があるか、どのようにセットアップしたかを解説。検証対象となる機能が正常に実行できるかどうかを評価したという。


○ユースケース1

HP Thin Client Conversion Suiteを使用し、クライアントコンピュータのユーザー誤操作とシステム管理者の意図しない操作を防止したい。


○ユースケース2

HP Device Managerを使用し、HP Thin Client Conversion Suiteを複数の端末に展開したい。


○ユースケース3

MS SCCMを使用して、HP Thin Client Conversion Suiteを複数の端末に展開したい。


○ユースケース4

HP Device Managerを使用して、書き込み保護が有効なシンクライアントに対してWindows Updateを適用したい。


○ユースケース5

Active Directoryと連携し、より強固なロックダウンを実現したい。


これらのユースケースの検証結果を基にして、渡辺氏は、次のように評価した。


「HP Thin Client Conversion Suiteが持つクライアントコンピュータへのロックダウンはユーザーの誤操作を防止するため、システム全体のユーザビリティが向上します。書き込み保護とUSBデバイス制限によりセキュリティが向上するうえ、万が一のシステム復旧も容易になります。デバイス資産情報管理とアプリケーション配布が行えることで、可用性・信頼性・保守性を向上できます。HP Thin Client Conversion Suiteはコンパクトから大規模まで幅広い構成に対応できるアプリケーションだと評価します。さらにSCCMやActive Directoryとの併用で、より強固により安全に運用ができるようになります」


このように、HP Thin Client Conversion Suiteは高い評価を得ているため、安心して提案できるだろう。


HP Thin Client Conversion Suite


最後に、日本HPパーソナルシステムズ事業本部 クライアントソリューション本部 浦野 敏明氏から、最新シンクライアント製品のロードマップの紹介、HP Thin Client Conversion Suiteのオーダー方法、納品フロー、ライセンスキーの入手フローの説明が行われた。特に、HP Thin Client Conversion Suiteの検証用ソフトウェアの貸出が可能であるため、事前にお客様の環境で検証を実施して欲しいとのメッセージが伝えられた。



[クリックで拡大]


シンクライアントや仮想化環境に多くの実績を持つスペシャリストも高く評価するHP Thin Client Conversion Suiteを活用することにより、さらに大きなビジネスPC販売拡大のチャンスが見込める。特に、業界随一のデバイスを提供するHPのビジネスPCは、市場からの要望にもっとも応えられることはいうまでもない。好調なビジネスPC市場で、この新しいソシューションを積極的に活用しビジネス拡大に役立ててほしい。

日本HP Partner News 2017年11月28日号 特集記事]
本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、
閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。